<産業支援・まちづくり>100年後も豊かな暮らしができるまちをつくる NPO法人atamista(アタミスタ)

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ページID1028231  更新日 2023年1月11日

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表紙の写真:熱海温泉玉手箱Guide book

冊子の写真:熱海温泉玉手箱Guide book 街

所在地
〒413-0022 熱海市昭和町5-2竹春ビル101
代表者
代表理事 市来広一郎
電話
0557-52-4345
ファクス
0557-52-4531
設立
平成22年12月
運営人数
5名

事業内容

地域体験ツアー熱海温泉玉手箱(オンたま)、
遊休不動産活用事業「現代版家守」等

観光地、熱海の再生

古代から温泉地として知られ、一時は日本中から新婚旅行客や社員旅行客で賑わった熱海においても、他の観光地と同じく来訪者の減少がみられる。市民の多くが飲食・宿泊などの観光関連産業に関わる熱海では、観光客の減少は市民の生活にも影響を与えた。働き盛りの30歳代が流出する一方で、定年後の暮らしを求める首都圏のシルバー世代や、別荘を保有する人などが流入するようになった。

そんな中で、NPO法人atamista(アタミスタ)の市来広一郎代表理事とその仲間は、ふるさと熱海を愛する人を掘り起こし、人を繋げてまちを再生する仕事に取り掛かった。同NPO法人が目指すのは単なる観光振興ではなく、熱海に住む人と訪れる人とが結びついたまちづくりであり、その手法がオンたま(熱海温泉玉手箱)と呼ばれる取り組みである。

オンたまで人に出会い、人を繋げる

オンたまは、数百円から2,000~3,000円程度の、多彩な体験交流プログラムであり、参加者は昔から熱海在住の人、転入してきた人、時折熱海を訪れる市外・県外の人など、熱海に縁を持つ人々と、そこから口コミなどで繋がってきた人たちである。体験ツアーにはいくつもの分野から多彩なメニューが用意され、参加者はそれぞれ参加したいプログラムを選ぶことができる。

冊子の写真:熱海温泉玉手箱Guide book 緑

冊子の写真:熱海温泉玉手箱Guide book 歴史

冊子の写真:熱海温泉玉手箱Guide book 海


熱海のまち並みを散歩して昭和レトロな喫茶店でコーヒーを飲む、美しく手入れされた個人の農園で枝から果実を取って食べる、芸妓見番を見学するなど、どれも熱海を巡り、そこにあるものを知るという小さな体験である。特技を持つ人と出会い、教えてもらう。眺めてみる。歌ってみる。食べてみる。話を聞く。座ってみる。動いてみる…。

熱海というまちに何があるのか、どんな人がいるのかを知り、オンたまの参加者同士でその感動や感想を共有しあう。熱海生まれの人も外から来た人も、同じように熱海を体験し、発見する。同NPO法人はできるだけ多彩なプログラムメニューを掘り起こして、ホスト役の人たちに自分の持っているものや自分が行っていることには人を感動させる価値があるのだということを気付かせさらにそれらに磨きをかけるよう導いている。参加者はもっと熱海を知りたくなり、自分も何かを知らせたくなる。オンたまに参加した人もホストもスタッフも、みんな熱海を知ることで繋がっていく。

熱海再生に必要なことは、熱海を理解し、愛着を持ち、自分も何かしたいと願う人財であり、人財同士がいろいろな分野で結びついて生み出す新しい発想や仕事なのだ。オンたまは個々のプログラムをイベントとして無事成功させることが目的ではなく、その先にある地域の人を繋げるという目的への第一歩なのである。

写真:草や岩の上で会話する人々
熱海には、こんなにきれいで居心地のいい場所があるのかという発見や体験を、参加者が共有する。

魅力ある熱海の再生を目指して

現状同NPO法人は、コミュニティビジネスの柱というべき収益事業を確立しているわけではない。オンたまは人づくり事業であって儲けを出すツアー業ではないからだ。しかし、設立当初から熱海を再生させたいという強い願いから公的機関との話し合いを重ね、オンたまにも地元の観光協会や市役所の職員が積極的に関わる体制を築いてきた。その結果、同NPO法人の目指すものが理解され、個人・企業からの賛助金や行政の事業委託を幅広く受けることができ、事業の継続性が確保されることになり、より具体的なまちづくり事業を自主事業で行っている。

それが家守(やもり)事業と呼ばれる、遊休不動産、特に熱海市中心街のレトロな雰囲気を残した空き家の良さを生かしたエリア再生への取り組みである。まずはクリエーターなどをターゲットとし、この地域を事業拠点にできるよう、遊休不動産とのマッチングを目指している。クリエーターと、首都圏からのリタイヤ組や別荘地に訪れる人々の感度を合致させることで、人通りができ、住む人も観光客も自然に集まるまちなかを作るためだ。

同NPO法人がその中心で交流の場としてカフェを運営したり、それぞれの貸家の設備的な管理を包括的に行うこと(ファシリティマネジメント)で、起業する人たちの負担を減らして起業しやすい環境づくりを目指している。カフェでは、人と人との繋がりや新たなニーズが生まれ、クリエイティブな分野以外の事業も展開されると予想される。空き家が目立った熱海の中心市街地が、建物の所有者と借り手とが協力したコミュニティビジネスの拠点となることが期待できる。将来的には同NPO法人の主要事業を、人とまちとビジネスを育てるコンサルティング、ビジネスマネジメントにしていきたい、と市来代表理事は語る。

人々のライフスタイルが変わろうとも、ふるさと熱海が魅力にあふれるまちであることに変わりはない。そう信じる同NPO法人は、そこに住む人の気持ちを耕し続け、モノやお金ではなく人が熱海を再生していくための仕事を続けている。

写真:パソコンを操作する男性
同NPO法人の事務所には市来代表理事と若いスタッフの熱気があふれる。

このページに関するお問い合わせ

経済産業部商工業局商工振興課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2181
ファクス番号:054-221-3216
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