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更新日:令和3年11月10日

人権を尊重しハラスメントを防ぐために

静岡大学名誉教授(前副学長) 大村 知子

日常生活において、子どもでも大人でも「意地悪」や「いじめ」「嫌がらせ」「仲間はずれ」などで傷ついたり、不信感をもったことがある人は多いと思います。たとえ相手が故意ではなく無意識であっても深く心を傷つけられたり、名誉が損なわれたりする場合が多々あります。その原因の一つとして、幼い頃からの家族や地域、学校生活の中で培った価値観が、何気ない行動や言葉にあらわれてしまうことが推察されます。私たちは戦後60年余の間「みんなと同じがよい」「周囲と違わないのがいいこと」とする社会環境の中で育てられました。その後21世紀を迎え、高度情報化、グローバル化が急速に進み、思想も宗教も人種も異なる色々な価値観を持つ人々と協調しながら生きていかなければ暮らしが成り立たなくなったために、今では「多様性が好ましい」とされるようになりました。しかし、長年「均一がよい」と教えられてきた者にとって、頭ではわかっていても、潜在する意識は急には変わりません。このような背景から、無意識に差別的な発言や心無い行動となって、ハラスメントを受けたと訴えられることがあります。

また、少子高齢社会では、“男女共同参画”がこれからの社会を支えるという政策によって、“ワーク・ライフ・バランスを追求し、多様な生き方や考え方を認め、支えていきましょう”と提唱されています。このような世情にあっても、「・・・らしくない」とか「・・・のくせに」など、旧来の価値観によるハラスメントも依然として起きています。

多様性(ダイバーシティ)を認めれば防げるケースが多いと思います。そして自分を相手の立場に置き換えてみる、相手の気持ちを察するなど、相手に対してほんの少し気配りをすれば、意に反して加害者になってしまうことが少なくなります。加害者と訴えられた人からは「○○のためだったのに」とか「××のためを思って」という申し開きをよく耳にします。そうであるとすれば、真意が通じない原因のひとつにはコミュニケーションがうまくとれないことが挙げられます。相手の立場を配慮し、相手に誠意が伝わる表現ができるように、普段の努力も必要です。

自分が気付かないうちに、人権に関わる加害者とならないように気を配りましょう。「みんな違って、みんないい」という言葉は、ハラスメント防止に通じると思います。