Eジャーナルしずおか第241号(抜粋)令和3年11月発行
3か月ぶち抜き企画「私の学校紹介します」第2弾 清水南高校・同中等部清水南高等学校
個性が伸びて安心・安全それが清水南
変わる支援と指導清水南高校・同中等部公立中高一貫校の6年間だからできること
今年で創立58年目、中等部が併設されて19年目となる本校。6年間の中高一貫校ならではの安心感の中で、「清水南でなかったら、ここまで伸びていない」という生徒を輩出してきました。そこは、県立の進学校という伝統だけではない、新たな魅力があふれています。生徒・教師の生の声から、その秘密に迫ります。
中等部
表現とは?
「表現」とは、全国で唯一、本校中等部だけで行っている身体表現、言語表現、造形表現を組み合わせた授業です。舞台経験の豊富な専門家や、SPACの皆さんにもご指導いただいています。
- アカデミックハイスクール指定「表現」で高める人間力(表現担当:鈴木和代先生)
私がいつも生徒に言っているのは「表現で生き方を学べ」ということ。グループで作り上げる作品の納得解、最適解を見つけていくことを通して、人とのコミュニケーションを学んで欲しいです。 - 仲間とつくるダンスや演劇(中等部2年:丸山さん)
仲間とアイデアを出し合ったり、たくさん練習したりしながら、本格的なダンスや演劇を学ぶことができるので楽しいです。
安心・安全の学校生活
分散登校・オンライン授業への素早い取り組み
感染が急拡大した8月下旬。生徒の安心・安全と学びの保障の両立のため、中等部は急遽、分散登校・オンライン学習の実施を決めました。そこからの話し合いや事前の準備は多岐にわたりましたが、職員が力を合わせ、夏休み明けからすぐにZoomを使用した分散登校・オンライン学習に移行しました。
校技 ラグビー部
花となるより根となろう(中等部ラグビー部顧問:村上勇先生)
興奮に包まれた「ラグビーW杯静岡県開催」から2年。「表面的な見栄え(=花)重視」の文化が蔓延する現代において、人々に本当の喜びをもたらしてくれるのは「人間的奥行きと他者への思いやり(=根)」であることを気付かせてくれたのではないでしょうか。試合前に「保身」よりも「献身」を優先させる美意識を持ってロッカールームから出てくるラグビー選手の姿は、「人間としてのプライド」に満ちていました。そのような個人を育てたい!清水南で!ラグビーを通して!現在は女子生徒も入部するようになりました。
静岡一のチームになる(中等部2年:水上さん)
あくまで通過点なのですが、今の自分の目標は静岡一のチームになることなので、それに向かって頑張っていきたいと思います。
高校
【普通科】確かな学力養成で自己実現
清水南高校では、中高一貫校の強みを生かした、中学と高校の円滑な接続と新学習指導要領を先取りした「主体的・対話的で深い学び」を目指した授業を推進しています。多様な補講に加え、丁寧な個別面談、魅力ある講演会などを計画的に配した進路指導で、「大学入学共通テスト」への対応も十分に行われています。また、高校から入学してきた「外進生」に対しても、朝学習で学力補充を行うなどの手厚いサポートを実施しています。その結果、特進クラスでは7割以上、普通クラスでも3割以上の生徒が国公立大学へ進学しています。
6年間の仲間と共に(普通科3年生:瀧野さん)
清水南高校の棋道部の活躍を知り、中学校受験を決めました。中等部では身体表現を、高校では言語表現力を高めていく中で、大きく成長できたと私自身は感じています。良き先輩、後輩、仲間と切磋琢磨してきた5年間の経験が、受験期を迎えた今の原動力となっています。
【芸術科】スペシャリストを目指して
清水南高校の芸術科では、スペシャリストを目指して、3年間芸術に真剣に向き合い、専門的な力を育成しています。芸術科の最大の特徴は、3年間で約30単位もの専門科目を学ぶことができることにあります。加えて、美術専攻、音楽専攻、それぞれで10~20名の指導者がおり、専門分野に応じた丁寧な指導を受けることもできます。また、オペラ鑑賞や美術館への訪問、静岡AOIホールでの演奏会や清水マリナートギャラリーでの卒業展といった校外活動も積極的に行っています。充実した学習環境で、手厚い指導を受けることができるため、昨年度は東京藝術大学への現役合格、宝塚音楽学校へ首席での入学といった進路を実現することができました。
専門家のレッスンで広がる世界(芸術科1年生:榊原さん)
授業では専門家の先生によるレッスンもあり、新しいことを教わることで、自分の世界が広がっていく楽しさがあります。友人の演奏を聴くことで、自分には見えていない表現の可能性があることに気付かされ、よい刺激を受けています。入試対策の指導も手厚く、今から大学進学を見据えた準備ができています。
進路実現
- 普通科:小さな悩みも相談できた(2020年度卒業:大場さん徳島大学薬学部)
中等部から高校教員と面識を持ち、コミュニケーションが取れる上に、授業も受けることができます。先生方は生徒に寄り添い、最善の選択を力の限り模索してくれました。また、小さな悩みでも気軽に相談できるような関係であったからこそ、現在大学での学びを幸せであると胸を張って叫ぶことができると思います。 - 芸術科:夢をつかんだ(2020年度卒業:南平さん宝塚音楽学校現役合格)
