(4)豊かな暮らしの実現 (ア)富をつくる産業の展開

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ページID1011177  更新日 2023年1月26日

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令和4年2月県議会定例会知事提案説明要旨

【3.人づくり・富づくりを具体化する取組】(4)豊かな暮らしの実現

第4の柱は、「豊かな暮らしの実現」であります。

はじめに、地域主導型の経済政策「フジノミクス」の推進についてであります。

買う「buy」と、寄り添う「by」から名づけた本県独自の「バイ・シズオカ」を皮切りに、山梨県と連携した「バイ・ふじのくに」、長野、新潟県を加えた「バイ・山(やま)の洲(くに)」を展開し、個人消費を喚起しております。これまで、山梨県のさくらんぼ、もも、シャインマスカットや、本県の温室メロン、お茶、海産物などの相互販売、物産展の相互開催やECサイトでの特産物の販売、鮮魚の高鮮度供給モデルの実証実験、観光交流などに取り組み、確かな手応えを感じております。

今後は、昨年11月に採択した「中央日本四県知事共同宣言」を踏まえ、新たなサイクルルートの検討や、鮮魚の高鮮度供給モデルの新潟県への拡大、教育旅行の拡充、高速道路会社と連携した周遊企画など、各県との連携を強化し取組を加速させてまいります。GDPの合計が、オーストリアにも匹敵するこの広域経済圏において、生産と消費の新しい好循環を創出し、人を幸せにしながら自分も幸せになるという、「幸せを呼ぶ経済圏」の形成を一層本格化させてまいります。

次に、伊豆ヘルスケア温泉イノベーションプロジェクト(ICOIプロジェクト)についてであります。

伊豆地域に温泉と食、スポーツなどを組み合わせた新たなヘルスケア産業を創出し、身も心も元気になる「世界的リゾート伊豆」の実現を目指してまいります。アドバイザリーボードを構成する有識者の方々から御意見をいただきながら、科学的エビデンスとデジタル技術を用いた健康増進や、アスリートの疲労回復、健康経営企業を対象としたワーケーションなど、温泉を活用した新たなサービスの開発に、地元市町、関係団体と一体となって伊豆地域全体で取り組んでまいります。

次に、美しく豊かな静岡の海の保全についてであります。

駿河湾や浜名湖に代表される静岡の海は、美しい自然環境が多くの人々に親しまれ、豊富な海洋資源に恵まれています。近年、アサリやサクラエビの漁獲量の低迷や海洋汚染など、様々な社会的課題が顕在化しています。こうした課題を解決し、持続可能な海洋環境を実現するためには、海に関する活動を行う個人、団体、企業、大学などの連携が不可欠であります。

静岡の海の「美しさ」「豊かさ」を未来に引き継ぐため、「静岡県美しく豊かな海保全基金」を創設し、海洋プラスチックごみの海洋汚染対策、海洋資源・生物多様性の保全に貢献する研究開発や実践活動を強力に支援してまいります。

次に、富を支える地域産業の振興についてであります。

官民一体となって産業成長戦略を進めるため、産業戦略推進センター「オープンイノベーション静岡」を中心に、支援情報の一元化や企業参加型コミュニティサイトの開設などプラットフォーム機能の強化を図り、本県経済を牽引する地域企業の新たな事業展開を促進してまいります。

本県経済の活力の源である地域企業の支援につきましては、デジタル化や業態転換など新たなビジネスモデルへの挑戦、経営革新による経営力の強化、IoTを活用した生産性の向上に加え、専門家派遣による経営課題の解決など、中小企業、小規模事業者の経営基盤の強化を一層促進してまいります。

中小企業の事業継続につきましては、県制度融資「新型コロナウイルス感染症関連資金」により、資金繰り支援に万全を期してまいります。また、「脱炭素支援資金」を創設し、中小企業の脱炭素化への取組を支援してまいります。

喫緊の課題である事業承継につきましては、商工団体や金融機関等との連携を強化し、切れ目ない支援を展開するほか、第三者承継の促進にも積極的に取り組んでまいります。

次に、農林水産業の競争力の強化についてであります。

農業につきましては、静岡茶のブランド力の強化や需要に応じた生産構造への転換を図るとともに、担い手への茶園集積・集約化を図る区画整理等の基盤整備を進め、本県茶業の再生に取り組んでまいります。また、有機農業を推進するためのプラットフォームづくり、SDGsの実現に向けた生産者の取組を見える化して消費者に伝える新たな認証制度の創設などにより、農業生産における環境負荷の軽減を進めてまいります。

林業につきましては、供給面では、突発的な木材需要、いわゆるウッドショックなどに対応するため、主伐した木材の効率的な運搬に必要となる基幹的作業道などの基盤整備を促進し、森林認証材の安定供給体制の強化に取り組んでまいります。需要面では、県産材の県内消費の更なる拡大に向け、住宅や非住宅建築物における木造化、木質化の促進に全力を挙げて取り組んでまいります。

水産業につきましては、官民連携による鮮魚の高鮮度供給モデルの構築により、山(やま)の洲(くに)における県産水産物の需要開拓、販路拡大に取り組むなど、本県水産物の競争力の強化に注力してまいります。また、水産資源の増殖のため、新たな放流魚種の開発に不可欠な量産実証施設を、温水利用研究センター沼津分場に建設いたします。さらに、MaOI機構とも連携し、磯焼けにより激減したサガラメ藻場の回復に向けた技術開発を進めるなど、水産王国静岡の持続的発展に取り組んでまいります。

次に、市場と生産が結びついたマーケティング戦略の推進についてであります。

消費者の行動様式や流通事業者のビジネスモデルが変化する中、県産品のブランド力向上を図り、一層の販路拡大に取り組む必要があります。本年度、新たに策定した「しずおか食セレクション」の愛称「頂(いただき)」を活用し、中高級スーパーなどで開催する静岡フェアを通じた認知度向上や、コンビニエンスストアと連携した新商品開発など、多彩で高品質な県産食材の販路拡大に積極的に取り組んでまいります。また、県産品の一層の輸出促進を図るため、地域に応じたEC手法の開拓など新しい販路拡大の取組や、輸出先国のニーズに対応した産地づくりの支援などに取り組んでまいります。