人づくりちょっといい話25

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ページID1018525  更新日 2023年1月11日

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刺激が脳を発達させる(2)

それから、赤ちゃんがよく手づかみで食べたものを口の中に運びますね。「あらあら、汚くなる。ばい菌でも入ったら大変だ」と、すぐに母親や祖父母がスプーンで食べ物を与えてしまう。手が働けば、大脳の中の神経回路がそこで発達して、新しい回路がどんどん生まれていくのだけれども、親がその行為をやめさせて、スプーンで口の中に食べ物を運ぶことによって、大脳は何もしなくなってしまうんですね。

“はいはい”もそうです。“はいはい”は、実は人間にとってものすごく必要なことなんです。“はいはい”をすることにより、全身に刺激を受け、大脳の神経回路の発達が非常に早くなる。しかし、”はいはい”ばかりやっているからと無理に立たせてしまうことで、その発達を止めてしまっているんです。したがって、親がすぐ手を出すということは、「百害あって一利なし」といってもいいだろうということなんですね。

ちょっとすごい実験があります。子猫を捕まえてきて、縦縞だけ入った眼鏡(ゴーグル)をかけさせるんです。1週間してその眼鏡を取ると、猫は横縞が全然見えない猫になってしまうんだそうです。縦縞しか見えない。ですから、横にバーを置いたりすると、それにボンとぶつかって飛び越えられないということがあるそうです。

では、どうしたらいいのでしょうか。それは子どもから中学生、高校生、大人になっても、しょっちゅう外界からの信号を受け取るような環境の中に、その人間を置くのが一番いいというんですね。

私は驚いたのですが、びっくりするとか怯えるというとき、どうやってそれを防ごうか逃げようかと考えるために、大変な信号操作が大脳の中で行われているというんです。風の音を聞くとか、熱さや冷たさに驚くとか、良い匂いや悪い匂いを嗅がせるとか、なるべく外界からの刺激を大脳が受けて、その信号を調節する訓練の機会をしょっちゅう与える。このことが頭を良くする原(もと)なんだそうです。このような発達認知神経科学を基礎にした教育科学というものがこれからは必要ですし、日本の子どもたちを勉強好きにする、一番正確な方法だということです。

子どもが幼稚園に行きだしたら車で送り迎えをするというようなことがあるでしょう。よくよく考えてみると、それは、子どもが歩くことにより足の裏から情報を得るということを遮断してしまっていることになるんです。お金のあるないというものもいろいろな価値評価がありますが、子どもを育てる上ではマイナスのようですね。

草柳大蔵著「続・午前8時のメッセージ99話」(2002年発行)より

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