第5回忘れられた畳の良さを伝えたい!
焼津市の松葉畳店イ草クリエーターの伊藤知美さん
こんにちは。静岡県中部地域局です。
地域活動に取組む方々にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんに情報をお届けします。第5回となる今回は、焼津市に店舗を構えている松葉畳店イ草クリエーターの伊藤知美(いとうともみ)さんにインタビューしました。
自身も地域の方も楽しんで続けたい、「エール市場」
薄れゆく畳文化を継承するため、2014年に松葉畳店を継承しました。畳は生活に密着した家具ですので、修理を依頼されたらその日のうちに仕上げてお客様に返さなければなりません。そうしたことから、自然と地元密着型の商売になっていくのです。
今年はコロナ禍で地域の商店の方の売り上げが落ち、困窮されていました。そこで、何か楽しみながら地域の役に立てることとして、今年の1月30日から「エール市場」を始めました。エール市場では、毎月10日に松葉畳店の敷地に畳のベンチを出して、地元の飲食店に出展してもらっています。地域の人たちも楽しんでもらえるようなイベントになればというのと、地域の商店の方にとってちょっとでもその日の売り上げになればいいかなと思って、始めました。
そうすると、ちょっと軽食を食べに地域の方がいらっしゃって、わいわい座ってもらって皆様でコーヒーを飲んだりとか、知らない人同士がそこへ座って何か話したりとか、地域間交流の場にもなりました。
ピザやお菓子の売り上げも良かったみたいで、喜んでもらえてこちらも嬉しいです。
元々エール市場は島田市の海産物処ふじ田の、藤田さんが始めたんですね。藤枝市のノイコーヒーさんもお誘いさせてもらい、焼津市の私たちと、3者それぞれの地域でエール市場を開催しています。
お互いにSNSで情報を発信しあったりして盛り上げつつ、地域で持続的な取組をしていきたいと思っています。ゆるく長く続けていきたいですね。
畳空間は、地域との交流スペース
店舗の2階に畳のスペースを作って、ヨガ、筆ペン、メイクアップなど、様々な講座を開いています。皆さん、どこにも出かけられない状況ですし、それでも面白い先生もいっぱいいるので、そうした人たちを、畳を通じてつなぎ、楽しんでもらえる空間を提供してみたいなという思い付きで始めました。
この畳スペースを活かして、長い目で少しずつ、そういう地域の交流の場を目指してやっていけたらいいなと思います。
そして、ここの畳で楽しんでもらって、結果として畳のことを知ってもらえたらいいなって考えています。
忘れられた畳の良さを、伝えたい
畳って、本当はすごくいい素材なんですけど、昔の和室の古臭いイメージが、すごく強くて。
だけど、使い方によってはすごく格好よくもなるし、かっこいいのに落ち着く空間っていうのを絶対に提供できると思うんですよね。
私たち畳屋が、畳の良さを上手に伝えてこなかったことも、反省しなくてはいけないと思っています。
畳の心地よさっていうのをもう少ししっかり伝えてきてれば、違ったかもしれないけど、今また、もう一度ちゃんと伝えることで、再確認してもらえるといいですね。
現在、畳の原料である、イ草農家さんが激減していることに、危機感を覚えています。イ草は98パーセントぐらい、熊本の八代というところで生産されているんですけど、農家の方の平均年齢が70歳を超えています。そして、平成元年は4千500軒ぐらいあったイ草農家さんが、今350軒を切っているそうです。
松葉畳店では、少しでも畳の良さを感じてもらえるよう、イ草を使った小物を作成しています。
がんばりすぎずに「皆さんに楽しんでいただけたら」、そう思っています
エール市場も畳スペースも、皆さんにも楽しんでいただければと思って取り組んでいます。
ただ、がんばりすぎにならないように、義務感からではなくて、自分が楽しめる範囲でやっています。その方が、結果として長く続けられると思います。
リレーのバトンは島田市の藤田さん
島田市内でエール市場を開催している藤田さんへ、伊藤さんから一言
「自分の事より他人のことを考えてくれている姿に尊敬しかありません。藤田さんのような素敵な大人になりたいです!」
このページに関するお問い合わせ
中部地域局地域課
〒426-0075 藤枝市瀬戸新屋362-1 藤枝総合庁舎2階
電話番号:054-644-9102
ファクス番号:054-645-1152
chubu-chiiki@pref.shizuoka.lg.jp