(1)安全・安心な地域づくり(ア)命を守る安全な地域づくり

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ページID1052312  更新日 2023年3月1日

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令和5年2月県議会定例会知事提案説明要旨

【3.人づくり・富づくりを具体化する取組】(1)安全・安心な地域づくり

予算編成と組織定数改編の基本方針の1つ目は、「人づくり・富づくりを着実に推進する取組」であります。以下、新ビジョンを具体化するための5つの基本となる柱に沿って、主な政策を御説明申し上げます。

第1の柱は、「安全・安心な地域づくり」であります。

まず、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。

昨年10月から感染者数は増加の一途をたどり、12月23日には国の評価レベルを2から3に引き上げるとともに、県独自の医療ひっ迫警報を発令しました。年が明けて先月以降も拡大が続き、先月13日には医療ひっ迫防止対策強化宣言を発令し、県民の皆様に感染拡大抑制への協力を求めたところであります。

この間、感染者数は、過去最大を記録し、病床使用率も80%を超えることとなりました。医療従事者の感染による休職や、インフルエンザとの同時流行等による医療提供体制の危機的状況を打開するため、医療ひっ迫防止対策強化宣言に合わせ、県内の全病院に対し、病床の確保や後方支援病院への回復患者の転院の促進など、感染症法に基づく要請を行いました。

また、県民の皆様に対しましては、重症化リスクの低い方で症状が軽い場合には、まず自己検査をすること、仮に陽性の場合でも、自己検査・療養受付センターに登録し、できる限り自宅療養することをお願いしたところであります。

先月中旬からは、感染者数が減少に転じ、病床使用率や救急搬送困難事案も減少してきたこと、一方で、地域によっては医療のひっ迫が続いていることなどを踏まえ、今月10日をもって、医療ひっ迫防止対策強化宣言を終了し、県独自の医療ひっ迫警報に切り替えたところであります。県民の皆様におかれましては、引き続き、感染拡大抑制への御理解と御協力をお願いいたします。

先月27日、国は、5月8日より、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の類型を、現在の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同等の「5類」に移行させる方針を決定しました。これを踏まえ、本県も、随時、対策の見直しを図ってまいります。一方で、今後の流行時にも、県民の皆様が安心して適切な医療や相談を受けられるよう、県医師会、県病院協会など関係団体や市町と連携し、必要な対策を機動的に実施してまいります。

次に、防疫先進県への取組についてであります。

これまで新型コロナウイルス感染症対策を進める中で明らかになった課題に対応し、今後の新たな感染症等の発生に備えるため、本年4月、「ふじのくに感染症管理センター」を三島市内に設置し、防疫体制を一層強化いたします。

本県の防疫対策の司令塔として、医師や看護師などの人材育成や、情報プラットフォームの構築、国立遺伝学研究所との連携などを進め、感染症対応力の更なる底上げを図り、防疫先進県を目指してまいります。

次に、危機管理体制の強化についてであります。

想定される南海トラフ地震や豪雨災害などから、県民の皆様の生命や財産を守り抜くことは、県政の最優先課題であります。

地震・津波対策につきましては、来年度から10年間を計画期間とする「地震・津波対策アクションプログラム2023(ニセンニジュウサン)(仮称)」がスタートいたします。想定される犠牲者の最小化や、避難生活の質の改善などに取り組み、県民の皆様が、安全・安心に生活できる社会を実現してまいります。

犠牲者の最小化に向けましては、県民の皆様の早期避難意識の向上が、何よりも重要であります。このため、様々な自然災害に対する自分自身の行動計画を、事前に考えて作成する「わたしの避難計画」の普及に最優先で取り組みます。

令和7年度までの3年間を重点期間と位置付け、市町との緊密な連携のもと、自主防災組織などを主体として、取組を一層強化いたします。地域防災訓練等の機会を通じて、住民一人ひとりの計画づくりを進め、避難行動を把握し、その改善等に繰り返し取り組むことで、目標とする住民の早期避難意識90%以上を確実に達成いたします。

また、市町が実施する地震・津波対策の一層の促進に向け、地震・津波対策等減災交付金を拡充いたします。アクションプログラムで重点的に取り組む「わたしの避難計画」の普及や避難生活の質の改善、防災対策へのデジタル技術の活用等の取組について交付率を嵩上げするなど、市町の地震・津波対策を強力に支援してまいります。

災害対応力の強化につきましては、昨年の台風15号で顕在化した課題等を踏まえ、市町との連携や情報集約方法の改善に重点的に取り組んでまいります。

災害発生直後に、被害規模の大きい市町に派遣し、迅速な現場情報の把握と、市町の災害対策活動への支援に当たる「市町支援機動班」を、先月17日、新たに、県災害対策本部に設置いたしました。

