あなたの「富士山物語」(富士山の頂上で友達ができた/大石浩子)

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ページID1019372  更新日 2023年1月13日

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富士山の頂上で友達ができた/大石浩子

私は十九歳の夏、富士山の頂上で一人の女性と出会い、友達になりました。

その日、私は新しく入ったばかりの社会人サークルの仲間と初めて富士山に登りました。富士山の登山道は多くの人が列を作っていて、私はサークルの仲間の後を黙々と登っていきました。夜道は暗かったけれども、それぞれの懐中電灯の光を頼りに前に進んで行きます。日本一の富士山を登るのはやはり大変でした。しかも、頂上が見えてもなかなか辿りつけません。やっとの思いで頂上に着いた時にはホッとすると同時に「頂上に着いた」という達成感でいっぱいになりました。

頂上に着いた後に日の出の時間まで待つことになりましたが、サークルに入ったばかりの私は一緒に待つ友達がいなくて、なんとなく周りを見ていました。すると同じ様に一人でいた女性と目が合いました。

どちらからともなく私たちは近づいて話を始めました。その女性も私と同じくサークルに入ったばかりで一人でいたのです。年も同じで、お互いの自己紹介から始まり、話が弾みました。そして、日の出も彼女と一緒に見ました。帰り道は二人とも昔からの友達のようにおしゃべりをしながら富士山を下っていきました。

当時、「二人はどこで知り合ったの?」と聞かれると「富士山の頂上だよ。」と得意気に話したものです。その後、私たちはサークルやその他でも仲良く過ごし、お互いに結婚して子供ができ、おばさんになった今でもいい友達です。

富士山を眺めていると、そんな出会いを思い出します。

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