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更新日:令和3年11月10日

障害を持つ人への偏見

社会福祉法人ピロス理事 青野 全宏

私たちの授産所には20人以上の障害を持つ方が毎日通ってきています。人の顔がそれぞれ違うように、その人が持つ能力にも違いがあります。記憶力は抜群で、道を覚えたり、電話番号を記憶したり、日時を言えば、それが何十年前でも何曜日なのか即座に答えることができたりする能力など、あっと驚く潜在能力を持っている人たちがいます。しかし、日常的な生活は、誰かが側にいないとできないことが多いのです。

数字は言えても、空腹の時どうすればいいのか分からない。毎日同じ物を着て汚れていても関心がない。パニックになると大きな声を出したりとっぴな行動をしてしまう。自分以外の人とかかわることが苦手で避けてしまう。社会常識や習慣から見れば、なぜと不思議に感じることばかりだと思います。普段はおとなしくて素直な人が、自分で納得できないことが起こるとパニックになり、それが、社会が作る偏見につながっていきます。

障害者福祉は、「地域移行」「自立生活」という大きな流れに向かって動いています。人権の視点から見れば、それは当然のことだと思います。これまで、施設が受け皿となっていた人たちが、在宅へ、そして地域の中へ、ノーマライゼーションの理念のとおり普通の生活へ向かっていくのです。しかし、それを実現する社会環境、特に「こころ」の受け入れ態勢ができていません。障害を持つ人を見ると「おかしい人」「変わった人」と言う偏見の目で見てしまいがちです。

偏見を無くし、この流れを実現していくためには、情報不足、偏見と不安、思い込みなど、マイナス要素を解決していかなければなりません。まず、学校教育が重要な役割を持つと思います。無くすべき偏見とは何かを、子どもの時から肌で感じてもらうことが重要です。一人ひとりの心の中で育った偏見は、千差万別です。他人から偏見を無くせと言われても簡単に無くなるものではありません。自分自身で偏見の殻を破る力を持つことが大切だと思います。障害者自身も自分に対する思い込みや偏見の殻を破るエンパワメントが求められます。

人権は、誰かが一方的につくるものではありません。違いのあるものがかかわる中でお互いを尊重する意識を持ち、納得して形ができ、根付くものだと思います。そのような人権社会を是非つくりたいと思います。