また、市町が把握しているライフラインや孤立集落の状況など、大量の被害情報を迅速に集約するため、デジタル技術を活用し、県の災害情報システムの機能強化を図ってまいります。

災害対策は、時間との戦いであります。刻一刻と変化する災害情報に応じて、臨機応変に対処できるよう、国や市町、消防、警察などの関係機関等と連携し、本県の災害対応力の一層の強化に全力で取り組んでまいります。

次に、激甚化する自然災害への対応についてであります。

近年の地球規模の気候変動の影響等により、自然災害が頻発化、激甚化しており、その対策の強化が喫緊の課題となっております。

このため、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」と合わせて、道路や河川、砂防などの緊急自然災害防止対策に取り組んでまいります。 

また、旅行者や移住者が、安心して県内を巡ることができるよう、駅やバス停周辺の安全な歩行空間の確保や、賑わい拠点周辺の道路拡幅などを実施するほか、昨年の台風15号による被災箇所周辺の河道拡幅や砂防堰堤等の整備を、令和6年度までの2年間で、緊急的に実施してまいります。加えて、多くの土砂等が堆積した河川につきましては、集中的に浚渫を実施いたします。

さらに、国や市町、企業、住民など、流域のあらゆる関係者と連携して取り組む「流域治水」の考え方に基づき、県下15流域において、台風15号による浸水被害などを検証し、ハード・ソフト両面から効果的な対策を講じてまいります。

次に、盛土対策についてであります。

熱海市伊豆山地区における土石流災害につきましては、先月18日、熱海港での捜索活動中に遺骨が発見され、今月9日、行方のわからなかった最後の方のものと判明いたしました。御遺族の皆様の御心痛を察するに余りあります。改めて、今回の災害により犠牲となられました多くの方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族や被害者の皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。また、この1年7か月の間、日々懸命に捜索に従事された方々に、心より感謝を申し上げます。

現地の復興は道半ばであり、思いを新たに、被災者支援に全力で取り組んでまいります。また、二度と同じような災害を発生させないため、災害に強い県土づくりに総力を挙げて取り組んでまいります。

昨年10月に着手した逢初川源頭部に残る土砂の撤去につきましては、雨期前までに完了いたします。また、逢初川上流部において国が整備した砂防堰堤と合わせて、下流部において、昨年12月に公表した河川整備計画に基づき、熱海市の復興まちづくりと連携して河川改修を進め、早期復旧と復興に着実に取り組んでまいります。

不適切な盛土への対応につきましては、現地パトロールや監視カメラのほか、新たに人工衛星を活用した監視を行うなど、様々な手法を組み合わせ、監視体制を強化いたします。

周辺への影響が懸念される盛土に対しましては、関係法令に基づき、盛土行為者に厳格な指導を行うとともに、市町等と連携して、安全性調査や現地の応急対策等を速やかに講じるなど、現地の安全確保を最優先に対策を進めてまいります。

このうち、静岡市葵区杉尾(すぎお)・日向(ひなた)地区の不適切な盛土につきましては、県砂防指定地管理条例に基づく盛土行為者への指導により、既に、排水管の設置などの応急対策が講じられております。現在、恒久的な安全対策を行うよう指導を続けるとともに、行政代執行も視野に、盛土行為者への行政処分に向けて、速やかに準備を進めているところであります。周辺住民の皆様の安全確保に万全を期してまいります。

また、県盛土等の規制に関する条例に基づく審査事務の円滑化を行うとともに、建設発生土の利活用や適正な処分を促すため、モデル事業として、県内3か所にストックヤードを整備いたします。

本年5月に施行される、いわゆる盛土規制法への対応につきましては、法に基づく規制区域の指定に向けて、県内の基礎調査を速やかに進めてまいります。県盛土条例との整合を図った上で、法律と条例による効果的な盛土の規制を通じて、県民の皆様の生命と財産を守ってまいります。

次に、安全な生活の確保と交通安全の推進についてであります。

特殊詐欺や人身の安全に関わる事案などから県民の皆様を守るため、これまでの犯罪抑止対策や自主防犯活動に加え、スマートフォン向けアプリを活用した防犯情報のわかりやすい発信など、対策をさらに進めてまいります。また、警察活動の拠点となる警察署や交番・駐在所の整備なども計画的に進めてまいります。

また、令和4年の交通事故による死者数は83人と、統計を取り始めて以降、最少となりました。今後も、高齢者と子供の事故防止を重点として、取締りや啓発・指導を徹底するなど、総合的な交通事故防止対策を講じてまいります。