(4)豊かな暮らしの実現(ア)富をつくる産業の展開

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ページID1052392  更新日 2023年3月1日

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令和5年2月県議会定例会知事提案説明要旨

【3.人づくり・富づくりを着実に推進する取組】(4)豊かな暮らしの実現

第4の柱は、「豊かな暮らしの実現」であります。

はじめに、本県経済を強力に牽引するリーディング産業の育成についてであります。

ファルマバレープロジェクトにつきましては、これまでの患者、企業主体の「医療城下町」の取組を基盤にして、住民主体の「医療田園都市(メディカルガーデンシティ)」の実現を目指してまいります。

豊かな暮らしと充実した医療・福祉・介護を提供し、地域企業の成長や、企業誘致を通じた高付加価値型産業の集積等を進め、地域経済を発展させる超高齢社会の理想郷づくりに、市町や関係団体と一体となって取り組んでまいります。

世界的に加速する自動車分野におけるEV化、デジタル化への対応につきましては、次世代自動車センター浜松を中核として、地域企業間の技術マッチングを積極的に後押しするほか、最新のEV部品の分解・展示活動やコーディネーターによる小規模企業のDXや脱炭素化等の取組に対する支援の充実を図ってまいります。

また、浜松工業技術支援センターに「デジタルものづくりセンター(仮称)」を新たに設置し、3次元データを用いた製品開発の支援などに取り組み、自動車産業に携わる地域企業の持続的な発展を支援してまいります。

CNF(セルロースナノファイバー)につきましては、海外の著名な研究者や先進的なビジネスを進める企業等が参加する国際シンポジウム・展示会を富士市内で初めて開催し、グローバルな展開を図ってまいります。

また、CNFの第一人者である磯貝(いそがい)明(あきら)東京大学特別教授と連携し、産業人材の育成を図るほか、静岡大学を中心とした産学官連携の研究開発体制を強化し、CNFの大きな市場として期待される自動車部材への応用を目指してまいります。

伊豆ヘルスケア温泉イノベーションプロジェクト、通称ICOIプロジェクトにつきましては、企業によるヘルスケアプログラム開発や、新分野での事業創出を引き続き支援するとともに、温泉に関する研究や温泉文化を発信する「東アジア温泉地サミット」の開催などに取り組んでまいります。

温泉とジオパークなどの自然や歴史、食、スポーツなどの地域資源を組み合わせた新たなヘルスケア産業を、関係市町、団体等と一体となって創出し、住む方、訪れる方が、身も心も元気になる伊豆地域の実現に取り組んでまいります。

次に、スタートアップ企業への支援についてであります。

本県の経済成長の新たな原動力となる県内のスタートアップ企業を支援するため、本県独自の基本戦略を策定し、戦略的に施策を展開してまいります。

戦略の策定に先立ち、来月開所するイノベーション拠点SHIP(シップ)(SHizuoka Innovation Platform)を活用して、県内支援機関と連携し、支援体制の充実を図るほか、相談受付や、ビジネスマッチングの開催等を通じて、企業間のコミュニティ形成を推進いたします。また、県内企業と首都圏を中心としたスタートアップ企業との協業を促す商談会「TECH(テック) BEAT(ビート) Shizuoka(シズオカ)」を開催するなど、県内のスタートアップ企業の創出と育成に、スピード感を持って取り組んでまいります。

次に、中小企業の経営力向上についてであります。

中小企業は、本県経済の活力の源であります。長引く物価高騰などに対応するため、経営革新による新商品開発や生産性の向上、新たなビジネスモデルの構築など、経営基盤強化や収益力改善の取組を重点的に支援してまいります。

次に、農林水産業の競争力強化についてであります。

デジタルなどの先端技術の導入や、AOI、ChaOI、MaOIなどの研究開発成果の投入などにより、本県の農林水産物の生産拡大や付加価値の向上を図り、農林水産業の競争力を一層強化してまいります。

農業につきましては、スマート農業の普及や、農地の集積・集約化、基盤整備などにデジタル技術を活用し、農業生産の高度化・効率化を進めてまいります。また、省エネや環境負荷の低減、生産性の向上等に取り組む農業者を支援する新たな制度を創設するなど、持続可能な農業への転換を進めてまいります。

茶業につきましては、世界市場を見据えた静岡茶の新たな需要開拓と、有機抹茶の生産拡大など、需要に応じた生産構造への転換を進めてまいります。また、本年4月より、茶業研究センター内に新商品開発関連施設(ChaOIファクトリー)が稼働いたします。食品や化粧品の素材などの多彩な分野の新商品を開発し、本県茶業の力強い再生に取り組んでまいります。

林業につきましては、林業分野のイノベーションを創出するFAOIプロジェクトを中心に、森林資源の循環利用を進めてまいります。

資源量が豊富で、安定的な生産が可能な木材生産団地への路網の先行整備等を緊急的に進めるほか、生産・流通をスマート化するデジタル林業戦略拠点の構築を目指すなど、県産材の安定供給体制の強化に取り組んでまいります。また、県産材を使用する住宅への助成や、公共部門での率先利用などにより、県産材の需要拡大を図ってまいります。

水産業につきましては、近年不漁が続くアサリやキンメダイなどの漁獲量の回復に向け、ICTの活用等による食害対策、磯焼けで激減した藻場の再生などに取り組みます。また、デジタル技術の活用により、操業の省力化や流通の効率化などを促進し、水産王国静岡の持続的な発展に取り組んでまいります。

市場と生産が結びついたマーケティング戦略の推進につきましては、山梨県との連携による「バイ・ふじのくに」、長野県、新潟県を加えた4県連携の「バイ・山(やま)の洲(くに)」により、人流と物流の活性化を通じて生産と消費の好循環を生み出してまいります。「利他」と「自利」の精神で支え合う、地域主導型の経済政策「フジノミクス」を推進し、物心ともに豊かな広域経済圏を作り上げてまいります。

また、海外の大規模販売店等と連携し、大規模・多品目に対応する販売先を確保するなど、新たな商流を構築し、県産品輸出の一層の強化を図ってまいります。