第18回株式会社Agrinos

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ページID1043470  更新日 2023年1月20日

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川根本町で耕作放棄地再生と、ゆず商品開発に取り組む中野菜穂さん

こんにちは。静岡県中部地域局です。
地域活動に取り組む方々にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんに情報をお届けします。
第18回となる今回は、川根本町の奥泉地区で、耕作放棄地となった茶畑をゆず畑に再生し、ゆず商品の開発にも取り組んでいる、株式会社Agrinos(アグリノス)の中野菜穂さん(写真左側)に、インタビューしました。

写真:果物を手に中野菜穂さんと仲間の方たち

ゆず商品の開発と、金賞受賞までの道のり

株式会社Agrinosでは、川根本町において高齢化のため拡大している茶畑の耕作放棄地を、ゆず畑に再生する活動に取り組んでいます。
川根本町は若者が成人すると町外に出てしまうことが多いため、農業の後継者不足の問題が常態化しています。この課題を解決し、地域活性化の手段として、「ゆず」で町を盛り上げることを目指しています。
現在、3ヘクタールの耕作放棄地を借り上げ、ゆず、ライム、カボスなどの柑橘類に植え替えて、果樹園に作り替えています。

写真:傾斜地のゆずの果樹園


また、ゆずをマーマレード、ぽん酢などに加工し、直売する6次産業化にも取り組むことで、果実のまま出荷するよりも、魅力的で付加価値の高い商品を送り出しています。
川根本町産のゆずは、強い香りと酸味に特徴があります。それは、この地域の気候がゆずの皮を厚く、やわらかく育てるためです。
主力商品のゆずマーマレードは、こうした特徴を活かし、砂糖に頼らないゆず本来の味を引き出すことを目指して改良を続けてきました。
その成果として、今年4月に開催された
「第4回ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会」で、金賞を受賞することができました。

写真:ありがとうの文字が入った封緘シール付きゆずマーマレードの瓶

地域に溶け込み、発信すること

株式会社Arinos(東京都港区)が行う投資・育成事業の一事業(地方創生事業)として地域における魅力的な事業の創出を目的に川根本町に参入し、サテライトオフィスを開設したAgrinos。町に根付き活動したいという強い想いから、川根本町に参入して約半年後の2019年に農業法人「株式会社Agrinos」を立ち上げ、現在に至っています。母体が東京を拠点にする会社ということもあり、元々川根本町と縁があったわけではありませんでした。
同町にサテライトオフィスを設置する「株式会社経営参謀」とのつながりが、町を訪れるきっかけとなりました。
実際に町を訪れてみると、後継者不足や耕作放棄地問題といった課題をたくさん抱える中、地元や農家の方々から「町を盛り上げたい」「この町をどうにかしなければ」という強い想いを聞くことができました。
地方創生事業の推進に当たり、我々だけが頑張っても地域を盛り上げていくことはできません。「ここなら地域の方たちと一緒に盛り上げていくことができる!」と思えたのが川根本町でした。
川根本町で40年ほど前からお茶の裏作として栽培されてきたゆずは、生産量が東海4県の市町村の中で1位なのにも関わらずあまり知られていません。そこにゆずの発展の可能性を感じ、ゆずで地域活性に挑戦することを決めました。
最初に農地を貸していただけるまでは、かなり苦労がありました。耕作放棄地とはいえ、見ず知らずの者に貸してくださる方は中々おらず、苦慮の日々が続きました。そんな中で、奥泉地区のとりまとめ役をされているキーマンの方に、私たちの熱意が伝わり、一緒に地権者のお宅を回っていただいたおかげで、30~40人から約3ヘクタールの農地を貸していただくことができました。
現在、ゆずをお茶に続く川根本町の名産品とするべく、認知度を高めて町外へSNS等で発信していくことに力を注いでいます。
首都圏の方は、商品の背景にストーリーを求めます。Agrinosのゆず商品は、耕作放棄地再生という、SDGsにも通じるストーリーが存在しますので、共感を得られていると感じています。

写真:古民家を活用したオフィスの外観

日本の農業の将来へつながる活動

今後のAgrinosの目標は、将来農業に従事する人を増やして、日本の食糧自給率を上げたいと考えています。
現在、農業はお金にならないことから、若者には不人気です。このことが、後継者不足を招き、農業の衰退につながってしてしまっています。
こうした状況を打破し、農業を魅力的な職業にするために、6次産業化と直売で利益の出る仕組みを作りたいと思い、取り組んでいます。
川根本町以外でも、埼玉県久喜市で野菜の栽培を行い、地産地消の推進と、農産品の投資商品化に取り組んでいます。
このように、農業の改革をできるところから進めていきたいと思います。

川根本町のここが好き!

私は、高校まで川根本町で育ち、大学は静岡市に移住して通いました。
その後、県内の企業で働いていましたが、Agrinosのことを知り、川根本町に戻って再就職しました。
子どもの頃は、川根本町のことを「交通が不便」とか「遊ぶところがない」と感じて、都市部に憧れていました。しかし、町を出たからこそ、地域の方の温かさや、会うと必ずあいさつを交わす距離の近さに気がつきました。人が少ないからこそつながりが強く、家族のような安心感がありました。
また、グリーンターコイズの川面に架かる赤い橋など、町の自然が織りなす風景がとても魅力的だったことにも気がつきました。
私は、素晴らしいところで育つことができ、今また帰ってこられたことに、感謝しています。

写真:奥大井湖上駅を眺める景色

このページに関するお問い合わせ

中部地域局地域課
〒426-0075 藤枝市瀬戸新屋362-1 藤枝総合庁舎2階
電話番号:054-644-9102
ファクス番号:054-645-1152
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