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更新日:令和3年11月10日

人権を守る活動に関わって・・・

子ども虐待防止センター・しずおか運営委員 鈴木 潔

Aさんは現在59歳、人権・特に子どもたちの人権に関する問題にかかわってきた。二人の娘はすでに成人し、既婚者となっている。そして次女に子どもが二人いてよきおじいちゃんでもある。

娘たちが東京の大学に進学するころ、一人の非行少年と出会い、子どもたちを取り巻く様々な問題にかかわるようになった。以来、非行・不登校・イジメ・引きこもりなどのケースにかかわってきた。かかわっていく中で原因の多くが幼児期の「虐待」にあることに気づいた。その後は子ども虐待の問題に取り組み、関連団体などの設立にも加わった。

Aさん夫婦にとって二人の娘は自慢の娘たちであった。長女は音楽大学の特待生になったり、次女は体操でジュニアの県選抜になったりと、それぞれが個性的な才能を発揮していたからだ。また、娘たちが小学生の頃は毎週土日、必ず遊園地や旅行に出掛けた。はた目にも理想的な家庭に見えていた。そして、成人してからは子どもたちも父親の活動を誇りに思っていた。

次女が26歳のとき、一人の男性(26)がAさん夫婦の前に現れた。結婚を前提に次女と付き合っているという。高校時代の同級生でまじめな物腰に好感がもてた。めでたい話でもあり特に反対する理由もなかった。しかし、その後娘の口から語られる、彼の家族のプロフィールに、Aさん夫婦は大きなジレンマを抱えることになった。ポイントは二つあった。まず彼が小学生のとき両親が離婚していた。母子家庭だ。Aさんは多少気になったが、特に反対するほどではなかった。しかし、奥さんが危惧を覚え夫婦で深刻な議論となった。二つめは彼の兄(30歳)がダウン症という障害者であったことだ。これにはAさんもたじろぎ、娘に対し結婚を祝う言葉がでてこなかった。それは、親として、障害を持った子どもが生まれたら・・・という恐れがあったからだ。この瞬間から次女は父親への尊敬の思いを失った。それまで娘たちの前で人権を大事にする発言をしていた父親が、いざ自分の身に人権にかかわる問題が降りかかったとき、躊躇したのだから尊敬できるわけがない・・・

結果的に二人は結婚して健康な孫を二人生んだ。孫との交流は自由にしているが、娘との関係はギクシャクしたままだ・・・Aさんの人権活動は偽物だった?