Eジャーナルしずおか第265号(抜粋)令和5年11月発行
世界に羽ばたく高校生を応援!「ふじのくにグローバル人材育成基金」の活用
静岡県教育委員会では「ふじのくにグローバル人材育成基金」に寄せられた寄付金を活用し、高校生の海外留学支援や海外インターンシップ、グローバルハイスクール研究指定などを行っています。基金創設の平成28年4月から7年間で1,626人の活動をサポートしてきました!各事業の概要や取り組みの様子、活動成果を報告します!
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基金を活用した事業(ふじのくにグローバル人材育成基金)
県ホームページに、より細かな各事業の詳細や実績を掲載しています。
主な事業の概要(令和5年度)
*令和6年度のメニューについては、現在検討中です。
国際感覚豊かな人材の育成に向けた取組
短期留学
学校、市町、NPO等の民間が実施する現地スタディツアー、地域の課題解決につなげる探究活動、語学研修、ボランティア活動等に参加
【募集】14人程度
【期間】1週間以上1か月程度未満
【補助】上限30万円
グローバルハイスクール研究指定
学校の特色を生かした課題研究を中心に、海外の大学や研修機関等と連携してフィールドワーク等を実施する学校を指定
【指定校】6校
【指定期間】2年程度
【補助】上限200万円
「ものづくり県」の次代を担う人材の育成
海外インターンシップ
県内企業の海外支社や海外工場における就労体験等を実施
【募集】生徒11人、引率教員2人程度
【期間】国内研修2日、海外研修3泊4日程度(7~8月)
※旅費・参加費県負担
短期留学 参加者の声
短期留学(オーストラリア) Yさん
今回の研修で、主に英語学習と今後の自分の生活についての考え方が大きく変わった。実際に海外に行ってみると、自分が伝えたいことがうまく伝えられず悔しい思いをすることがあった。これからの英語学習は、目先のことだけではなく、より広い視野で、より実践的な英語を習得することを目的として取り組んでいきたい。
短期留学(オーストラリア) Nさん
一生懸命に話せば一生懸命に聞いてくれたり、”Thank you”と言えば笑顔になってくれました。日本人も同じだと思いました。異文化と言っても同じこと違うことがあり、同じ日本人同士でも理解し合えないこともある。結局は同じ人間なのだと思いました。
グローバルハイスクール研究指定
グローバルな社会課題を発見・解決できる人材や、グローバルビジネスで活躍できる人材の育成に取り組むとともに、質の高いカリキュラムの開発・実践やその体制整備を行うことを目的に、平成28年度から開始しました。令和5年度は、下田高等学校、韮山高等学校、富士宮東高等学校、静岡城北高等学校、相良高等学校、日本大学三島高等学校がグローバルハイスクールを実施しています。
静岡城北高等学校の取り組み
グローバル化によって生じている県内の課題に気付き、解決方法を考え、行動することを目指す「地域研究課題」と、グローバルな視野と確かな英語力を身に付ける「国際性の育成」を活動の軸として、グローバル化に伴う世界と地域の課題解決のために行動する人材の育成をしています。
県内出身のグローバル企業人との交流やグローバル企業への訪問研修、県内大学で学ぶ留学生や、モンゴル、アメリカ、タイ、インドネシア、モーリシャスなど、様々な国の高校生との交流活動などを通して、グローバル科だけでなく普通科の生徒も身近な課題から地球規模の課題まで、社会のあらゆる問題にグローバルな視点を持って解決方法を模索しようとする意識が芽生えています。
海外インターンシップ
グローバル人材育成基金を活用し、平成28年度から当事業に取り組んでいます。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、令和2年から4年まで海外での研修を実施することができませんでしたが、今年度、4年ぶりの実施となりました。県内の高等学校に在籍する2年生33人が、インドネシア(ヤマハ発動機株式会社11人、株式会社呉竹荘11人)、タイ(ジヤトコ株式会社11人)に渡航し、現地にてインターンシップを実施しました。
参加生徒からは、「『国内研修』、『海外研修』と一連の流れで研修することで違いを学ぶことができ、海外マーケットでの県内企業の魅力や競争力、貢献度などを肌で感じることができました。」という声が寄せられました。なお、参加生徒は、今後、各所属高校で報告会を行い、研修での体験や感じたことなどを多くの生徒に伝えていきます。
参加者の声
- 高校生のうちにこのような経験ができたことは、将来においてとても価値があったと感じられた。
