レジオネラ症防止対策
- 1 施設の衛生に必要な措置の基準
- (1)原湯、原水、上がり用湯、上がり用水の水質基準
- (2)浴槽水の水質基準
- (3)貯湯槽の管理
- (4)浴槽の管理
- (5)浴槽水の換水
- (6)ろ過器の管理
- (7)配管その他の設備の管理
- (8)浴槽水の管理
- (9)集毛器の管理
- (10)消毒装置の管理
- (11)気泡発生装置、ジェット噴射装置等を使用している場合の管理
- (12)水質検査の実施
- (13)水質検査結果の掲示、報告及び保存
- (14)誤飲防止の注意書きの掲示
- (15)循環水の使用禁止
- (16)入浴上の注意書きの掲示
- (17)環境保全のための処理
- (18)衛生管理に係る計画書
- (19)衛生管理に係る点検表
- (20)責任者の設置
- 2 施設の構造設備の基準
- (1)浴室
- (2)循環式浴槽を設置する場合
- 3 その他
静岡県では、レジオネラ症の発生を防止するため、旅館業法、公衆浴場法に基づく条例に基づき、入浴施設を原因とするレジオネラ症の発生防止対策を推進しています。
営業者の皆さんは、条例に規定した事項を遵守して、「安全・安心」な入浴サービスの提供をお願いします。
<根拠規定の記載>
- 旅条例…旅館業法施行条例
- 旅規則…旅館業法施行条例施行規則
- 公条例…公衆浴場法施行条例
- 公細則…公衆浴場法施行細則
- 公要綱…静岡県浴場業許可取扱要綱
1 施設の衛生に必要な措置の基準
レジオネラ症の発生を防止するためには、営業設備の適切な衛生管理が必要となります。
浴槽水の水質基準、浴槽水の消毒、浴槽水の換水、配管等の消毒などについての一般的な管理方法について、次のように定めています。
(1)原湯、原水、上がり用湯、上がり用水の水質基準
<旅規則第2条第1項、公細則第3条第1項>
原湯(浴槽水を再利用しないで浴槽に直接供給される温水)、原水(原湯の原料に用いる水及び浴槽水の温度を調整する目的で浴槽水を再利用しないで浴槽に直接供給される水)、上がり用湯(洗い場及びシャワーに備え付けられた湯栓から供給される温水)、上がり用水(洗い場及びシャワーに備え付けられた水栓から供給される水)の水質基準は次のとおりです。
検査項目 |
検査方法 |
基準 |
---|---|---|
色度 | 比色法又は透過光測定法 | 5度以下であること |
濁度 | 比濁法、透過光測定法、積分球式光電光度法、散乱光測定法又は透過散乱法 | 2度以下であること |
pH値 | ガラス電極法 | 5.8以上8.6以下であること |
有機物(全有機炭素(TOC)の量)又は有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) | 有機物(全有機炭素(TOC)の量)にあっては全有機炭素計測定法、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)にあっては滴定法 | 有機物(全有機炭素(TOC)の量)にあっては1L中3mg以下、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)にあっては1L中10mg以下であること |
大腸菌 | 特定酵素基質培地法 | 検出されないこと |
レジオネラ属菌 | ろ過濃縮法又は冷却遠心濃縮法 | 検出されないこと(100ml中10cfu未満であることをいう) |
※温泉、井戸水及び薬湯を使用するため基準を遵守することができず、衛生上危害を生ずるおそれがないことについて保健所長が認めた場合には、色度、濁度、pH値及び有機物(全有機炭素(TOC)の量)又は有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)の基準の一部又は全部を適合しないことができます。
(2)浴槽水の水質基準
<旅規則第2条第2項、公細則第3条第2項>
浴槽水(浴槽内の温水又は水)の水質基準は次のとおりです。
検査項目 |
検査方法 |
基準 |
---|---|---|
濁度 | 比濁法、透過光測定法、積分球式光電光度法、散乱光測定法又は透過散乱法 | 5度以下であること |
有機物(全有機炭素(TOC)の量)又は有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) | 有機物(全有機炭素(TOC)の量)にあっては全有機炭素計測定法、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)にあっては滴定法 | 有機物(全有機炭素(TOC)の量)にあっては1L中8mg以下、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)にあっては1L中25mg以下であること |
大腸菌 | 下水の水質の検定方法等に関する省令(昭和37年厚生省令・建設省令第1号)第6条に規定する方法 | 1ml中1個以下であること |
