(1) 未来を創る力
令和8年2月県議会定例会 知事提案説明要旨
3 「幸福度日本一の静岡県」の実現に向けた取組 (1) 未来を創る力
次に、「幸福度日本一の静岡県」の実現に向けた取組について、次期総合計画の3つの政策体系に沿って御説明いたします。
1つ目の柱、「未来を創る力」のうち、はじめに、産業分野であります。
まず、本県の「地域未来戦略」でありますが、「強い経済」の実現に向け、国が策定する「戦略産業クラスター計画」と、知事が策定する「地域産業成長プラン」で構成する「地域未来戦略」を、本年夏頃に取りまとめる予定です。
本県としても、国に対し本県産業の優位性をアピールしつつ、今後、「地域産業成長プラン」を策定してまいります。先端技術を活用した新たな産業の創出、本県が強みを持つ産業の拡大、新市場を切り拓く可能性のある産業への挑戦などをこれまで取り組んできた次世代産業関連プロジェクトに加えて新プランに位置付け、未来に向けた本県の経済基盤の確立を目指してまいります。
次に、スタートアップ支援でありますが、ベンチャーキャピタルと連携した資金調達支援、スタートアップが県内で実施する実証事業への助成など、今年度から開始した支援策を更に加速するとともに、国内外からのスタートアップの積極誘致、県内企業との連携などを進め、経済を活性化させてまいります。
これに加え、来年度は新たに、スタートアップと連携したAI活用による中小企業等の課題解決支援のほか、今年6月にパリで開催される世界最大規模のスタートアップイベントである「Viva Technology 2026」への出展支援など、「スタートアップ先進県」を目指した施策を推進してまいります。
次に、次世代エアモビリティでありますが、早期の国内社会実装に向けた民間事業者の参入促進のため、その前提となる国の制度設計を加速させることが必要です。そのため、中部圏の10県、3政令市と経済団体による広域リージョンを活用しながら、国に、合理的な制度整備を働き掛けてまいります。
次に、企業誘致の推進でありますが、特に県外企業の誘致を促進するため、県内初進出の企業に対し全国トップレベルの企業立地補助金を用意し、私もトップセールスを行うことで、経済波及効果の高い企業を誘致してまいります。産業団地開発についても、規制緩和の活用、適地調査への補助など市町への支援に加え、企業局において先行造成を実施し、用地供給を加速化いたします。今後は、経済産業部、企業局、関係部局で構成するプロジェクトチームを立ち上げ、誘致と開発をワンストップ体制で進めることで、企業立地日本一を目指してまいります。
次に、地域経済を牽引する企業の成長促進でありますが、新規事業や業態転換に挑戦し新たな価値を創出する、いわゆる「第二創業」を推進してまいります。後継者が自社の経営資源を再評価し、事業の可能性を構想から実現まで磨き上げるための伴走支援、次世代経営者塾の開催など、後継者の果敢な挑戦を後押ししてまいります。
併せて、売上高100億円という目標を掲げる「100億宣言」企業など地域の雇用、賃上げ、サプライチェーンの中核を担い、本県経済を牽引する可能性のある企業を集中的に支援し、成長を後押ししてまいります。
次に、産業人材の確保・育成とDXの推進でありますが、若者の県内就職促進のため、通年でインターンシップ、オープン・カンパニーに申し込める特設サイトを設置し、若者と企業のマッチングを支援してまいります。また、職場体験講座の対象を中高生にも拡大し、開催時期を通年化するほか、Web上で企業と学校、児童生徒などが相互に交流できるプラットフォームを構築してまいります。
そして、新たに策定する「静岡県デジタル人材確保・育成戦略」に基づき、スタートアップとの協業促進や次世代AI人材の育成などに取り組み、企業の求めるデジタル人材を戦略的に確保・育成してまいります。
次に、持続可能な農林水産業の展開でありますが、農業につきましては、深刻化する農業従事者の減少・高齢化に対応するため、社会人が働きながら研修を受講できる新たな仕組みを導入するとともに、経営スキルの習得を通じ農業経営人材の育成・能力向上を図ります。
また、地域計画に基づく担い手への農地の集積・集約化、法人誘致の強化、農地の基盤整備、スマート農業技術の活用などを支援してまいります。
地球温暖化への適応対策としては、「気候変動専門対策チーム」による高温耐性品種の開発・実証・普及を加速いたします。
お茶につきましては、グローバルブランドの構築とともに、輸出需要の高い抹茶や有機茶の生産拡大に向けた品種転換などへの支援を行い、需要に対応した生産、そして稼げる茶業への構造転換を図ってまいります。
加えて、静岡県食肉センターが、今年4月より、豚処理施設の供用を開始いたします。牛処理施設も、来年1月の完成に向けて整備を進めてまいります。
