(2) 豊かな暮らし
令和8年2月県議会定例会 知事提案説明要旨
3 「幸福度日本一の静岡県」の実現に向けた取組 (2) 豊かな暮らし
続いて、2つ目の柱、「豊かな暮らし」のうち、はじめに、こども・教育分野であります。
「こどもまんなか社会」でありますが、少子化が進む中、その抑制を進めつつ、少子化に適応した子育て環境を構築するため、県内35市町が客観的指標や県民の主観的な評価を把握し、ウェルビーイングの視点で子育て環境の充実に取り組む「しずおか・地域こども未来羅針盤」を策定してまいります。
また、本県の公立小中学校における不登校児童・生徒数は、令和6年度に11,904人と過去最多を更新しており、個々の児童生徒に対して自立のための支援の取組強化が必要です。これまで学校や教育委員会が中心に対応してきましたが、これに福祉的支援などを加え、こどもや保護者に寄り添い伴走支援する体制づくりを目指すモデル事業に取り組んでまいります。
こどもまんなか社会の実現に向け、「こども第一主義」の姿勢で、こども・若者、子育て支援にしっかりと取り組んでまいります。
次に、新たな教育振興基本計画に基づく教育政策の推進でありますが、新たに策定する静岡県教育振興基本計画では、ウェルビーイングの向上の視点を取り入れ、「未来を創造する力を育む教育の推進」、「全ての人の学びを支え力を引き出す教育の推進」などの柱のもと、11の重点施策を定めております。
この新たな計画のもとで、幼児教育から学校教育、社会教育、生涯学習まで、全てのライフステージに応じた教育の推進と、その基盤となる教育環境の充実に社会全体で取り組んでまいります。
次に、理系人材の育成でありますが、将来の本県産業を支える理系人材の育成に向けて、高校生による理系分野の高度な研究に対する支援、研究成果を発表する理系探究EXPOの開催、小中学生や保護者を対象とした体験型科学イベントや保護者向けセミナー等の開催により、理系分野に興味を持ってもらう機会を創出するなど、将来的に理系分野で活躍する本県出身の技術者・科学者・起業家の育成に向けて取り組んでまいります。
次に、県立学校の魅力向上でありますが、県立高等学校の施設や設備の老朽化への対応は、生徒の学習環境の向上のためにも非常に重要であります。特に、生徒からの要望も多いトイレの洋式化について、令和11年度末までの整備計画を前倒し、令和9年度末に完了いたします。空調設備についても予算を増額し更新を進めるなど、快適な学習環境の確保と魅力の向上を図ってまいります。
次に、特別支援学校の整備でありますが、本年4月、現在の静岡視覚特別支援学校の敷地にするが視覚総合特別支援学校を、浜松江之島高校内に浜松特別支援学校江之島分校を開校いたします。また、旧磐田市立豊田北部小学校跡地に整備をしております新たな特別支援学校の名称につきましては、公募により寄せられた案の中から、「静岡県立磐田特別支援学校」とすることとし、令和9年度の開校を目指し、着実に整備を進めてまいります。
次に、健康福祉分野についてであります。
安心の医療体制の実現につきましては、65歳以上の人口が最大となる2040年頃には、医療需要や疾病構造の大きな変化に加えて、労働力人口の減少による医療従事者の不足が見込まれ、医療機能の集約と分担を進めていく必要があります。
このため、病床融通などのメリットがある地域医療連携推進法人制度の一層の活用に向け、法人の設立や法人が行う電子カルテ情報などの連携、経営分析などに対して支援を行い、地域医療連携推進法人を核とした、医療機関の機能分化と連携を促進してまいります。
これらの取組を進めつつ、将来の医療ニーズに対応した医療提供体制の実現に向け、来年度から、新たな地域医療構想の策定を進めてまいります。
次に、健康寿命の延伸に向けた取組でありますが、本県の死亡率の中で他県に比較し有意に高い脳卒中の発症や生活習慣病を予防していくことが必要です。そのためには、早期発見・早期治療につながる特定健診を受診することが大切ですが、その受診率の向上を図ることが喫緊の課題となっております。
そこで、県内の6市町と共同して、民間のノウハウを最大限活用した受診勧奨モデル事業に取り組むこととし、県として初めて「PFS(成果連動型民間委託契約方式)」の仕組みを取り入れてまいります。このモデル事業の成果を全県に展開し、早期発見・早期治療につなげてまいります。
また、昨年初開催したフードテックやヘルスケアのスタートアップ等が集う商談会「ウェルネス・フーズEXPO」への出展企業数を41団体から約50団体に拡大し、AIによるおいしさの計測など、革新的技術を有するスタートアップと県内企業とのビジネスマッチングを進めてまいります。
