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国連合同エイズ計画は調査会社と協力して、世界中の人々がエイズの広がりと対応についてどう思っているのかを調査しました。そして、この調査の結果を世界の人々の意識と、日本人の意識を比較する形で「THEBENCHMARK:JAPAN日本の現状」と題し、エイズ予防情報ネットというインターネットサイトで公開しています。
この調査の最初の項目が、「世界規模のエイズの広がりは重要なことですか?」という問いです。この問いに対して、世界の人々の92.1%が重要であると答えています。日本においては、それを上回る93.8%の人々が重要であると回答しています。しかし、「自分たちの国の問題である」と答えた人は、日本国内では、わずか30.3%。(世界の人々は、自国の問題でもあると回答した人は63.8%)さらに、「自分たちの地域の問題だと思うか」の問いに対しては、「はい」と答えた人は12.9%にまで落ち込みます。
この結果から、エイズの広がりは重要な問題であるものの、日本の問題ではない。たとえ国内の問題であったとしても、東京都などの大都市圏の話であって、静岡県には問題はないと思っている人が大多数を占めているといえるのではないでしょうか。ところが、日本の現状を見れば、先進国では唯一と言っていいほど、新たな感染者が増え続けているのです。その数は、毎日4人ずつ増加しているという報告がされていますし、静岡県も例外ではないといえるのです。
多くの人は、エイズは過去のもの、あるいは、日本は終息に向かっていると思っているのかもしれません。しかし、こうした日本国内におけるHIV感染者やエイズ患者の実態を知らないばかりではなく、正しい知識の不足による差別偏見や人権侵害が、感染予防の妨げになっていることが大きな原因の一つです。
国連合同エイズ計画レポート2010年版にも、『人権はもはやエイズ対策のおまけではない。』と明記しています。つまり、エイズ対策を行うにあたり、感染者や患者の人権を守ることが、拡大防止の大きなキーワードになると述べているのです。
また、エイズ拡大を予防するには、「女性への暴力とHIV感染の広がりには明白な関連があり、男女平等のさらなる推進」も明記しています。さらには、「男性と性交渉する男性への偏見、差別、暴力はHIV感染のリスクを高めている」としています。こうした報告から、エイズ対策は単に感染者や患者へ理解と支援にとどまらず、男女の平等や同性愛者などへの理解にも深くかかわっているのです。
いまこそ、感染者や患者への支援のシンボルであるレッドリボンをより多くの人が身につけ、エイズだけに留まらず、男女平等や、同性愛に対する理解に至るまで、静岡県が人権における先進県となることを願っています。