林業につきましては、デジタル森林情報を活用した森林の集積・集約化、早生樹を用いた次世代林業モデルの構築などを通じ、林業経営体の生産性と収益性の向上を図るとともに、建築物における県産認証材利用による需要拡大、森林技術者の確保・育成により、持続可能な林業経営の実現に取り組んでまいります。
そして、水産業につきましては、漁協を核に、漁業や食文化、マリンアクティビティ等の地域資源を結びつけた海業の取組を推進し、収益事業を創出することで、新たな水産業モデルの構築を目指してまいります。併せて、海洋変化に対応した磯焼け対策、アサリの資源回復に向けた総合的な対策の実施などを通じ、水産資源の保全・回復を図ってまいります。
次に、環境・エネルギー分野であります。
まず、再生可能エネルギーの導入拡大と省エネルギー対策の推進でありますが、建築物などへ設置拡大が期待されるペロブスカイト太陽電池の導入実証、地域課題解決に繋がる再生可能エネルギー設備の導入支援などを行ってまいります。
洋上風力発電につきましては、関係市町や漁業関係者などと議論を深めつつ、具体的な導入可能性を探るため、漁業実態調査を実施いたします。加えて、脱炭素と経営改善を両立させる先進的な取組に対する助成制度を新設するなど、企業活動における省エネ、エネルギー利用の高度化を促進してまいります。
次に、リニア中央新幹線建設に伴う自然環境の保全でありますが、先月24日、大井川の水利用に影響が生じた場合の「補償の対応」について、国土交通省の水嶋事務次官の立会いの下、県とJR東海との間で補償確認書を締結いたしました。補償の請求期限、対象期間、因果関係の立証などについて本県の主張が全面的に盛り込まれ、流域の皆様の不安や懸念に寄り添った確認書を取りまとめられたと考えております。また、ヤード追加造成に伴う自然環境保全協定についても、今月13日に締結したところであります。
県としては引き続き、リニア中央新幹線の整備と大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立に向けて、スピード感を持ち、かつ丁寧に、JR東海との対話を進めてまいります。
次に、観光・交流・インフラ分野であります。
まず、観光振興につきましては、国内外の高付加価値旅行者の取り込みに注力いたします。国内向けには「推し活」を旅行動機につなげる「あなたの“推し”に会える、しずおか」を掲げ、リピーター獲得と県内周遊を促進いたします。また、海外向けには、富士山の高い認知度を生かし、「富士山といえば、しずおか」を掲げ、戦略的な誘客を図ってまいります。
特に、海外ラグジュアリー層の取り込みに向けて、「富士山静岡空港ビジネスジェット・スカイベース戦略」に基づくビジネスジェット誘致や、伊豆半島の港湾等へのスーパーヨット誘致、ガストロノミー、ゴルフ、モータースポーツなど付加価値の高いツーリズムへの重点化を図ってまいります。
これらに加え、市町と連携し、富裕層向けホテル誘致を促進するほか、新たに宿泊施設の改修、遊休施設のリノベーションへの助成制度を設け、インバウンドの受入れ拡大と観光地域の稼ぐ力の向上を図ってまいります。
次に、富士山静岡空港でありますが、令和7年の搭乗者数は、同年6月からダブルデイリー運航となったソウル線の好調により、前年の約1.2倍となる68万9千人となりました。
国内線においては、ANAが、10月1日から札幌線及び那覇線を運休することとなりました。コスト構造等を考慮した経営判断と承知しておりますが、静岡空港として重要な路線であることから、その他の航空会社に路線継続を働き掛けてまいります。一方、国際線においては、来月30日からエアプサンの釜山線、4月28日からベトジェットエアのハノイ線の新規就航が相次いで決定し、状況は好転しつつあります。
更なる新規路線の開設、復便による路線拡大、運航中の路線の利用者拡大を目指し、富士山静岡空港株式会社、富士山静岡空港利用促進協議会など関係機関とともに「オール静岡」で取り組んでまいります。
次に、「地域交通のリ・デザイン」でありますが、バス等の利用が困難な交通空白地域や、既存交通の持続が困難な地域における日常生活の移動手段確保に向けて、民間企業の知見を活かした提案を積極的に活用し、公共ライドシェア等の導入を進めてまいります。まずは、民間企業からの提案に基づき、公共ライドシェア等の運行管理を複数の市町で共同で行う仕組みを整備してまいります。
また、新たに公共ライドシェア等を導入する市町への補助制度を創設するほか、都道府県単位では初となるドライバーバンクを設置するなど、公共ライドシェア等の導入に向けた市町への支援を加速してまいります。
次に、地域外交の展開でありますが、先月1日より、新たな静岡県地域外交基本方針を施行いたしました。「交流人口の拡大」と「海外活力の取り込み強化」を2本柱に、8つの重点的取組を定めたところでありますが、インドとの連携加速、世界都市自治体連合(UCLG)のネットワーク活用、今後の経済成長が見込まれるブラジルとの連携など、新たな取組も進めてまいります。
