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平成15年8月、女性のみの奉仕団体が、高校生の代表と大学、大学院の留学生が参加するユースフォーラムを主催し、私も役員の一人として参加しました。
その時のお話です。ひとりの神戸市内に住んでいる高校生の発言が印象に残りました。それは、阪神大震災で被害に遭い、物がなくなってしまった時に、水や食糧の調達など皆で助け合い、協力し合ったというのです。そして、彼女は「物がない方が人は幸せ」と言ったのです。
日本の国は、今、物で溢れており、確かに物質的には大変豊かな国になりました。欲しい物は、お金で何でも手に入る社会の中で育った高校生の言葉に新鮮な驚きを感じました。
平成16年に入って、私は、しずおかユニバーサルデザイン行動計画策定検討委員会の委員に就任いたしました。
静岡県では、県政の基本にユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、様々な施策を進めています。
「ユニバーサルデザイン」とは、すべての人が気持ち良くを発想の起点として、年齢や性別、言語、障害の有無など、それぞれの違いを認め合い、すべての人が暮らしやすいまち、もの、環境などをつくっていく考え方と定義されています。
それでは、バリアフリーとどこが違うのでしょうか。バリアフリーは、1.段差などの物理的な障害2.法律・習慣などの社会制度による障害3.情報・人の偏見などの障壁等を取り除いていこうとするものです。ユニバーサルデザインは、最初から誰にとってもバリアのないまちづくり、ものづくりなどを目指していこうとする考え方です。
たしかに、戦後60年、日本の国は、品物・建物・交通など日常生活のあらゆる面で、供給する側は利便性のみ追求し、使うすべての人が気持ちよくの視点で作ってこなかったことも事実です。日本の国は、人権の生存権からの発想に欠けているところがあると言われるゆえんです。
特に、今は親が、そして近い将来自分自身が高齢者になった時の生活を想像すると、ユニバーサルデザインの考え方が生かされたまちづくり、ものづくりなどの実現も強く望んでいます。
さらに、静岡県福祉サービス第三者評価推進委員会の委員に就任することを決めたのも、人権の生存権からの発想が しんしゃく斟酌されればと思ったからです。
福祉サービス第三者評価事業は、事業者の提供するサービスの質を当事者(事業者・利用者)以外の公平・中立な第三者機関が、専門的かつ客観的な立場から評価する事業です。利用者の保護や満足、プライバシー確保が加味された利用者本位の福祉サービスの提供の仕組みづくりを進めることによって、福祉サービスの質の向上と利用者・家族が選択できるようにするのが目的です。
このように、人権の生存権について、静岡県でも新しく心の満足や安心感の視点から様々な取組がなされています。