<商店街活性化>商店街は、地域と人と共にある 株式会社アクティブモコ
- 所在地
- 〒412-0045 御殿場市川島田532-1
- 代表者
- 代表取締役 永井誠一
- 電話
- 0550-70-0807
- ファクス
- 0550-82-7787
- 設立
- 平成3年
- 運営人数
- 実働4名(商店街41名による出資)
- 事業内容
- 森の腰商店街を中心とした加盟店によるポイント
サービス、買い物配送・送迎サービス、イベント開催等
信頼される商店街
JR御殿場駅から500m程度行った先の、国道旧246号線沿いの地域に約300m連なる商店街が森の腰商店街である。ここは長年、様々なアイディアで商店街振興に取り組んでいるため、全国から視察が相次いでおり、平成23年4月からは、コミュニティビジネスのはしりである、高齢者や育児中の母親などの買い物弱者に対応する「モコ宅配便」事業に乗り出した、進取のまちなのである。
もともと森の腰商店街は、年長者が若い世代の発想に耳を傾け、お客さんのためになることなら何でも挑戦してみなさい、と振興事業などを任せる気風があったという。顧客は、森の腰商店街で買うなら間違いない、と信頼を置き、商店主たちも結束してその信頼に応えてきた。商店街の取り組みとして、古くは市営住宅誘致、平成2年には現在の株式会社アクティブモコへと繋がるスタンプ事業の開始、平成10年に商店街の中心に駐車場を備えた共同店舗型ショッピングセンター「エピ・スクエア」(以下、エピ)を開設するなど、結束を生かして大きな事業を実行することができた。協同組合森の腰商栄会を軸に、施設面での整備やエピの運営に当たる御殿場まちづくり株式会社、そしてモコチップと呼ばれる商店街共通のポイント事業や各種イベントを行う実働部隊の株式会社アクティブモコの3事業体がそれぞれの特性を生かし、顧客の満足と売上が上がることとが同じベクトルになることを目指してきた。このような新たな取り組みの結果、全国で商店街での空き店舗の増加が問題となる中、森の腰商店街では確実に後継者が育ち、家業である商店を継いでいるという。
この土壌のうえにモコ宅配便事業は始まった。
宅配・送迎サービス「はい・ニコ・ぽん」
同社が取り組む宅配サービス「モコ宅配便」は、森の腰商栄会加盟の各店舗をはじめ、近隣の参加店で扱う商品やサービスを電話・ファクス・電子メールなどで受注して、商品と引き換えに現金で集金するシステムである。
通常の商品は配達日時を事業実施者で調整するが、同社は朝のうちに昼の弁当を届けて欲しいという注文が入れば1個からでも宅配するので、企業の給食対応や、高齢者などへの配食サービスの機能も果たしている。宅配料金は無料、それどころか、配達車両に積んだ発行機によって配達商品にもポイントが加算され、利用する側にはお得感が強い。注文可能な商品は小冊子形式のカタログに掲載して、宅配需要の高い老人クラブ・保育園・社会福祉協議会などに配布しているが、「モコ宅配便」参加店の扱うものであれば原則的に何でも注文を受けるようにしている。現在同社には2人の専任ドライバーがおり、商品の宅配の他、顧客の自宅と商店街との間の無料送迎も行う。「たとえ醤油1本でもお客さんと馴染みになれば好みもわかるし、奥の深い仕事です」とドライバーさんが語る通り、移動や宅配のサービスにも商店街と顧客の人間的な繋がりが生きている。
このサービスの愛称「はい・ニコ・ぽん」は、はいと返事して、ニコッと笑顔、ぽんと即実行の略である。同社は「商店街の利用増、売上アップのための方法として、顧客の困りごとに相手の身になって対応しただけ」と言うが、結果的に、顧客と商業者とが相互に恩恵を受けるWIn-WInの関係が成り立っているのである。
買い物弱者はすぐそばにいる
いわゆる買い物弱者の問題は、超高齢社会の日本においては全国的な問題である。しかし、宅配や送迎は車両の購入・維持費、ドライバーの人件費などがネックとなり、対策に乗り出せない場合も多い。買い上げ金額いくら以上で配達可、という条件をつけたり、行政の補助金を活用してルート周回を行うなど、各地で様々な試みが続く。しかし、同社は、買い物弱者対策のみを切り離して考えるのではなく、商店街振興という全体の取り組みの中で、ポイントカード事業による収益を宅配・送迎サービスに回すというユニークな方法を選択した。商店街での買い物が便利になり売上が上がれば、加盟店のポイント発行代金などとして同社の事業収益も増える。同社は営利目的の法人格を有するが、商店主たちの出資で作られた商店街振興のための会社なので、利益は商店街振興に投資できる。
同社では「宅配・送迎サービスを始めてみて、改めて困っている人たちの多さに驚かされました」と語る。過疎地や中山間地だけでなく、市の中心地でも商店街のすぐ隣にも日々の買い物に困る人たちがいる。始まったばかりのこのサービスは今後、増え続ける需要への対応や提供できない種類のサービスへの要望など、いくつかの問題と直面していくだろう。しかし、商店街とその利用客というコミュニティが信頼で結びつき、買い物というごく日常的な行為を通じて問題を共有化する限り、解決の糸口もまたすぐそばにあると期待したい。
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