高齢者をめぐる人権問題

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ページID1022482  更新日 2023年1月11日

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国連では、平成3年(1991年)に、高齢者の自立、参加、ケア、自己実現、尊厳を内容とする「高齢者のための国連原則」が採択され、平成11年(1989年)には、「高齢者のための国連原則」を促進することを目的として「国際高齢者年」とする決議が採択されるなど様々な取組が行われてきました。

わが国においては、少子高齢化が進展し、平成27年(2015年)には4人に1人が高齢者となることが予測されています。県においても、平成16年(2004年)4月1日現在の高齢化率が19.3%になり、平成10年(1998年)からの6年間で3%以上増えており、今後も高齢化の進行が続くものと予測されています。こうしたことから、高齢化に適応した豊かな社会の実現が求められます。

しかしながら、高齢者の雇用環境は厳しい状況であり、さらには疾病等のために介護を必要としている高齢者に対し、介護者が肉体的、心理的に虐待を加えるなどの高齢者虐待(1)のほか、財産面でも様々な問題が生じています。

県が実施した「家庭内における高齢者虐待に関する調査」(平成16年度実施)の分析結果において、主な虐待者は、息子34.0%、息子の配偶者24.6%、配偶者20.2%、娘14.5%となっており、虐待の内容は、心理的虐待56.4%、身体的虐待49.1%、介護・世話の放棄・放任46.3%と続く結果となっています。

このため、昭和61年(1986年)6月の「長寿社会対策大綱」、平成8年(1996年)7月の「高齢社会対策基本法」(平成7年(1995年)12月に施行)に基づく「高齢社会対策大綱」により総合的な対策が実施されてきました。

平成13年(2001年)12月には、高齢社会対策の一層の推進を図るため、同大綱が改定され、取り組むべき課題として、1.多様なライフスタイルを可能にする高齢期の自立支援、2.年齢だけで高齢者を別扱いする制度、慣行等の見直し、3.世代間の連帯強化、4.地域社会への参画促進が設定されました。

また、高齢者の権利擁護に向けた取組として、平成12年度に、介護保険施設における身体拘束の廃止を目的として、国、県において身体拘束ゼロ作戦が開始されるとともに、平成13年度には、成年後見制度利用支援事業が国の介護予防・地域支え合い事業のメニューに加えられました。

さらに、平成18年(2006年)4月には、高齢者虐待の現場への市町の立ち入り調査を認め、行政の早期立ち入りにより、高齢者への虐待防止を目的とした「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止・養護者支援法)」が施行されました。この法律では養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合には、速やかに市町へ通報しなければならないこと、そのほかの虐待の場合には速やかに通報するよう努めなければならないことなどが規定されています。

県においても、これまで様々な取組を展開してきましたが、平成18年(2006年)4月には、本格的な高齢社会の到来に向けて県民の健康長寿を実現するとともに、高齢者がその知識や経験を活かして積極的な役割を果たし、いきいきと暮らしていける豊かな社会づくりを進めていくため、平成18年度から3年間の高齢者保健福祉及び介護保険事業支援に関する政策目標や取り組むべき施策・事業を盛り込んだ「ふじのくに長寿社会安心プラン」を策定し、総合的に施策を推進しています。

高齢者がいきがいと尊厳をもって安心して暮らすことができるよう、私たち一人ひとりが、高齢者の人権について考えていく必要があります。

イラスト:ねんりんピック マスコット ちゃっぴー

(1)高齢者虐待

高齢者虐待防止・養護者支援法では高齢者虐待の定義を次のように定めています。

  1. 身体的虐待 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じる恐れのある暴行を加えること。
  2. 養護を著しく怠ること(ネグレクト) 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、他の同居人の身体的、心理的、性的虐待行為を放置する等養護を著しく怠ること。
  3. 心理的虐待 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
  4. 性的虐待 高齢者にわいせつな行為をすること又はさせること。
  5. 経済的虐待 養護者や高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他高齢者から不当に財産上の利益を得ること。

このページに関するお問い合わせ

静岡県人権啓発センター
〒420-0856 静岡市葵区駿府町1-70 静岡県総合社会福祉会館4階
電話番号:054-221-3330
ファクス番号:054-221-1948
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