静岡県教育委員会

“ふじのくに”の未来を担う「有徳の人」づくり

Eジャーナル第240号(抜粋)令和3年10月発行

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ページID1031412  更新日 2023年1月13日

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3か月ぶち抜き企画「私の学校紹介します」第1弾 駿河総合高等学校

防災NPO起ち上げへの道 出会いが紡ぐ「円」と「縁」

駿河総合高等学校は、静岡県内唯一の都市型総合学科高校であり、特別支援学校の分校(高等部)を併置している学校といった特色があります。今回は、校是「夢を仰ぎて己を信ず」を体現し、本校生徒と卒業生が主体性を持って取り組んだ、「防災NPO」発足までのプロセスを振り返りながら、本校の魅力を紹介します。

発足のきっかけ

防災NPO発足のきっかけは、平成30年8月、静岡新聞社・静岡放送主催の防災・減災プロジェクト、「TeamBuddy(チームバディー)」への参加です。当時、民間企業等長期派遣型研修で同社に勤務していた本校商業科大川慎介教諭が参加を呼び掛け、駿河総合高校を含む複数の学校の高校生が参加しました。この参加をきっかけに静岡大学、静岡新聞社・静岡放送、各高校が1つの円となり、若年層の防災意識向上への取り組みが始まりました。

防災教材開発

本校生徒による防災啓発活動は、さらに広がりを見せます。そのあらわれが平成31年1月、静岡大学山本隆太准教授と国交省静岡河川事務所との協働による水防災に関する高校生向けの教材開発です。令和4年度から高等学校の地理歴史科に新設される「地理総合」で活用されることを目標としました。本校英語科の石川真由美教諭と社会科の青嶋一浩教諭の参加もあり、高校生が主体となったチームは一体感を持って取り組むことができました。このまとまりとしての円は、新たな出会い(縁)を紡いでいきました。

教科をつなぎ防災レシピを考案

新たな出会いとは令和3年1月、マックスバリュ東海との防災食のオリジナルレシピの考案です。これは商業科目「マーケティング」と家庭科「栄養」による教科横断型の取り組みとなりました。防災食に関する専門知識を持つ本校家庭科の伊藤友合子教諭の授業で学んだ知識と防災意識の高揚につなげるためのマーケティングの視点が融合されたレシピが考案されました。

「特定非営利活動法人 NewUniversalAct」

これまでの活動を通じて、本校卒業生と在籍中の生徒(有志)は、「若者が動けば大人の防災意識も変わる」ことを実感しました。そして、高校間や校種にとらわれない、いつでも誰でも参加できるチームを作りたい、という想いにつながり「防災NPO」発足を構想しました。目的は「災害が起きたとき、少しでも生き延びる確率を上げる」「災害が起きた後の生活をより良いものにデザインする」ことです。今後は、更により多くの市民に対して防災・減災活動の必要性の認識を広め、地域社会で、災害から大切な命を守ることのできる安全で安心な社会づくりに寄与していきます。

夢を仰ぎて己を信ず

今回紹介した取り組みを通して、生徒達が見せた「困難に立ち向かい、課題解決していく姿」は、大変頼もしく、本校の校是である「夢を仰ぎて己を信ず」を体現したと言えます。これからも、総合学科高校ならではの多様な選択科目や諸活動を通して、全ての生徒・職員がESD(持続可能な開発のための教育)を意識した取り組みに臨んでいきます。

NPO発足までの歩み

平成30年8月~現在

  • 静岡新聞社・静岡放送主催「TeamBuddy」プロジェクトに参加
  • 高校生防災特集特別紙面企画

令和2年6月~10月

  • 「水防災高校生向け教育教材」の開発
  • 高校生向け防災教育教材を活用した授業を実践

令和3年1月

  • マックスバリュ東海と協働した防災食のオリジナルレシピ考案

令和3年2月~9月

  • 防災NPO発起(勉強会、総会開催)
  • NPO定款等書類申請手続き
  • 令和3年10月NPO認可(予定)

