しずおか文化財ナビ 木造阿弥陀如来立像(熱海市 )

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ページID1021342  更新日 2023年8月31日

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写真:木造阿弥陀如来立像

よみ
もくぞうあみだにょらいりゅうぞう
指定区分、指定種別
国指定/有形文化財 ・ 彫刻
指定日
2004年6月8日
員数
1躯
所在地
静岡県熱海市桃山町26-2MOA美術館
一般公開有無
駐車場の有無
公開情報
常設展示ではない

指定内容

周尺による三尺阿弥陀如来像で、光条付二重円光(光条と光輪は銅製鍍金)を負って雲上の蓮華座に立ち、両第一・二指を捻じて来迎印を結ぶ像容になる。
針葉樹材(檜か)の割矧造で、表面は金泥彩とし、玉眼を嵌入する。その顔立ちや衣文構成には仏師快慶が創始した、いわゆる安阿弥様の特色が顕著にうかがえる。その着衣形式は快慶作品でいえば、覆肩衣の縁をいったんたるませたうえで大衣にたくし込む等の点に法橋時代以後の特色を示し、殊に左脛で大衣の縁に旋転文をあしらうのが法眼時代の米国・キンベル美術館釈迦如来立像および光台院阿弥陀如来及両脇侍像(重文)の中尊と共通することが注意される。像容にもこれらの像に通じるものがあるが、表情や肉取りにはいくぶん生気に欠ける感も否めず、快慶晩年の様式を忠実に踏襲した作例とみるべきであろう。
台座上框【うわがまち】裏面に記された文明五年(一四七三)の銘により本像は東大寺七郷の一つ、今小路郷【いまこうじごう】の支郷であった宮住【みやずみ】郷に住する東大寺公人もしくはその末裔と思われる共絵国行という人物より東大寺四聖坊【ししょうぼう】の僧心教が得たものであることが知られる。快慶が東大寺関係の造像に腕を振るったことは周知の如くで、彼の没後にも建長八年(一二五六)ころの講堂諸像の造立に彼の弟子の長快と栄快が関わっており、本像はそうした快慶派の東大寺における活動の一環として造立されたと推測することも可能である。
なおX線透過撮影写真により、像内には木造如来立像(総高約一〇・五センチメートル)および木造菩薩形像(総高約一一・五センチメートル)が籠められていることが判明するが、三尺阿弥陀像でこのように小仏像を籠める例は他に知られない。
本像は東大寺関連の由緒をもち、快慶風をよく示す三尺阿弥陀如来像の保存良好な一例として注目される。

地図情報

地図

このページに関するお問い合わせ

スポーツ・文化観光部文化局文化財課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3183
ファクス番号:054-250-2784
bunkazai@pref.shizuoka.lg.jp