第11回『100年に1度』

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ページID1056775  更新日 2023年9月5日

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「100年に一度の災害に対応する安全性を確保している。」は、人の一生の間に1回あるかないかの災害への備えと感じ、「安全」であり「安心」を意識させます。

この「100年に一度」の言葉は、人それぞれ異なる解釈をされているかもしれません。
「”100年に1度"という表現は、特定の地域や条件下で、ある特定の現象が100年間の平均的な出現頻度から言って、1度の確率で起こる」という過去のデータに基づく推計のことです。このことは、降水量を例とすると、過去100年の中で最も多かった降水量と同等以上の降雨が起こる確率ではないということです。

さらに言いますと、ある地域で100年間の降水データを調べたとき、平均的に1年に1度の割合で起こる特定の降水量が100年間で1回しか観測されないとした場合、それが"100年に1度"の現象とされます。
調べますと、100年に1度の一日の降水量としては太平洋地域で200ミリから400ミリとのことでした。

「100年に一度」の表現は、確率論的な観点からその現象が非常に稀であることを強調するために使われます。

しかしながら、最近の気象現象で言えば、地球温暖化のためか、時間あたりや一日あたり、過去最大の降水量が毎年のように更新される事態が起きていますし、線状降水帯という継続的な大雨の原因となる現象もここ数年来に頻発しているものです。
一方、過去100年と現在までの間に、安全対策は、新たな工法や材料、技術の進化、予測の精度の向上など日進月歩です。

こうしたことを考えますと、過去データに基づくのでなく、今後予想される最悪のケースを想定した安全の確保に常に想いを巡らせることが必要であり、またその対策も決して無理なものではないと感じています。


災害の図

雨の画像