第10回『土木と水 そして五行』

ツイッターでツイート
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページID1055135  更新日 2023年7月10日

印刷大きな文字で印刷

 近年の異常気象により、線状降水帯という言葉が一般的になった大雨や、想像を超える大型台風の到来などで、大規模な水害が全国各地に見られます。
 本県でも、毎年のように各地域で水による災害が起こり、被災対応は勿論のこと、災害防止においても「土木」工事の重要性が、多くの皆様に意識されることを願っています。
 「この季節、各地で水害に対する土木工事が頻繁に行われています。」
 この文を目にしても特別な印象を持たず、普通のことと感じる人が多いのではないでしょうか。
 しかし、有事、平時にかかわらず、本県土木に携わる職員は、業界の皆様とともに、地味ではありますが、誠実に着実に「安全」を築き、「安心」できる地域を目指し、日々努力を重ねております。どうかご認識頂ければ幸いです。

 さて、「土木」の語源は、中国の古語である「築土構木」に由来し、日本では明治時代に言葉を縮めて「土木」として定着したようです。
 改めて、「水」と「土木」という文字を眺めてみますと、古代中国の哲学にある五行説の「木火土金水」が頭に浮かびました。
 五行の法則には相生と相剋があり、前者は協力関係、後者は抑制関係を表します。
 土と水は相剋、「土剋水」は、土は水を制御する。(→土嚢で水をせき止める)
 木と土も相剋であり、「木剋土」は、木は土を制御する。(→木は根で土を締め付ける)
 水は木と相生、「水生木」は、まさに水は木を育てるということです。
 逆を言えば、水がなくなれば木は育たず自然が壊れる。木が切られれば土は解け、崩れる。土がなくなれば水は暴れるということです。

 余談ですが、それでは五行の残りの「火」と「金」はどう考えるか。直接の意味ではうまく表現できませんが、「五常」の考えを拝借すると、「火」は礼に通じ、物事を明瞭に、はっきりさせる意味があり、「金」は義に通じ、強い信念を表します。
 「水」と「土」と「木(=自然)」の課題は、世間に広く明らかにし、堅く強い信念が求められるということになるのでしょう。


コラムの画像

コラムの画像