- 清水南だから叶えることのできる夢がある!(進路課長:和田里衣子先生)
芸術科と普通科で、すべての中学校から生徒を募集しています。普通科で生徒募集をしていることがあまり知られていませんが、外進生も安心して学校生活に馴染める環境です。
実践ノート479:事務職員は“事務”だけではない 事務職員からの提案専門知識の活躍
静岡県立下田高等学校 主事 山本貴之
はじめに
高校の事務職員は、給与や施設の管理などを行っています。しかし事務職員の中には、これまでに教育分野以外で仕事をしてきた人もいると思います。私はこれまでに防災業務に携わっており、今回その経験をもとに生徒に防災教育を行いました。
高校生が防災を学ぶ理由
なぜ高校生に防災教育をしたのか。私はこれまで自主防災組織との連携や防災情報の発信、災害対応などを行ってきました。その中で地域、特に伊豆半島のような高齢化が進んでいる地域にとって高校生を含む若者は災害時の頼れる存在だと期待されているということを強く実感しました。
しかし防災に関する授業はなく、頼られても何もすることができないのが現状です。災害時に自分や周りの人の命を守るための行動をとってほしいとの想いから今回防災教育を行いました。
防災を身近に+災害時のイメージを
まずは防災に興味を持ってもらうために生徒が所有しているスマートフォンを使うところから始めました。防災情報をどのように調べるのか、自分が今いるところは安全かなど、自分事と捉えることが大事です。
次に実際に災害が起こった後のことをイメージして何を持って避難するか、避難所でできることは何かなどを考えてもらいました。避難生活のイメージはとても難しいです。私は実際に避難所運営をした経験や防災グッズを使った感想を伝えることで、生徒が少しでも災害時をイメージする手伝いができたと思います。例えば防災トイレの使い心地を伝える際に組立から生徒に行ってもらいましたが、こうやって実際に手を動かすことで災害時に少しでも行動できるきっかけになったのではないかと思います。
今回の活動を通じて
私は高校生に防災を知ってもらいたい、それが少しでも命を守る行動に繋がればと思い授業をさせていただきました。このようにこれまでの経験から生徒に何か大事なことを伝えることができる可能性を持っているのが事務職員だと思います。徒の幅広い学習のためにも事務職員と先生が連携することが大事だと感じました。
今回このように私が防災について生徒に伝えることができたのは、ひとえにご協力いただいた先生や事務室の皆さまのおかげです。また生徒たちとも授業や部活動を通じて交流を深めることができ、充実した学校現場を過ごしているところです。
この場をお借りして関わっていただいた皆さまに感謝申し上げます。
実践ノート480:地域と子供を大切にしたコミュニティ・スクール(CS)を目指して
富士市立富士南小学校 主幹教諭 亀壮晴
はじめに
本校は、令和2年度からCSの実践校として富士市教育委員会から指定を受けています。初年度は、どのような活動がCSの理念を実現する上でふさわしいか、手探りの中でのスタートとなりました。
地域とともに取り組む防災教育
そのような中、5年生が総合的な学習の時間に「自然災害から命を守る」というテーマを設定し、地域連携を視野に入れた学習を進めていくことにしました。それを機に、CSの活動は大きく前進していきました。
2月に学習のまとめとして実施した防災体験教室では、コミュニティ・スクール・ディレクター(CSD)と密に連携し活動を計画しました。
CSDには、主に、地域の関係各所に協力を依頼してもらいました。そのおかげで、地域の全面的な協力を得ることができ、「簡易担架づくり」「簡易トイレの組み立て」「消火訓練を想定したバケツリレー」等、12もの体験を実施することができました。
これら避難所運営の体験ができたことで、子供たちは地域の一員としての自覚を持つことができました。
また、参加された地域の方々からも、「子供たちの真剣な表情や興味を持って取り組む姿を見て感化されました。防災の取り組みを考え直すきっかけとなり、やりがいを感じることができました」という感想をいただきました。
地域を担う子供主体のCS活動
CS2年目に入った本年度は、子供たち自身がより主体的に地域のことを考え活動していく、という段階に入ってきています。そのきっかけとして、子供たちは、地域のことをより深く知った上で、自分たちに何ができるか考えたい、という思いを持ちました。
そこで、第2回学校運営協議会において、児童の代表が、「昔はどのような地域だったのか」「地域の方々が学校や子供たちに望むことは」等について、委員の方々と意見交換を行いました。その中で、地域の方々から昔の地域の様子などについて話をしていただけるよう要望をしました。
子供が進んでCS活動に参画することで、地域の方々のやる気もさらに高まっています。
おわりに
本校のCS活動はまだまだ試行錯誤の段階ですが、今後もさまざまな場面で地域と連携し、特色ある学校づくりを進めていきます。
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