南海トラフ地震臨時情報について
はじめに
本県では、当初、東海地震が予知可能とされたことから、突発的に起こる地震への備えとともに、地震予知を前提とした事前対策を実施してきました。しかし、近年、国から地震発生時期・規模・位置等の確度の高い予測は困難との考えが示されたことから、東海地震の発生を前提とした予知情報や警戒宣言の発表はなくなりました。
一方で、現在の科学的知見を防災対応に活かしていくという視点は引き続き重要であることから、南海トラフ沿いで観測される異常な現象を評価して発表される「南海トラフ地震臨時情報」の運用が令和元年5月31日から開始されました。
「東海地震に関連する情報(東海地震予知情報など)」は、平成29年11月1日から「南海トラフ地震に関する情報」の運用開始に伴い発表されなくなり、令和元年5月31日からは、「南海トラフ地震に関する情報」に替わり、「南海トラフ地震臨時情報」及び「南海トラフ地震関連解説情報」の情報発表が開始されています。
南海トラフ地震臨時情報とは
南海トラフでは、想定震源域の東側と西側で時間差で、大規模地震が発生した事例があります。
- 1854年安政東海地震と安政南海地震
南海トラフの東側で地震が発生した約32時間後に、西側でも地震が発生 - 1944年昭和東南海地震と昭和南海地震
南海トラフの東側で地震が発生した約2年後に、西側でも地震が発生
南海トラフ地震臨時情報は、想定震源域内で大規模地震や地殻変動など異常な現象が観測され、南海トラフ地震の発生可能性が通常と比べて相対的に高まったと評価された場合に、気象庁から発表される情報です。
なお、南海トラフでの大規模地震発生前に、必ずしも先行する異常現象が観測されるとは限らないため、
引き続き、突然発生する地震への備え(住宅の耐震化、家具の固定、避難場所・避難経路の確認、非常持出品の確認等)を最優先に心がけましょう。
南海トラフ地震臨時情報発表の流れ
気象庁は、南海トラフの想定震源域等で異常な現象(想定震源域またはその周辺でマグニチュード6.8以上の地震が発生、または、南海トラフの想定震源域のプレート境界面で通常とは異なるゆっくりすべりが発生した可能性がある場合)が観測された場合、南海トラフ地震臨時情報(調査中)を発表し、観測された異常な現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始します。
調査の結果、南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界においてマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価した場合に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表され、南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界においてマグニチュード7.0以上8.0未満の地震や通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価した場合等に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されます。南海トラフ地震臨時情報の発令基準の詳細については、以下の気象庁ホームページを参照ください。
南海トラフ地震臨時情報が発表されたら、政府や県・市町からの呼びかけに応じた防災対応をとりましょう。なお、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表された場合、1週間の事前避難が呼びかけられる地域(事前避難対象地域)もあります。
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表される例
例えば、南海トラフ沿いの西側で大規模地震が発生し、東側でも地震が続発する(以下、後発地震という)可能性が高まった場合などに発表されます。
事前避難対象地域
後発地震が発生してから地域住民等が避難したのでは、津波の到達までに避難が間に合わない恐れがあるとして、市町があらかじめ定めた地域を事前避難対象地域といいます。
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表され、国から指示が発せられた場合に、市町は事前避難対象地域内の住民等に対して、後発地震に備え1週間の事前避難を継続するよう呼びかけます。
事前避難対象地域については、地域の実状等を踏まえ、以下の2種類に区分されます。
- 住民事前避難対象地域 事前避難対象地域のうち、全ての住民等が後発地震の発生に備え1週間避難を継続すべき地域
- 高齢者等事前避難対象地域 事前避難対象地域のうち、要配慮者に限り後発地震に備え1週間避難を継続すべき地域
県内における現時点の事前避難対象地域の設定状況は以下のページをご覧ください。
南海トラフ地震臨時情報発表時の防災対応
南海トラフ地震臨時情報が発表された場合、国や県・市町などから住民へ後発地震に備えるよう呼びかけがあります。下図を参考に情報に応じた防災対応をとるように心がけましょう。
