(2)持続的な発展に向けた新たな挑戦(イ)環境と経済が両立した社会の形成

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ページID1052385  更新日 2023年3月1日

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令和5年2月県議会定例会知事提案説明要旨

【3.人づくり・富づくりを具体化する取組】(2)持続的な発展に向けた新たな挑戦

次に、中小企業等の脱炭素化支援についてであります。

エネルギー価格の高止まりや電力需給のひっ迫が懸念される中、事業者の省エネルギー等の取組を支援し、脱炭素化と経営力の強靱化を図っていくことが重要であります。

このため、中小企業による省エネルギー設備導入への助成制度を拡充するとともに、太陽光発電設備や蓄電池の導入への支援制度を新たに創設いたします。また、脱炭素経営の実践に向けた伴走支援や、民間建築物のZEB(ゼブ)化(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の支援など、中小企業の省エネ、創エネの取組をきめ細かく支援してまいります。

次に、地域における脱炭素化の推進についてであります。

2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素社会を実現するためには、再生可能エネルギーの導入や徹底した省エネルギー化の推進が必要であります。

このため、環境と社会経済の両立により地域課題の解決を図る「地域循環共生圏」において、バイオマスや小水力などの再生可能エネルギー導入への支援制度を拡充いたします。市町や関係団体等と連携し、圏域内の脱炭素化の取組を強力に推進してまいります。

また、省エネルギー機器の導入や、植林等のCO2吸収源の確保による温室効果ガスの削減効果を、クレジットとして取引する「カーボンクレジット」の創出を促進するほか、県有建築物の計画的なZEB(ゼブ)化を推進するなど、脱炭素社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。

次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。

先月4日、岸田文雄内閣総理大臣は、年頭記者会見におきまして、「本年はリニア中央新幹線の全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい」「リニア開業後の東海道新幹線における、静岡県内の駅等の停車頻度の増加について、本年夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたい」と表明されました。

JR東海は、交通政策審議会中央新幹線小委員会において説明して以来、品川-名古屋間の部分開業と、品川-大阪間の全線開業の2段階で工事を進める方針を変えていません。そのため、先月24日、私は、リニアの整備に影響を及ぼす社会動向等を踏まえた上で、この2段階に分けて、東海道新幹線の需要動向調査を行い、その段階ごとの本県のメリット等を説明していただくよう、岸田総理に文書で要請いたしました。

先月25日に開催した県の地質構造・水資源専門部会では、JR東海から昨年4月に提案された田代ダム取水抑制案について、過去10年間の河川流量実測値のデータや河川法上の取扱いについての政府見解が示されるなど、対話に一定の進展がありました。しかし、この案の前提となる東京電力リニューアブルパワーの協力について、JR東海からは、「現時点で確約は得られておらず、今後、同社と具体的な協議を開始する」という説明にとどまっています。

一方、JR東海が、地質や湧水の調査として行うと説明している高速長尺先進ボーリングにつきましては、県外への地下水流出が懸念されている中、JR東海から、「山梨県側から県境に向け、2月上旬に開始する。しかし、湧水を戻す方法が決まるまで、県境を越えて実施しない」との説明がありました。

これを受け、先月31日、JR東海に対し、本県の地下水が流出するおそれが低いと考えられる区間を、科学的根拠に基づいて明らかにすること、これよりも県境に近い区間における具体的なリスク管理方法等について、この区間に達するまでに本県と合意すること、仮に合意できない場合は、削孔を止めることを、文書で要請いたしました。県民の皆様の不安や懸念が払拭されるよう、引き続き、JR東海との対話を進めてまいります。

昨年12月20日に開催された国の第6回環境保全有識者会議では、大井川上流部の沢の地下水位変化による水生生物への影響など、3つの論点(案)が示されました。これを受け、先月12日に県の生物多様性専門部会を開催して意見交換を行いました。この結果を踏まえ、自然環境への影響の回避・低減を大原則として、具体的な方策等を最大限検討することや、発生土置き場の課題を十分認識することなど、16項目の意見をとりまとめました。この意見について、先月30日、国土交通省に対し、今後の国の環境保全有識者会議の議論への十分な反映や、JR東海に対する必要な指導を、文書で要請したところであります。

今後とも、リニア中央新幹線の建設と、大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため、国と協力してJR東海との対話を進めてまいります。