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更新日:令和3年11月10日

生かされて生きる

静岡県人権・地域改善推進会会長代行 茗荷 完二

最近、同期の友人が過去を振り返って自分史を贈ってきました。表題は「生かされて生きる」でした。自分の存在は掛け替えのないものであり、自分の生命ほど大切なものはないと思いますが、他人に支えられて生きている自分を改めて実感致しました。顧みると、同和問題にかかわって40数年を経過しました。たまたま偶々の運命であります。
さて、同和問題とは何かを一言で申し上げれば、過去の封建時代の身分制度に基づく身分が低いとされた人々のこうえい後裔に対する差別問題であります。
人種・性別に基づく差別問題等と同じく、人間の尊厳性を侵すものであり、その人の生まれに基づく差別は、基本的人権・自由権・平等権の保障されている現代社会の下においては、存在を許されない不条理な問題であり、その早期解消のためには、国民の心の中に人権意識を深く浸透させることが何よりも必要であろうと思います。
平成8年、地域改善対策協議会の政府への意見具申の中に、「人類は、人権のないところに平和は存在し得ない、という大きな教訓を得た。今や、人権の尊重が平和の基礎であるということが世界の共通認識になりつつある。」、「国民一人ひとりが、自分自身の課題として、同和問題を人権問題という本質から捉え、解決に向けて努力する必要がある。」と述べられています。
その方向に沿って、平成12年、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制定され、その第5条では、「地方公共団体は(中略)人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。」とあります。重く受け止めていただきたい。長い道のりを経て獲得された成果であります。
もう一点は、人権侵害に対してどのように簡易・迅速に救済を行うかでありますが、それに関する法律は未策定であります。この法律が制定されることにより、はじめて車の両輪が正常に働き、我々は人権問題解消への道筋が開かれるものと確信致しております。
差別(偏見をもって区別)することは人間として恥ずかしい行為であるという認識が、成人の間で心の中に深く浸透されることが肝要であり、また児童・生徒の間では、義務教育終了までに世界人権宣言第1条「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」の精神がしっかりと身につけられ、日常生活に根付くことが大切であります。
政治・行政・人権関係諸団体が一体となって、人権が尊重される明るい社会の実現を目指し、継続して尽力されることを願って止まない次第です。