地震に伴う土砂災害の不安がある住民は、個々の状況に応じて、身の安全を守る等の防災対応をとりましょう。
(事業者等向け)南海トラフ地震防災対策計画について
南海トラフ地震防災対策推進地域内(静岡県は全域)でかつ都道府県知事が設定する津波浸水想定により30cm以上の浸水が予想される地域に立地する一定の事業者等は、津波から利用者や従業員などを守るため、避難場所等を明らかにした対策計画等を作成し、届け出ることが義務づけられています。
令和元年5月31日に国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画が改定され、各事業者の対策計画に南海トラフ地震臨時情報が発表された際の対応について盛り込むことになりました。
対策計画の対象事業者や様式等については、以下のページをご覧ください。
なお、南海トラフ地震臨時情報に関する企業等における防災対応の検討については、以下の内閣府のガイドラインの企業編や検討事例を参照願います。
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南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン(外部リンク)
(企業編p.71~) -
ガイドラインの概要(外部リンク)
(企業編p.19~) - 企業における検討事例(外部リンク)
- 内閣府ホームページへのリンク(外部リンク)
リーフレット等
南海トラフ地震臨時情報に関する動画、リーフレット等は内閣府ホームページにて掲載されていますのでご利用ください。
「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討静岡県版ガイドライン」について令和2年2月
県は、「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討静岡県版ガイドライン」(以下、「県版ガイドライン」)を作成しました。
県版ガイドラインは、「南海トラフ地震臨時情報」が発表された場合に事前避難などの住民等がとるべき防災対応を市町が具体的に検討するための指針です。
具体的には、内閣府ガイドラインを参考に、本県の多様な地域特性やこれまで実施してきた地震・津波対策への取組、住民や関係者の意見を踏まえた内容としています。
なお、「南海トラフ地震臨時情報」の内容や、これまでの県及び国の検討状況などについても、本ページに掲載していますのでご覧ください。
県版ガイドラインの概要等については、以下をご覧ください。
「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討静岡県版ガイドライン」(本文)
- 県版ガイドライン(本文)【表紙~第6章】 (PDF 5.3MB)
- 県版ガイドライン(本文)【第6-2章-1】 (PDF 9.5MB)
- 県版ガイドライン(本文)【第6-2章-2】 (PDF 7.2MB)
- 県版ガイドライン(本文)【第6-2章-3】 (PDF 7.0MB)
- 県版ガイドライン(本文)【第6-2章-4】 (PDF 5.7MB)
- 県版ガイドライン(本文)【第6-2章-5、参考資料】 (PDF 5.9MB)
国「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」は、以下をご覧ください。
静岡県防災会議専門部会(南海トラフ地震防災対応)
県は、平成29年度から南海トラフ沿いの大規模地震発生の可能性が高まった場合の防災対応について、多種多様な参加機関のご意見を伺いながら検討を進めるため、静岡県防災会議内に専門部会(南海トラフ地震防災対応)を設置し議論を行ってきました。
第1回~第6回会議資料は、次をご覧ください。。
「南海トラフ地震臨時情報」の運用について
令和元年5月から「南海トラフ地震臨時情報」の運用が開始されています。「南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ沿いで大規模な地震が発生する可能性が高まった場合に発表されます。
「南海トラフ地震臨時情報」発表時にとるべき防災対応や社会状況などについてイラストを見てイメージしてください。
【静岡県作成】
「南海トラフ地震臨時情報」発表時の県庁内の対応
県は、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報」を発表した際に行う、県の防災対応等について概要を定めました。
「南海トラフ地震臨時情報」が発表された場合に想定される社会状況等を踏まえ、県の配備体制や主な業務を定めます。
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このページに関するお問い合わせ
危機管理部危機政策課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2456
ファクス番号:054-221-3252
boukei@pref.shizuoka.lg.jp