このほか、大学や市町と連携して、フレイル対策や睡眠の質改善などの課題解決につながる新たなビジネスモデルの創出を図るなど、食品・健康関連産業の振興と健康寿命の更なる延伸を目指してまいります。
次に、医療的ケア児等の支援の強化でありますが、日常生活において医療的ケアが必要な方への支援体制や災害時の支援等を検討するため、今年度に実態調査を実施してまいりました。調査結果から通院に要する経済的負担が大きいことや災害時の個別避難計画の策定が進んでいないことが課題として把握できたところであります。
そこで、来年度から遠距離の医療機関に通院する医療的ケア児の通院費支援を新たに実施いたします。また、各市町が個別避難計画の策定に取り組みやすくなるように、障害の種別ごとにモデルケースの策定に取り組んでまいります。
次に、暮らし・文化分野であります。
まず、二地域居住の推進につきましては、都市と地方の人材の好循環を図る観点から重要であります。特に、賀茂地域は人口減少・高齢化が著しく、地域の担い手が不足する一方、首都圏から近く、観光資源が豊富で、都市部の二地域居住関心層にアプローチしやすいと考えられます。このため、東伊豆町をフィールドとして、交通費、住居費などのコスト減が二地域居住の推進につながるかの実証事業を、民間企業と連携して実施してまいります。
次に、多文化共生の推進でありますが、2030年には本県の在留外国人数は20万人を超えると見込まれますが、人口減少が更に進む中では、外国人が地域の担い手として活躍するインターカルチュラル社会の実現を目指していく必要があります。このため、県内に在留する外国人の国籍、在留資格、年齢構成などの実態調査・分析を行い、その結果に基づき、地域ごとにきめ細かな多文化共生施策の行動戦略を策定してまいります。
次に、多様な働き方の推進でありますが、女性、高齢者、障害のある方、外国人など多様な人材が働きやすい職場環境づくりを推進するとともに、外国人材の雇用について、新たにマッチングシステムを導入し、採用から定着までを一貫して支援してまいります。加えて、静岡県カスタマーハラスメント防止条例の施行を契機とし、ハラスメント防止に向けた事業を包括的に実施し、若者・女性など被害を受けやすい人材の職場定着を図ってまいります。
次に、スポーツの振興でありますが、スポーツコミッションShizuokaを一般社団法人化し、専門人材を活用したスポーツ大会・合宿の受入れ拡大を図るほか、富士スピードウェイを会場とする、バーチャル空間でのeモータースポーツとリアルのレースを同時に体感できるイベントの開催など、スポーツの力による地域と経済の活性化を図ってまいります。
また、パラスポーツの振興に向けては、県内パラスポーツ施設のネットワーク型障害者スポーツセンターを設立し、4月から運用を開始いたします。施設情報の一元化や地域の活動支援を通じて、誰もが気軽にパラスポーツに親しめる環境を整えてまいります。
次に、遠州灘海浜公園篠原地区の整備でありますが、昨年、民間事業者に公募した公園利活用提案では、行政の全額負担を前提とした提案が多数を占めておりました。その後、道の駅の計画の具体化など、浜松市による公園を含む周辺の取組が進展し、また、今月13日には、地元経済界等からなる期成同盟会から、賑わい創出や活性化のためにも、もう少し時間を掛け民間投資の実現に向けて取り組むよう要望をいただきました。これらを踏まえ、同日に開催した利活用推進協議会において、民間投資の可能性を深掘りしていくとの方針を確認しました。
野球場整備は、財政負担だけでなく稼働率や収益性向上の観点からも、行政だけでの整備には限界があることから、いかに民間投資を呼び込めるかが鍵であります。民間投資の可能性が残っているのであれば、それを見極める必要があると考えております。行政負担の上限と検討期限を設けた上で、県と浜松市で民間投資の可能性を深掘りしてまいります。
次に、文化・芸術の振興でありますが、高齢者による独自の芸術表現である「超老芸術」を活用した創造活動の普及・支援、県内のユニークな美術館・博物館の魅力のサブスクリプションやデジタルトークンなどの新手法による発信などを通して、文化の持つ力を福祉、観光、ビジネス等の多分野に活用することで、社会全体の活性化につなげてまいります。
開館40周年を迎える県立美術館では、4月から「美術館をひらく7つの扉」をテーマに記念展を開催するほか、11月には、3年に一度となる国際オペラコンクールを浜松市で開催し、本県の誇る文化芸術を国内外に発信してまいります。
