第11回お母さんたちの子育てを、支援します!

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ページID1035201  更新日 2023年1月13日

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写真:富士エコティック1

富士エコティックの中川さん

こんにちは。静岡県中部地域局です。

地域活動に取組む方々にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんに情報をお届けします。第11回となる今回は、藤枝市下之郷にあるドラム缶製造・販売会社「富士エコティック」の取締役、中川由香(なかがわゆか)さんにインタビューしました。

藤枝市への移住

転職をきっかけに藤枝に勤務するようになり、2年ほど静岡市から通勤で通っていましたが、仕事で藤枝市内のあちこちを回るうちにすっかり藤枝に魅了され、住んでみたいと思うようになり、6年前に何の当ても知り合いもなく引っ越して来ました。

息子の乗った三輪車を押しながら商店街を散策したり、蓮花寺、岡出山周辺の山を登ったり、蓮花寺公園へ夜の散歩に行ったりと、幼保時代を藤枝で過ごせたお陰で、子どもをきっかけにこちらで初めて『ママ友』という人たちに巡り会いました。お互いの家を行き来し、旅行に出かけ、商店街のお祭りに繰り出したり楽しい時間も共有でき、子育てを楽しませていただいている場所です。

生粋の藤枝人の友達には地元について教えてもらうことができ、違う土地から移り住んで来た友達とは一緒に色んなことを探っていくという、2種類の馴染み方ができたことは幸運でした

お母さんのための子育て情報サイトの立ち上げ

仕事の立場上、様々な人を指導してきました。その中で、対人関係を良好に築けない、仕事を最後までやり遂げられない、なんとか手を差し伸べても離職していく人達を目の当たりにしました。そうした方は、幼少期に生じていた問題を先送りにしてしまった結果、社会に出てから困難に直面しているのでは?と思い始め、それらをなんとかしたいと会社の中で試行錯誤していくうちに自身の子育ての課題と相通じるものがあり、子育て支援に取り組みたいと考え始めました。

子どもが集団で学ぶのに合っていないのでは?この後環境は適していないのでは?子どもが何かに困っている、苦しんでいるんではないか、このままでは心身共に疲弊してしまうんじゃないかなど不安を抱え、ネットなどで得られる情報を仕入れてもどう活用していいか分からなかったり、様子をみたら?など周りの声から、そのままになってしまい、現状解決に至っておらず、今後が不安という方に多く出会ってきました。

私もその一人でした。

問題の原因がわかっていても、日常の生活レベルにまで落しこんで、具体的にどうしたらいいかなどを教えてくれる場所はなかなかなく、解決策や安心材料が欲しくて奔走するものの、必要な情報を得ることができないのが現実です。情報にめぐり合っても、地方でそのまま活用できる情報やサービスでないことが多く、結果的に自分自身で子どもの発達について心理学、脳科学、教育学、解剖生理学教育学など、専門的に学んで情報・知識を獲得していくようになりました。

そうした中で、焼津にある「オルタナティブスクールしいの木」のことを眼科医より紹介され、求めていた学びの場だと親子で実感し、メインの学びの場として通学するようになりました。

チラシ:オルタナティブスクール しいの木


ここに通うお母さんたちとお話しをする中で、皆さんが欲しい情報が手に入らず、ここに辿り着くまでは手探りで極めて大変だったことを知りました。

私も他のお母さんと同様やっとこのスクールにたどり着きました。同時に、子どもの悩みや学校以外の学び場に関する地域に根ざした具体的な情報を発信・共有する仕組みがないことを痛感しました。

子育ては母親だけがする世の中ではなくなりましたが、それでも母親が子育てを担う割合が多いのが現状で、生活の中で子どもと一番近く、長い時間接するのは母親だと思います。

その母親が子どもに対して正しい知識と理解を持ち、環境を整えることで、困りごとの多くは小さくなり、困ってる時期には見えなかった才能が顔を出し、新芽となって育っていきます。

同時に、子育てにおける困りごとは、子ども自身が一番辛いのはもちろんですが、積み重なると親にとっての『育てにくさ』に繋がってしまい、親が疲弊してしまったり、親子関係が悪化したり、家族の中でも、子育てや接し方についての意見の相違から、理解を得にくい状況が生まれてしまうことなどを目の当たりにしてきました。

また、子どもの現状に対して親が気づかない、あるいは認めたくないという状況も、情報不足を原因として起こってしまいます。

現在、子どもを積極的に支援する機関は増えてきましたが、保護者を支援するところはなかなかありません。そこで、不安にならず、情報に振り回されずに、家庭レベルでわかる知識や親が家できる実践方法、多様な学びの場所などを提供したいという思いで情報サイトを立ち上げました。

