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更新日:令和2年10月28日

相手の身になって考えることの大切さ

静岡文化芸術大学文化政策学部准教授 イシカワ エウニセ アケミ

外国人として先進国の日本で生活する上で、基本的な人権である「衣食住」でさえまともに保障されていないことが今日においても続いていることに疑問を持っています。たとえば、外国人という理由で家を貸さない不動産業者がいます。また、外国籍であるため、日本育ちの若者がアルバイトを断られる例もあります。断る理由はさまざまだと思いますが、日本で正規の在留資格を持って生活をしているにも関わらず、家が借りられない、仕事ができないという状況は、基本的な人権が保障されていないことになります。しかし、このようなことは他人事だと思い、関心を持たない日本人が多いのではないでしょうか。もし逆の立場で、自分が外国へ行って外国人になった場合、日本人であるという理由で住むこと、仕事をすることが許されなくなったら、どう思うでしょうか?

普段、人々は相手の立場になって物事を考えることはあまりしないと思いますが、とても大事なことだと思います。最近、ある日本人の高校生から聞いた話ですが、「外国人」は怖いと思っていたが、実際に外国人に会って話をしたら、全然怖くなかったそうです。つまり、偏った情報やイメージのみで相手を判断してしまい、結果的に差別や偏見を持ってしまうことが多いといえます。そして彼らの本当の姿が見えない状態になってしまいます。

最近、マスコミなどで頻繁に出てくる事件のなかで、幼児虐待が目立っています。そのような虐待をする人のことを考えると、まずは怒りが噴き出るような気持ちになりますし、絶対に許されることではありません。しかし、彼らは弱い子どもをいじめるただの残酷な大人なのでしょうか?その人の身勝手な考えで罪を犯してしまった場合もありえますが、その人の生活状況や精神的な状況などが原因で、このような事件がおきたかも知れません。それならば、その人たちが罪を犯す前に何らかの形で彼らを救う方法があれば、多くの子どもたちが犠牲にならなかったと考えられます。

在日外国人と幼児虐待は関係がない問題だと言えますが、双方に対して私たちが表面的な知識や情報だけで彼らを判断してしまいがちなところに共通点があるといえます。

それらの問題は自分とは無縁であるため関心も持たない人が多いでしょう。しかし、一人ひとりが外国人の立場、幼児虐待を犯した人の立場になってみたら、多くの問題を事前に防げる可能性が必ずあります。つまり、相手の身になって考えることが一人ひとりの人権を守ることにつながると信じています。