<地域活性化>地域住民のよりどころを育てる 原泉地域立 森の都 さくら咲く学校管理運営組合
- 所在地
- 〒436-0336 掛川市萩間423
- 代表者
- 理事長 鈴木信夫
- 電話
- 0537-25-2580
- ファクス
- 0537-25-2580
- 設立
- 平成23年4月
- 運営人数
- 現地管理人1名
- 事業内容
- 自立型学校跡地活用事業として、空き教室等のテナント貸し・時間貸し、地域イベント開催等
廃校から生まれた事業
掛川市立原泉小学校は、平成22年3月、同市立西郷小学校との統合により廃校となった。掛川市でも北部に位置する原泉地域は、5地区からなる南北に細長い地域で、原泉小学校はそのちょうど中心にあった。市街地まで車で20分程度という土地柄にあるため、主な産業であった農林業から市中心部の企業や工場へと労働人口が流出していった。
廃校が決定してから実際に廃校となるまでの約2年間、行政・NPO法人・地域住民らにより結成された「原泉地域創造研究会~森の都・未来を考える会~」において、跡地の有効利用について検討が重ねられた。途中いくつかの困難を経ながら、地域の代表を交えて熱心な話し合いが行われた結果、地域住民のよりどころである原泉小学校の役割を引き継ぎ、地域外の人々とも交流することができる機能を持たせた「交流型施設原泉地域立森の都さくら咲く学校」(以下さくら咲く学校)として再出発することが決まった。
そのコンセプトは、暮らす、訪れる、営むの3類型での活用を念頭に、地域に暮らす人々には集い合うコミュニティ施設として、原泉地域を訪れる人々には滞在・宿泊や学び・体験・交流を行う施設として、また原泉地域で事業を営んだり、各種の活動を行う人々にはその活動の場所を提供する施設として利用するというものである。建物などは掛川市から無償貸与を受け、「原泉地域立森の都さくら咲く学校管理運営組合」を設立し、運営していくこととした。
具体的な事業内容も、1年毎の契約による空き教室のテナント貸し、地域イベントの開催、グラウンド・体育館などの時間貸しと、詳細が固まった。
こうして平成23年3月、さくら咲く学校は地域の人々に見守られて開校式を行い、4月1日より交流型施設として新たに出発した。校庭では、その名の由来となった桜の巨木が咲く時を待っていた。
地域交流と事業が交差する
同組合の主な事業収入はテナント貸しであるが、応募者とは面接を行い同組合の事業の趣旨に賛同してくれる個人・企業のみとの契約を行っている。現在契約しているのは、静かな環境をアトリエとして利用する画家の中瀬千恵子さんや、山へのアプローチ拠点とするプロの山岳ガイド小川正育さん、空き教室の雰囲気を生かして高齢者サロンを経営する西部福祉サービス株式会社などである。
また、グラウンドや体育館の貸し出し事業では、県内外のスポーツクラブの練習・合宿などでの利用が多く、もともと学校であったことから設備になじみがあり、大人にとっても学校の雰囲気が好評だという。
地域イベント事業では、まず地域住民への認知のため参加型イベントを企画し、その予告・実施報告に施設内の紹介を兼ねたさくら咲く学校だよりを毎月発行して、原泉地域171戸全世帯に配布している。施設を利用すれば、調理実習室を使った地元茶の抹茶・煎茶講習会、夏祭り、自主上映映画の鑑賞、そば栽培&そば打ち、山歩き講座、森の都まつりなど、地域を知り、地域に対する思いを共有することができる。中でも、平成23年11月に行われたエクスチェンジ&暮らしごと市は、不用となった衣料・雑貨を持ち寄り、参加費200円でいくらでも交換して持ち帰ることができるリサイクル市と、工芸作家の創作品、飲食物などの即売会とを合わせたイベントで、雨の中、地域内外から約1,500人が訪れたという。このような地域イベント事業は、利益率は低いが地域住民の交流や活性化には大きな役割を果たしている。
地域の絆 さくら咲く学校
この事業は、原泉小学校の思い出を残し、有効に役立てたいという願いから始まってはいるが、単に施設を維持するだけでも費用はかかる。市役所からは開校初年度の補助を受けることができたが、次年度以降は維持費・活動費を自ら稼ぎ出さなければならない。
現在、同組合を本業とするのは管理人の河合さんだけで、取材の際にお話を伺った佐藤さん、杉山さんを始め、役員は別に仕事を持ち、企画・運営はボランティア的な働きである。しかし佐藤さんは、「ビジネスとしての基盤はまだまだ弱いが、収益の拡大を急がず、民間機関の助成なども活用して、さくら咲く学校がここにある意義を浸透させながら事業継続をしていきたい」と語る。意識共有を兼ね、地域全戸に会費1,000円で組合員になるよう呼びかけたところ、9割以上の参加が得られた。将来的には、地域交流・イベント事業・テナント事業の3つが相互に結びつき、合宿などで訪れた人が再度訪れる時には地域イベントに参加して地域に溶け込んでいったり、テナント利用者同士がここで出会って新たな事業を生み出したりする場に育てたいという。また、敷地内に掛川市原泉生涯学習センターがあるため、行政サービスとの機能的な協働も期待できる。
「行政・地域・民間の三者によって生まれた学校ですが、その三者がより結びつきを強くするために、横串を刺すような存在になりたいですね」と、佐藤さんは今後への意欲を語ってくれた。
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