サイト名は、「静岡 子育て情報サイト トランスフォーム・プロジェクト」です。

写真:トランスフォーム・プロジェクト

二次元コード:トランスフォーム・プロジェクト


例えば医療機関の受診一つにしても、子どもの状況を見極めて診察してもらうのとそうでないのとでは診察時の対応に雲泥の差がありますし、わが子の状況をきちんと親が説明出来るだけの知識と余裕があれば、医療機関もスムーズかつ適切に診察が出来ると思います。どこの病院が対応力があるかが分かれば、子どもをどこの病院に連れて行こうどこの歯医者なら嫌がらずに行けそうかなんて迷う時間も無くて済みます。

学校も同じで、些細なことでも親から子どもの状態を報告し、対応をお願いすることが出来れば、学校側も対処しやすいでしょうし、子どもも理解してもらえない苦しさから解放されるでしょう。反対に学校からの情報を家庭がうまく活用したり、双方で細かいところまで連携できれば、子どもは学校でも家庭でも不安なく過ごすことが出来る様になると思います。

親がきちんとわが子の『見立て』が出来るようになれば、家の中で四六時中叱ったり、世話をやいたり、毎日イライラと子どもの言行動に左右される苦しい精神状態で過ごさなくて済むようになりますし、なにより、子どもの笑顔が増え、親子の関係がよりよいものになると思います。

サイトの中では、お母さんが困ったり悩んだりした時に家庭で活用できる、生活に落とし込んだ情報や疲れてしまったときに共感できたり、元気になれるような情報を配信していきます。同時に、教育機会確保法の中でもうたわれている、学校以外の学びの大切さ、学び場の素晴らしさ、学校以外の場で学ぶ権利について発信していくことでこの地域の子どもの学ぶ権利を守るために学びの多様性を皆さんに知ってもらい考えていただく機会を作っていきたいと考えています。

また、静岡・志太地区で子どものために活動している素晴らしい方々がたくさんいらっしゃるのですが、現在は知る人ぞ知るという状態です。そうした方や場所の存在を市民全体に知らせることで、地域の子育てのバックアップになるのではと思っています。

学び場の選択肢に広がりを オルタナティブスクールなどの新しい学び場の周知と支援

このサイトを立ち上げたもうひとつのきっかけは、オルタナティブスクールの支援です。

いわゆる不登校と言われる子どもの中には、『あえて学校にいかない』選択をしている子がたくさんいます。フリースクールやオルタナティブスクールというと、引きこもりや不登校の子どもの居場所。と、ネガティブなイメージを持つ方がいますが、下記に記した内容からそれだけではないことがお分かりいただけるかと思います。

子どもの発達の凸凹やつまづきだけでなく、集団での学び方が合わない、好きなことに得意なことに特化して学びたい。もっと幅広い分野を深く学びたい、学校での一律の学び方では、習得が難しいなど様々な理由で学校という枠の中で学ぶことが困難だったり、学びたいと前向きになれずにいる子どもたちがいます。

もっというと、学校で皆と同じ土俵で同じ歩幅では学ぶのは難しいけれど、自分の学びたいと感じることを中心に置きながら自分のペースで学習する方法であれば、様々な角度から教育課程の学びや、それ以上のものを習得出来る子どももいます。そうした子どもの学習を支えてくれるのがオルタナティブスクールであり、そのような才能を開花させている子が多く存在する場所がオルタナティブスクールです。

グローバルな時代を迎えた今、教育は多様性や主体的な学びと、対話的で深い学びを求めており、何より生きる力と『個』を大切にしていく方向にシフトしているように感じています。オルタナティブスクールには、まさにそれが詰まっています。

オルタナティブスクールの学びは、個の学びに寄り添い、全てに多様さと自由さがあり強制はありません。主体は子どもです。

子どもの学ぶ姿勢に先生方が試行錯誤し、学ぶ環境と学び方を提供していきます。目指す山(テーマ)は同じでも、上るコース(学び方)も速度も装備品も個々に違います。

実際、しいの木では体験的学びが多く、その中でリフレクション(振り返り)を大切にしています。わかることだけを発表し、理解を深めるのではなく、『なぜだろう?』をとても大切にします。

写真:富士エコティック2

写真:富士エコティック3

写真:富士エコティック4


体験したときだけ振り返るのではなく、体験が終わった後も、なぜだろう?常にと考えていくことが次への学びの欲求となり、学年に縛られない学びができることが、重層的な学びに繋がっていくことを実感しています。

