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更新日:令和3年11月10日

子どもの人権を考える

静岡英和学院大学人間社会学部教授 佐々木 光郎

30年余にわたり、非行をおかした子どもたちと向き合ってきた私の体験から子どもの人権について述べてみたい。

(1)安全、安心な家庭

子どもの人権を考えるとき、子どもは安心して、健康に、かつ調和のとれた発達のために、幸福、愛情および理解のある雰囲気の中で成長する権利があることを確かめ合いたい。親から愛された子どもは自分を大事にして、自分に誇りと自信を持って生きる。

ところが、すべての子どもがこのような環境のもとで暮らしていないのである。不適切な養育と子どもの問題行動と密接にかかわり合っている。静岡県における虐待相談対応件数(21年度)は、1,107件にのぼったが、子どもの人権を考えるとき憂慮すべき問題である。

それゆえに、「ひとりぼっち」の子育て家庭への訪問支援や虐待防止ネットワークの構築が待たれる。また、地域に住む人々が「地域みんなで子どもを育てる」という地域カンファレンス(地域力)を積極的に発揮したいものである。私は、家庭での食育を取り上げたい。家族がいっしょに食べることが親子のつながりを深め、子どもが明るく強く成長する源となる。

(2)楽しい学校

子どもたち同士による「いじめ」が絶えない。静岡県教育委員会の調査によれば、平成21年度のいじめの認知件数は、小・中学校で3,958件、高等学校で111件、あわせて4,069件にのぼっている。近年、ネット空間での中傷書込みが問題になっている。いじめられる子どもの心をいたく傷つけている。不登校になる例もある。家庭でも学校でも、子どもに対し、個々人の特徴(違い)は尊重されること、共に生きることが大事であることを教え、「いじめは人間としてやってはいけないこと」を、しっかりとわからせる取組が大切である。

ところで、非行の子どもの中には、学ぶ楽しさから遠ざかっている子が多い。確かな学力、教育を受ける権利を保障する必要がある。

(3)少数の子どもへの支援

特別な支援を要する子どもや、民族、宗教、文化などによる少数の立場に属する子どもも、同じく尊重される。県内各地において、このような子どもたちへの支援をさらに発展させてほしい。