- 今回の研修で自分が想像していたよりも沢山の貴重な体験をさせていただき、思い切って応募してよかったと思いました。
- 海外で活躍する企業が県内にあることを実感することができ、県内企業の凄さを感じた。嬉しい気持ちになった。
実践NOTE527
磐田市教育委員会での経験と今後に向けて
静岡県立科学技術高等学校 主任 青井 俊太
はじめに
私は令和3年度から磐田市教育委員会の教育総務課で2年間勤務させていただきました。その中で経験したことや、実践していきたいことを紹介します。
誰が見てもわかる資料に〜会議資料の作成から〜
私が担当した分掌の中に、教育委員会会議の運営があります。当該会議は教育長や教育委員などが出席し、会議の議案となるものを審議・報告・協議します。会議日までに関係各所への連絡調整、会議資料や議事録の作成などの準備をしますが、一部でも間違いがあると、当日の会議に大きく影響を及ぼす可能性があり、言葉一つをとっても注意する必要があります。自身の作成した資料は何度も見返し、誰が見てもわかる資料になるよう意識することが大切だと気づかされました。
全体を把握すること〜「磐田の教育」を発行して〜
磐田市で毎年発行している「磐田の教育」の編集を担当しました。そこには磐田市教育委員会の教育目標や施策を載せていますが、この冊子を作る準備の中で、どの部署がどのような事業に取り組んでいるのかを理解することができました。そのことから、前述した教育委員会会議などにおいて諮られる議題やその他の取り組みなどを理解することができ、自分の部署以外の教育に関わる全体を把握することも、今後の業務に繋げられることを学びました。
台風被害の現場
令和4年9月に発生した台風では磐田市内で多数の被害をもたらし、市の職員総出で復旧作業を行うべく、私も浸水被害のあった学校に流れ込んだ土砂の掻き出し作業を行いました。実際に見た被害の大きさは、事前に聞いていた情報から想像していたものをはるかに超えており、現場に出向き状況を確認することの重要性を感じました。
今後に向けて
令和5年度から勤務している県立科学技術高等学校は、全日制と定時制を合わせて生徒数は1,000人を超え、県内でも規模が大きい学校です。施設担当となり、大規模な改修工事も予定していることから、磐田市で学んだことなどをこの学校でも実践していきます。
実践NOTE527は以上です。
実践NOTE528
高め合い よりよい自分を求めていく子の育成
清水町立西小学校 教諭 小林 佑基
はじめに
西小学校は、全校児童413人、その内16%が外国籍児童の学校です。令和4、5年度は文科省の委託を受け、「児童生徒の発信力強化のための英語指導力向上事業」に取り組んでいます。本校では、発信力を「相手に伝わるように表現する力、分かろうとして聞ける力」と捉え、子供たちの発信力強化と外国語活用の日常化を進めています。
実践の紹介
外国語科・外国語活動の資質・能力の育成に向け、子供たちと単元終末の姿を共有するバックワードデザインの視点から、単元を構想しています。
また、子供たちが目指す姿に迫るよう調整を行う中間評価について研究を進めています。
このような実践を通して、子供たちが単元終末に向けて、見通しをもって取り組んだり、目指す姿と今の自分を比べて、もっと頑張りたいことを考えたりしながら学習に取り組むようになっています。日々の振り返りで「○○の言い方が分かった。」「次は○○を書けるようにしたい。」と学習意欲を高める子も増えています。
そして、低学年から外国語に親しむ活動を取り入れられるよう、カリキュラムマネジメントをしています。3年生の言語材料の一部と1・2年生の各教科の学習内容とを関連付けながら活動を設定することで、外国語への慣れ親しみや、教科の学習内容の充実につなげています。
成果と課題
児童アンケート「英語を使って、進んで自分の考えや気持ちを友達に伝えようとしている。」で「とても思う」「そう思う」と回答した児童が、昨年度から4年生は2.1ポイント、5年生は5.4ポイント、6年生は10.5ポイントといずれも伸びが見られました。外国語の授業を楽しみにしている子供も多く、子供たちの発信力が高まっていると言えます。
子供の活動に対する評価の具体性が今後の課題です。外国語の言語活動の中で「思考力・判断力・表現力」「主体的に取り組む態度」をどのように評価し、価値付けるのかについて難しさを感じています。これからも子供たちの豊かな発信力の育成に向けて研究を進めていきたいと思います。
実践NOTE528は以上です。
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