机の上での計算や回答は苦手だけど、体験や経験を通してなら机の上の学習と同じだけのパフォーマンスが得られる子や、環境調整やメンターとなる人の支えがあれば学ぶ姿勢や意欲を伸ばし、新しいことにチャレンジ出来るなど、ここでは生きた学びを獲得出来ます。

そして、何よりも様々なことで子どもたちがぶつかり合いながら思いの丈をのべ、発した言葉の奥にある相手の気持ちにまで触れることで、他者を理解し、自分の行動や言葉を選び、失敗と成功を繰り返し、許しあい認め合いながら対人関係を作る日常がしいの木では繰り広げられています。そうした出来事は将来生きていく力の要となり、非認知能力が重要視される今、リーダーとして活躍できるだけのコミュニケーション能力を大人になるまでに十分養うことができるでしょう。

しいの木へ通うことを選択した親子は、新しい学びの場に共感、期待し、人間的成長を肌で実感し、時代のニーズを早々に取り入れオルタナティブスクールという選択をあえてしています。今現在は分母の少ない選択肢かもしれませんが、今後は公立、私立と肩を並べ学校の選択肢になっていくと思っています。

そんな素晴らしい場所はまだ『学校』という枠ではなかなか捉えてもらえず、公的資金が導入されていない比率が高く、運営する側、通う側、双方が資金面でとても苦労しており、実際、通いたくても通えない人が多く存在します。また、子どもたちがそこから次の新しい学びのステージを選択したいと望んだときに(高校や大学など)進学の壁となっていることも確かです。

教育機会確保法が本当の意味で早く広く周知、実践されていくよう、親たちが一丸となってオルタナティブスクール支援をしていきます。早期の対策に取り組む必要性があることを行政に訴えかけていきたいと思います。

子どもの幸せを見つける、お手伝いの手を広げます。

ホームページの中で、静岡県の中部を中心に、子どもの未来のため教育に奮闘する大人たちと対談した様子を随時アップしていくことで、子どもの多様な学びを広げ、取り組む人たちの支援、見る方の情報源としてお役に立てる企画を練っているところです。

対談では、塾や習い事の先生、子ども支援に取り組む企業や人材などを紹介していきたいと考えています。

また現在は子どもを扱う企業へ脳の発達に応じた声かけセミナーや、従業員への声かけ指導などもしています。

来年4月に子どもの困りごとを解消しながら、まだ見ぬ才能を伸ばし、親のケアも行う学習・運動教室を開講します。塾・運動・預かり・療育の要素を取り入れた教室です。

私がこれまでに得られた情報を、他の人にもぜひ活用していただきたいと思っています。自分の子だけが良くなるのではなく、地域の子全てに還元したいと考えています。

子どもに幸せになってほしいということが親の最終的な願いだと思いますので、子ども基準での幸せを見つけるお手伝いができればと考えています。

写真:富士エコティック5

心を開いて仲間とともに

月並みですが、自分の住んでいる地域のお掃除や行事などには参加するようにしています。

小さなことではありますが、どこに誰が住んでいて、どんな家族構成か。回覧板を回す、挨拶する、立ち話をする。そんなところから子どもを見守ってくださる環境に繋がっていることに深く感謝しております。

子育ての価値観や家族の方針等は、各家庭、人それぞれで、どれが正しいというものがないからこそ、誤解やルール違反を生まないよう、自ら心を開き、開示するように心掛けております。

そんな話をしていると自然と実はね・・・などと相談を受けたり心を開いてお話してくださるなんてことにも繋がったりしています。

また、毎月第4金曜日にしいの木の親の会「しいの実」に出席しています。誰でも参加でき、近隣地域の教育情報や自分たちの子育ての悩みや、意見交換をオンライン、オフラインで情報交換をしたりしています。

しいの実に参加しているお母さんたちはとても聡明で、努力家で思いやりがあり、子どもたちのために行動する人たちばかり。参加していると子育てをみんなに手伝っていただいている感覚になり、大変いつも励まされております。そんな仲間を増やせるように活動しております。

藤枝市のここが好き!

子どもが小さな頃は蓮花寺公園の近くに住んでいたので、一日遊べる最高の遊び場でした。

四季を感じられる公園、オーガニックマーケットやお祭り・・・大人の私も楽しめる場所でした。

藤枝はコンパクトで移動しやすく、ちょうどいい田舎とちょうどいい都会。混み混みしてないけど、ほどよく人がいてどの方面にもアクセスが良いところが大好きです。

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中部地域局地域課
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