発生動向総覧

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ページID1064794  更新日 2025年11月14日

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発生動向総覧

インフルエンザの流行が注意報レベルとなっています(第45週14.65)

インフルエンザの発生動向調査は、9月1日から新シーズン(2025-2026シーズン)となり、新シーズン7週目となる、2025年第42週(10/13~19)の感染症発生動向調査で、静岡県内のインフルエンザの定点当たり患者数が流行開始の目安とされている1以上となり(第42週:4.23)、流行期となりました。第44週(10/27~11/2)には注意報開始基準の10を超え(第44週:10.40)、注意報レベルとなりました。

今後、さらに流行が拡大することも考えられますので、県民の皆様には、咳エチケットや換気、手洗いの励行、インフルエンザワクチン接種の検討など、感染拡大防止に努めていただくようお願いします。

※インフルエンザの定点当たり患者数とは、県内139の内科・小児科定点医療機関から報告された1週間の患者数を施設数139で割った数値です。

※流行開始の目安とされている定点当たり患者数は1、注意報レベルは10、警報レベルの開始は30、警報レベルの終息は10です。

新型コロナウイルス感染症感染拡大注意報は解除されています(第45週1.99)

第34週(8月18日~24日)の定点あたり患者数が8.34と注意報基準値の8を超えたため、8/29に感染症拡大注意報を発令しました(昨年は第30週(7月22日~28日)がピークで定点当たり患者数が15.60、注意報は7月19日~9月19日の約9週間続きました)。第36週(9月1日~7日)は、7.80と基準値の8を下回ったため、感染拡大注意報を解除しましたが、第37週(9月8日~14日)に8を超えたため、再度、注意報を発令しました。第38週(9月15日~21日)は、6.65と基準値の8を下回ったため、感染拡大注意報は解除されています。(注意報期間:8月29日~9月11日、9月19日~9月25日)。なお、9月に入ってからのコロナ患者さんは、学校の新学期が始まったためか、20歳未満が全体の4割を占めています。

感染拡大注意報基準である定点当たり8人を下回りましたが、例年、年末年始にかけて増加する傾向がありますので、県民の皆様には、引き続き、咳エチケットや換気、手洗いといった感染拡大防止対策に御協力をお願いします。

県内の新型コロナウイルスの変異株の状況は、4月頃から新たにNB.1.8.1系統が県内でも検出され、6月にはゲノム解析件数が4件と少ないですが、全てNB.1.8.1系統でした。また、7月には8検体中、6検体がNB.1.8.1系統です。現時点ではNB1.8.1系統によって重症者が増えるという情報はなく、県内のコロナの入院患者数も少ない状況です。

RSウイルス感染症は再増加しています(第45週0.71)

RSウイルス感染症の定点医療機関当たり1週間の報告数が、第10週において1.07人と1を超えましたので、県は流行期に入ったと判断しました(RSウイルス感染症には、国が定める注意報や警報の基準値はありませんが、静岡県では0.5で「流行が始まる可能性あり」、1以上で「流行期に入っている」と考えています。)

静岡県内のRSウイルス感染症の定点医療機関当たり1週間の報告数は、第5週(1月27日~2月2日)に0.64で、0.5を超え、第10週(3月3日~9日)と第11週(3月10日~16日)に1台になり、その後も0.5~0.8付近を推移していましたが、第19週は0.2台に下がりました。その後は0.1台の週が多くなっていましたが、第27週(6月30日~7月6日)以降は0.2台となり、第29週(7月14日~20日)は0.4台に増加し、第33週(8月11日~17日)には再び1を超え、第37週(9月8日~14日)には2を超えました。第43週(10月20日~26日)には0.74と、1を下回りましたが、春の流行が小規模でしたので、今後しばらく発生数が増加し、流行が続く可能性があります。県内の患者の年齢は、80%以上が2歳以下です。

