同和問題
わが国社会の歴史的発展の過程において形づくられた身分的差別により、一部の人々は、職業や住まい、結婚、交際、服装などを制限されるなどの差別を受けていました。明治4年(1871年)には、いわゆる解放令により制度上の身分差別はなくなりましたが、その後も結婚、就職などで差別が続いてきました。
国の同和対策審議会の昭和40年(1965年)の答申においては、「これを未解決に放置することは断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である。」との認識を示しています。
実態的差別については、特別措置法に基づく様々な取組により、大幅に改善されましたが、依然として心理的差別が残っているため、現在でも、特定の地域出身であることやそこに住んでいることを理由に、結婚、就職などにおいて差別を受けるという人権侵害が起こっています。
こうした差別意識を解消し、21世紀を真に「人権の世紀」とするためにも、私たち一人ひとりが、「同和問題とは何か」を正しく理解し、因習や偏見、世間体などに縛られることなく、人権という観点から同和問題の解決に取り組む必要があります。
静岡県の同和対策事業
静岡県の同和対策事業は、大正10年(1921年)に始まり、昭和17年(1942年)から第2次世界大戦等によってやむなく事業を中断していましたが、昭和34年から事業を再開しました。特に昭和44年(1969年)からは「同和対策事業特別措置法」が施行されたことによって、事業は飛躍的に増大し、その後も引き続く特別法の施行により、道路、下水排水路の整備及び住宅密集地、不良住宅の改良などの事業が積極的に行われてきました。これらの事業により同和地区の生活環境は格段に改善され、差別解消への大きな力となりました。
平成14年(2002年)3月末をもって国の同和対策に関する特別法である「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」は失効し、同和対策は特別対策から一般策へ移行しました。しかしながら、結婚、就職差別などに見られるように差別意識はいまだに解消されていません。県では、今後も特に心理的差別の解消を図るべく、教育・啓発活動を中心に同和問題の解決に向けて粘り強く取り組んでいきます。
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