レジオネラ属菌 | ろ過濃縮法又は冷却遠心濃縮法 | 検出されないこと(100ml中10cfu未満であることをいう) |
※温泉、井戸水及び薬湯を使用するため基準を遵守することができず、衛生上危害を生ずる恐れがないことについて保健所長が認めた場合には、濁度及び有機物(全有機炭素(TOC)の量)又は有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)の基準の一部又は全部を適合しないことができます。
(3)貯湯槽の管理
<旅条例第4条第2項第6号イ及びウ、旅規則第3条、公条例第4条第11号イ及びウ、公細則第4条>
- a.貯湯槽内の原湯の補給口から底部までの温度を次の温度以上に保つこと。
- 通常の使用状態においては、摂氏60度
- 最大の使用状態においては、摂氏55度
- b.a.に定めた温度を保つことが困難な場合には、貯湯槽内の原湯の水質検査を定期的に実施して、レジオネラ属菌が検出された場合には、貯湯槽の清掃と、次の消毒を行うこと。
- 遊離残留塩素濃度が1L中50mg以上100mg以下の高濃度塩素水を貯湯槽内壁に噴霧する。
- c.貯湯槽は、水質検査によりレジオネラ属菌が検出されない場合であっても、1年に1回以上清掃と消毒を行うこと。
(4)浴槽の管理
<旅条例第4条第2項第6号エ、公条例第4条第11号エ及び第12号ア>
浴槽は、常に満水になるよう管理すること。
(5)浴槽水の換水
<旅条例第4条第2項第6号オ及び第7号イ、公条例第4条第11号オ及び第12号イ>
- a.ろ過器を使用する場合 1週間に1回以上完全に換水し、清掃を行うこと。
- b.ろ過器を使用しない場合 毎日完全に換水し、清掃を行うこと。
(6)ろ過器の管理
<旅条例第4条第2項第6号カ、旅規則第4条、公条例第4条第11号カ、公細則第5条>
- a.ろ過器は、1週間に1回以上逆洗浄等の適切な方法により汚れを除去すること。
- b.ろ過器は、遊離残留塩素濃度が1L中5mg以上10mg以下の塩素水を注入して消毒を行うこと。
※配管等の消毒と併せてろ過器を消毒した場合は、ろ過器の消毒も実施されたものとみなします。
(7)配管その他の設備の管理
<旅条例第4条第2項第6号キ、旅規則第5条、公条例第4条第11号キ及第6条第2号、公細則第6条>
- a.浴槽水を循環させるための配管その他の設備は、1週間に1回以上次のいずれかの方法により消毒すること。
- 浴槽水に塩素系薬剤を投入することにより当該浴槽水の遊離残留塩素濃度を1L中10mg以上50mg以下とし、当該浴槽水を2時間以上循環させた後、中和処理して排出する。
- 浴槽水の温度を摂氏60度以上に維持した状態で1時間以上循環させる。
- 浴槽水の温度を摂氏65度以上に維持した状態で30分以上循環させる。
- b.水質検査によりレジオネラ属菌が検出された場合には、過酸化水素、二酸化塩素又は過炭酸ナトリウム処理による消毒を行うこと。
※一般公衆浴場(銭湯)の場合は、水質検査によりレジオネラ属菌が検出された場合には、a.又はb.のいずれかの方法により配管その他の設備の消毒を行うこと。
(8)浴槽水の管理
<旅条例第4条第2項第6号ク、旅規則第6条、公条例第4条第11号ク、公細則第7条>
ろ過器その他の設備を設置して浴槽水を循環させている場合、浴槽水に塩素系薬剤を投入し、浴槽水の遊離残留塩素濃度は、1L中0.4mg以上に保つこと
(9)集毛器の管理
<旅条例第4条第2項第6号ケ、公条例第4条第11号ケ>
集毛器は、毎日清掃し、消毒すること。
※集毛器には、目に見えなくてもレジオネラ属菌が繁殖しており、その除去には消毒を行う必要があるため、毎日清掃・消毒することとしています。
(10)消毒装置の管理
<旅条例第4条第2項第6号コ、公条例第4条第11号コ>
消毒装置を使用する場合は、維持管理を適切に行うこと。
(11)気泡発生装置、ジェット噴射装置等を使用している場合の管理
気泡発生装置、ジェット噴射装置その他の微小な水粒を発生させる設備を使用している場合、(4)~(10)の管理のほか、以下により管理してください。
<旅条例第4条第2項第6号ス、旅規則第7条、公条例第4条第11号ス、公細則第8条>
- a.ろ過器を毎日1回以上逆洗浄その他の適切な方法により汚れを除去すること。
- b.ろ過器は、遊離残留塩素濃度が1L中5mg以上10mg以下の塩素水を使用して消毒を行うこと。
※けいそう土式ろ過器を使用し、浴槽水を毎日完全に換水している浴槽の場合は、この必要はありません。 - c.2月に1回以上レジオネラ属菌について浴槽水の水質検査を行うこと。
※ろ過器を使用しない浴槽とけいそう土式ろ過器を使用し、浴槽水を毎日完全に換水している浴槽の浴槽水は、この必要はありません。
(12)水質検査の実施
<旅条例第4条第2項第6号サ、公条例第4条第11号サ>
- a.原湯、原水、上がり用湯及び上がり用水に水道水を使用していない場合は、1年に1回以上水質基準に定められた項目について水質検査を実施すること。