RSウイルス感染症は、飛沫感染(咳、くしゃみの飛び散り)や接触感染(鼻水や痰、だ液等を触る)でうつります。うつってから発症するまでの潜伏期間は約5日、人にうつす感染期間は発症後約1週間です。

症状は、発熱、咳、鼻水、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーの呼吸)です。年長児や成人では、軽いかぜ症状ですむ場合も多いですがが、乳児早期(特に2か月以下の赤ちゃん)に感染した場合は、急性細気管支炎や肺炎となり、哺乳低下や呼吸困難で入院したり、さらには人工呼吸管理を要したりすることもあります(感染した乳幼児の約30人に1人は入院するという報告もあります)。

RSウイルス感染症専用の有効な治療法はなく、水分補給の点滴や酸素投与などの対症療法のみです。赤ちゃんがいる家庭では、かぜ症状のある方から赤ちゃんにうつさないようにマスク着用や手洗いを励行してください。赤ちゃんが、咳鼻水やぜーぜーで、ミルクの飲む量が減ってきたら、早めに小児科医院を受診しましょう。

マイコプラズマ肺炎が流行しています(第45週0.6)

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマによる細菌感染症です。感染経路は、主に飛沫感染と接触感染で、家族内や学校など濃厚接触が多い場所で、しばしば集団発生が起こります。潜伏期間は2~3週間程度で、主な症状は発熱、全身倦怠感、頭痛、咳などで、解熱後も咳が長く続くことがあります。必ずしも肺炎にならず、上気道炎や気管支炎も多いです。全年齢層に感染が見られますが、若年齢層に多く、14歳以下が6~8割を占めます。過去の疫学調査研究では、3~7年程度に1回国内で大きな流行が起こっています。

2024年第29週(7/15~7/21)以降、定点当たり患者数※0.5以上が続き、第35週(8/26~9/1)は1.1となりました。(第31週は0.5)国は基準値を定めていませんが、県感染症情報センターでは、0.5以上が継続した場合、流行が始まる可能性あり、1以上では確実に流行していると考えています。(県内の定点当たり患者数が1以上となったのは、2019年第51週(12/16~12/22)以来です。)今年2025年に入ってからは、第2週(1月6日~12日)に1.5まで上昇しましたが、その後は0~0.8(平均0.3)で推移していました。第35週は再度1を超え、1.3となっています。

マイコプラズマ肺炎の過去の流行では、1,2年間にわたって患者数が多い期間が続いていますので、県民の皆様には、引き続き、人混みでのマスク着用、咳エチケット、適切な換気と手洗いなど、飛沫・接触感染の対策に御協力をお願いします。

百日咳が流行しています(第45週19人)

第6週(2/3~)以降、1週間に1~2人の百日咳患者が県内医療機関から報告されることが多くなっていましたが、第14週(3/31~4/6)に5人となり、第15週(4/7~4/13)は21人と急増しました。その後は第20週(5月12日~18日)までは20人前後が続いた後、第21週(5月19日~25日)に40人まで増えてからは毎週増加し、第28週(7/7~7/14)は84人となり、全数把握感染症となった2018年以降の最高値を更新しました。(それまでの過去最高値は、2025年第26週(6/23~6/29)80人です。)発生数は徐々に減少し、第39週(9月22日~28日)には19人まで減少しました。しかし、その後、横ばいの状況が続いており、今後、再度増加する可能性もあります。(第45週19人:東部7富士1中部2西部6浜松市3)コンコンという咳が連発してよる眠りにくい場合には、マスク可能な方は着用して、早めに受診しましょう。

年齢分布では10~14歳が最多で、続いて5~9歳が多くなっています。百日咳を含むワクチンをまだ打っていない赤ちゃんがいる家庭で、兄弟が咳症状がある場合には赤ちゃんに近づかないようにしてください。

なお、生後6か月以下の赤ちゃんが百日咳にかかると呼吸がしにくくなるなど重症になる場合がありますので、2か月になったらすぐに5種混合ワクチン(百日咳ワクチンを含んでいます)を接種しましょう。また、咳のひどい人は赤ちゃんの世話を避けることも大切です。

