(2)持続的な発展に向けた新たな挑戦 リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全

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ページID1043758  更新日 2023年10月17日

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令和4年9月県議会定例会知事提案説明要旨

2.県政の概要(2)持続的な発展に向けた新たな挑戦

次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。

7月20日に、県の第8回地質構造・水資源専門部会を開催いたしました。その中で、JR東海がトンネル湧水の全量戻しの代替案として公表した田代ダムの取水抑制案につきましては、前回の専門部会で、渇水期における実現性を検証し、次回報告するよう指摘をしていたにもかかわらず、JR東海からは、科学的、工学的に実現性を検証できる内容の説明はありませんでした。また、河川法上の課題についても説明がなかったことから、委員の厳しい指摘が相次ぎ、次回の専門部会で検証されることとなりました。

これらを含めて、専門部会で十分な回答を得ていない64項目の意見等について、先月25日に、JR東海に対し、文書での回答を要請したところであります。

また、JR東海は、田代ダムの取水抑制案について、本県に事前の説明がない形で報道発表し、さらに、検証途中であるこの案について「実施することが可能」と記載した冊子も配布しています。JR東海は、本県に対して、十分なコミュニケーションをとり、お互いに納得感をもって、検討を進めていくべきであります。

県といたしましては、国の有識者会議が中間報告で求めた「双方向のコミュニケーション」となるよう、JR東海に対し、真摯な対応を求めてまいります。

また、先月10日には、大井川流域8市2町の市町長と私との意見交換会が開催され、JR東海との対話や国の有識者会議の状況、本県のリニア中央新幹線建設促進期成同盟会への加盟に対する考え方などについて意見交換を行いました。

私からは、リニア中央新幹線の早期実現と、大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立を図るという基本姿勢は全く変わっていないことなどを説明し、市町長からは、県の専門部会委員と情報交換の場を持ちたい、また、頻繁に意見交換を行い意思疎通を図っていきたいとの意見がありました。

引き続き流域市町や利水者とも情報共有を図りながら、一体となって、取り組んでまいります。

先月2日に開催された国の第2回環境保全有識者会議では、県から、JR東海との対話の状況、論点、課題等を説明し、31日に開催された第3回会議では、静岡市が、ユネスコエコパークに対する活動、リニア中央新幹線建設に関する発生土の処理に課題があるとの認識等を説明しました。

JR東海の発生土処理計画については、これまで、県専門部会からも、360万立方メートルもの土砂を、周辺の脆弱な地質状況が懸念される箇所にまとめて盛土することや、重金属等を含む要対策土を処理することなどには課題があると指摘されております。県としても、現在の要対策土の処理計画では、静岡県盛土等の規制に関する条例により認められない旨を、国の有識者会議の場で、明確に説明したところであります。

今後も、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の発生土処理については、県条例等に基づき適正に対応してまいります。

リニア中央新幹線建設促進期成同盟会につきましては、7月14日に全会一致の了承が得られ、本県の加盟が認められました。期成同盟会の規約では、会の目的達成のため、「建設促進に関する調査研究及び広報啓発」を行うことが明記されており、先月9日の臨時総会では、沿線各地の工事の進捗状況の正確な把握と、その共有の重要性が確認されました。また、JR東海が、2010年5月の国の交通政策審議会第3回中央新幹線小委員会に提出した資料では、リニア中央新幹線の建設工事は「実験線の延伸完成から間断なく着手することが重要」とされており、この進捗状況を確認することが重要であります。

このため、まずは、今月7日、山梨リニア実験線から近い距離にある神奈川県駅(仮称)や藤野トンネルの大洞(おおほら)非常口の工事現場を視察いたしました。JR東海から現状などの説明を受け、これらの建設は、概ね順調であることがわかりました。

一方、視察の移動途中で、関東車両基地の整備予定地を通過した際には、現時点で用地取得が完了していないこと、仮に用地取得が今年度中に完了しても、JR東海の現計画では、基地整備に11年を要するとされており、このままでは、竣工は2033年頃になると考えられることなどがわかりました。

期成同盟会においては「工事の進捗状況の正確な把握とその共有」が重要であることから、この現状を文書として取りまとめ、今月9日、会長の愛知県をはじめ構成都府県に送付したところであります。

また、今月14日には、山梨県駅(仮称)予定地や、周辺の工事現場を視察いたしました。JR東海から説明を受け、2027年開業に向け、順調に進んでいることを確認いたしました。

この前日には、JR東海の金子(かねこ)慎(しん)社長からの申し入れを受け、約2年ぶりに直接面談いたしました。

JR東海の計画によれば、山梨工区と長野工区には、本県内の区間が含まれており、このまま工事が進めば、本県内の水が県外に流出することになります。このため、JR東海が現計画の工区を設定した理由の説明や、工事をいつ止めるかについての協議の開始などを要請いたしました。

このほか、現在の進捗状況や発生土処理の問題などについて、直接、コミュニケーションを取ることができました。

県といたしましては、今後とも、リニア中央新幹線の建設と、大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため、国と協力してJR東海との対話を推進してまいります。

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