- b.ろ過器その他の設備(集毛器のみ、ジェット噴射装置等)を設置して浴槽水を循環させている場合は、1年に2回以上水質基準に定められた項目について水質検査を実施すること。
- c.浴槽水を循環させていない場合は、1年に1回以上水質基準に定められた項目について水質検査を実施すること。
※ただし、入浴者ごとに浴槽水を完全に換水する場合は除きます。
(13)水質検査結果の掲示、報告及び保存
<旅条例第4条第2項第6号サ、公条例第4条第11号サ>
- a.水質検査を実施した場合は、その結果を脱衣室等の見やすい場所に掲示すること。
- b.水質検査を実施した場合は、その写しを保健所長に報告すること。
- c.水質検査を実施した場合は、結果の記録を検査の日から3年間保存すること。
(14)誤飲防止の注意書きの掲示
<旅条例第4条第2項第6号シ、公条例第4条第11号シ>
浴槽水を循環している場合で浴槽の上面から給湯しているために入浴者が誤飲するおそれがある場合には、誤飲を防ぐための注意書きを掲示すること。
(15)循環水の使用禁止
<旅条例第4条第2項第6号セ、公条例第4条第11号セ>
打たせ湯やシャワーには、循環している温水又は水を使用しないこと。
(16)入浴上の注意書きの掲示
<旅条例第4条第2項第6号ソ、公条例第4条第11号ソ>
浴槽に入る前には身体を洗う等の入浴上の注意を脱衣室等の入浴者の見やすい場所に掲示すること。
(17)環境保全のための処理
<旅条例第4条第2項第6号タ、公条例第4条第13号>
消毒に高濃度の塩素等を使用する場合は、中和処理を行う等の環境保全のために必要な処理を行うこと。
(18)衛生管理に係る計画書
<旅条例第4条第2項第6号チ、旅規則第8条第1項及び第2項、公条例第4条第14号、公細則第9条第1項及び第2項>
- 旅館業、浴場業を開始したときは、衛生管理についての計画書を管轄する保健所に提出すること。
- 計画書の内容に変更があったときは、変更した計画書を管轄する保健所へ提出すること。
(19)衛生管理に係る点検表
<旅条例第4条第2項第6号チ、旅規則第8条第3項、公条例第4条第14号、公細則第9条第3項>
- 点検表を作成し、脱衣室等の入浴者の見やすい場所に掲示すること。
- 点検表は、点検の日から3年間保管すること。
点検表(作成例)掲示する点検表の大きさやレイアウト等については、施設の状況に応じて使用してください。
(20)責任者の設置
<旅条例第4条第2項第8号、公条例第4条第15号>
- a.浴場業においては、衛生管理を行うための責任者を定めること。
- b.旅館業においては、客室と浴室ごとに衛生管理を行うための責任者を定めること。
2 施設の構造設備の基準
構造設備の基準は、平成16年4月1日以降に許可を受ける施設に適用します。
(1)浴室
<旅条例第6条第2号、公要綱第3(2)>
- a.入浴者の利用に供する湯栓及び水栓を設けること。
- b.洗い場を設置する場合は、洗い場の床面から浴槽の上縁までの高さは、5cm以上とすること。
- c.打たせ湯又はシャワーを設置する場合は、循環している温水又は水を用いない構造とすること。
- d.気泡発生装置等を設置する場合は、気泡発生装置等の空気の取入口から土ぼこりが入らない構造とすること。
- e.屋外に浴槽を設置する場合にあっては、屋外の浴槽水が屋内の浴槽水に混入しない構造とすること。
(2)循環式浴槽を設置する場合
<旅条例第6条第3号、公要綱第3(3)>
- a.ろ過器は、砂式ろ過器(ろ過タンク内に、粒子の大きさ又は比重の異なる天然砂等のろ材を積層して温水又は水をろ過する方式のろ過器)で、1時間当たりのろ過能力が浴槽の容量以上であり、ろ材は十分な逆洗浄を行うことができるものを使用したものとすること。
- b.a.の規定により難い場合には、1時間当たりのろ過能力が浴槽の容量以上であるもので、清掃と消毒を容易に行うことができる構造のものとすること。
- c.循環している温水又は水がろ過器内に入る前に集毛器を必ず設置すること。
- d.循環している温水又は水がろ過器内に入る直前に消毒に用いる薬剤が注入されるよう、浴槽水の消毒装置を必ず設置すること。
- e.浴槽水の補給口は、浴槽の底部に近い部分に接続する構造のもの又は微小な水粒の発生を防止する構造のものとすること。
- ※「気泡発生装置、ジェット噴射装置等を使用している場合の管理」を行う場合は、この限りではありません。
3 その他
・塩素系薬剤以外の知事が同等以上の消毒の効果があると認める消毒方法として、モノクロラミンによる消毒方法があります。
-
循環式浴槽に係る消毒方法の見直し「モノクロラミン消毒の追加」
平成28年4月1日から施行
・レジオネラ症防止対策についてのさらに詳細な内容は、厚生労働省「レジオネラ対策のページ」を御覧ください。
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