伝染性紅斑の警報レベルは終息しました(第45週0.65)

伝染性紅斑が、第3週(1/13~1/19)の0.51以来、0.5を超えることが続いていましたが第17週(4/21~4/27)に警報基準値の2を超えました。第42週(10/13~19)は0.82となり、警報終息基準値の1を下回りました。(警報レベルの期間は25週間(4/21~10/12)でした。)

警報レベルとなったのは、2011年第25週(6/21~6/27)以来で、その時は第28週(7/12~7/18)まで継続しました。2025年第20週には3.27となり、記録が残る2006年以降の最高値となりました。(これまでの過去最高値は、2011年第25週(6/20~6/26)の2.57です。)

直近の県内では、伝染性紅斑にかかる人は3~9歳の子どもが主になっています。子どもがかかっても、軽い風邪症状のあと、両頬や腕に淡いピンクの発疹が出ては消えるだけのことがほとんどで心配は要りません。妊婦さんがかかると赤ちゃんがしんどくなることがありますので、妊婦さんで多数の子どもに接する方は、かからないようにマスク着用が望ましいです。家族が伝染性紅斑になった場合、妊婦さんは産科医院に相談してください。

今週のコメント

第45週(11/3~11/9)の感染症発生動向調査では、インフルエンザの定点当たり報告数が14.65人となり、前週の10.4人から増加し、注意報レベルの基準値10を2週連続で超えました。急性呼吸器感染症(ARI)の定点当たり報告数は61.71人となり、前週の68.35人から減少、新型コロナの定点当たり報告数も1.99人となり、前週の2.45人から減少しました。

【急性呼吸器感染症】

全県で罹患数8,577、定点当たり61.71の患者発生があり、前週の68.35から減少した。定点当たり東部地区で68.34、中部地区で45.14、西部地区で69.45の患者が発生した。                                               

【インフルエンザ】

全県で罹患数2,036、定点当たり14.65の患者発生があり、前週の10.4から増加した。定点当たり東部地区で16.26、中部地区で7.38、西部地区で19.43の患者が発生した。東部地区と西部地区で、注意報レベルの基準値10を超えている。                   

【新型コロナ】

全県で罹患数277、定点当たり1.99の患者発生があり、前週の2.45から減少した。定点当たり東部地区で2.38、中部地区で1.67、西部地区で1.87の患者が発生した。

【感染性胃腸炎】

全県で罹患数210、定点当たり2.36の患者発生があり、前週の2.48から減少した。定点当たり東部地区で2.19、中部地区で2.19、西部地区で2.7の患者が発生した。

【RSウイルス感染症】

全県で罹患数63、定点当たり0.71の患者発生があり、前週の1.06から減少した。定点当たり東部地区で0.75、中部地区で0.59、西部地区で0.77の患者が発生した。                                                                                              

【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎】

全県で罹患数112、定点当たり1.26の患者発生があり、前週の1.37から減少した。定点当たり東部地区で1.09、中部地区で1.7、西部地区で1.03の患者が発生した。                                               

  • 麻疹、風疹は患者発生なし。
  • 全国のインフルエンザの定点当たりの患者報告数は21.82で前週の14.9から増加した。警報レベルの保健所を有する都道府県は19から25に増加、注意報レベルの保健所を有する都道府県は38から44に増加した。
  • 全国の新型コロナの定点当たりの患者報告数は1.95で前週の2.28から減少した。
  • 静岡県において第45週に定点当たり患者報告数の多かった疾病は、順に1)急性呼吸器感染症(61.71)、2)インフルエンザ (14.65)、3)感染性胃腸炎(2.36)、 4)新型コロナ (1.99)、 5)A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 (1.26)、6)RSウイルス感染症(0.71)であった。

インフルエンザ罹患数推移

県内衛生研究所におけるインフルエンザウイルス検出状況(2025/2026シーズン)    (令和7年第36週~)

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