防災NPO起ち上げへの道出会いが紡ぐ「円」と「縁」については以上です。

実践ノート477:児童と一緒にアップデートする授業改善

静岡市立南部小学校 教諭 浅井公太

ICT端末を文房具に

本校をはじめとして、静岡市では、令和3年度より一人一台のICT端末として、Chromebook(以下、端末)が導入されました。
導入初期、端末を触った児童は、目を輝かせていました。しかし、端末が児童にとって特別なものでは、授業活用できません。まずは、教室にあって当たり前のものとなるよう積極的に端末を使いました。例えば、休み時間の端末の使用制限はしませんでした。
児童は休み時間に自由に端末を使います。タイピング練習や、自作のアニメを作成する児童などがいました。中には複数のクラスの児童が集まり、共同編集で委員会の掲示物を作成する児童もいました。
教員が端末の使用について制限をかけると、端末は児童にとって特別なもののままです。休み時間の自由な活用は、端末を特別なものでなく、ただの「文房具」として意識させるための手だてとして有効でした。

学習者主体の授業のきっかけに

児童の学校生活に端末が溶け込んでくるのを見て、次は授業改善を意識しました。GoogleWorkspaceforEducationは、リアルタイムで共同作業ができます。共同編集を授業に取り入れていくことで、授業内の班活動の時間が増えました。
共同編集する班活動の利点は、アウトプットする機会が増えることです。発言が苦手な児童も文字を打ち込むことで、アウトプットできます。そして、そのアウトプットがきっかけとなり自然な対話も生まれました。
児童のアウトプットの多い班活動は、一斉学習から脱却し、学習者主体の授業のきっかけになりました。最近は、ルーブリックや学習過程を班で決めています。自分たちで班活動の目標と過程を決めるため、より学習者主体の授業に近づきました。

変わる授業観

新しく端末が整備され、学習環境が変化したため、教員は授業観を再考する必要があります。最初は失敗の連続でした。しかし、児童と一緒に課題を解決しながらアップデートすることで、授業改善につながり、学習者主体の授業を目指すきっかけとなっています。

実践ノート477は以上です。

実践ノート478:GIGAによる新たな学びを子供たちと創る

掛川市立桜が丘中学校 教諭 川中瑞貴

GoogleClassroomで伝える

皆さんは、生徒へ連絡事項を伝える際、どのような方法を用いているでしょうか。学級では非常に多くの情報が飛び交います。口頭で伝えられた情報を、生徒全員が正確に受け取ることができるとは限りません。そこで、GoogleClassroomを活用し、この問題の解消を試みました。
私の学級では、GoogleClassroomで「学級掲示板」を作成し、連絡事項をそこへ書き込むことにしました。書き込み権限を生徒にも与え、学級全体への連絡のために掲示板を活用しています。実際に活用したところ、「どうすればうまく伝わるだろうか」「アンケート機能を使えば効率よく意見が集まるかもしれない」など、工夫して活用する生徒の姿が多く見られました。生徒は「自分の取り組みで、この活動がうまくいった」など、自治的に活動したことへの満足感を得ていました。掲示板の活用で情報が行き渡ることにより、それぞれの活動が円滑に進み、生徒の自信につながりました。

いつでもどこでも提出可能

私が担当する数学の授業では、生徒は課題をiPadからデータで提出します。生徒はiPadでGoogleClassroomを開き、課題データを所定の提出場所に送信します。iPadを自宅へ持ち帰っていれば、自宅から課題を提出することもできます。データはGoogleDriveへ自動で、学級・日付ごとにフォルダ分け・保存されます。教員・生徒ともに、いつでも好きなときに蓄積したデータを見返すこともできます。
また、GoogleClassroomは教材や資料を生徒一人一人へ配信できるため、特別支援的な利点もあります。例えば数学の授業・計算問題の答え合わせの際、これまで板書していた内容を、データ配信すれば手元で模範解答を確認できます。書き写すことを苦手としている生徒はストレスがない状態で、思考の時間を確保できるようになりました。

iPadで広がる活用アイデア

iPadは、これまで教員や生徒が抱えていたストレスを解消し、より効率よく、効果的な活動を行うためにとても有効なツールです。本校では、全校でこれらの取組にチャレンジし始めています。実際に活用してみると、たくさんのアイデアが浮かんでくるため、可能性はまだまだ計り知れません。

実践ノート478は以上です。

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