第10回「ご縁」育てる、「お寺子ども教室」

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ページID1035200  更新日 2023年1月13日

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藤枝市の「十輪寺」の柴田寛子さん

こんにちは。静岡県中部地域局です。

地域活動に取組む方々にスポットを当て、地域と関わるようになったきっかけや活動内容について、中部地域局の職員がインタビューし、みなさんに情報をお届けします。第10回となる今回は、藤枝市岡部町にある曹洞宗寺院「十輪寺(じゅうりんじ)」の柴田寛子(しばたひろこ)さんにインタビューしました。

写真:十輪寺1

「ご縁」が育てる、「お寺こども教室」

写真:十輪寺2


私は13年前に掛川市の一般の家庭から、藤枝市横内の慈眼寺(じげんじ)に嫁いできました。はじめはお寺のことはまったくわからず、法事や行事の準備や境内の維持清掃など慣れないことばかりでしたが、お檀家さんや地域の皆さまに助けていただき、住職とともになんとかお寺のおつとめをしてきました。そうしてお寺で過ごす中で尊く思えたのは、皆様がお寺におまいりし手を合わせる姿でした。お寺には月に2~3回、仏さまに詠讃歌をお唱えする講があるのですが、その講員さんたちの仏様へお参りをする姿勢やお寺を大切に思って下さるお気持ちがとても尊く感じました。

子どもが生まれると、近所のお檀家さんの小学生が夕方毎日お寺に来て我が子と遊んでくれるようになりました。当時小学4年生だったその子の夢がパティシエだったので、お礼にケーキ作り教室を開いたのが、お寺こども教室を始めたきっかけとなりました。その後、子どもたちを集めてお寺での作法の学習と合わせて、おはぎや干し柿などお菓子作り、座禅体験、パンづくりなどを行い、次第に参加する子たちも増えていきました。もともと子どもたちとふれあうのが好きでしたので、教室を開くのが自分の楽しみにもなりました。

住職とともに慈眼寺から十輪寺に移った後も、教室は続けました。当初6人くらいで行っていたお寺こども教室も、今では20人を超えるようになりました。涅槃会(ねはんえ)には涅槃団子づくりをしたり、華道体験、パン作りをしたりと様々なとり組みをしてきました。

コロナ禍で1年間お休みをしたのですが、毎年楽しみに来てくれる子供たちの顔を思い浮かべると、やはり大事に続けていくべきことと思い、コロナ対策をして今年の夏休みには再開しました。子どもたちの常に真っ直ぐに仏さまと向き合う純粋な心に私自身も学ばされ、またいつしか沢山のパワーをもらうことができます。

他にも、私の子どもがまだよちよち歩きのころに子育て支援センターに通っていた頃のご縁で、お母さんたちとも仲良くなって、お寺でピラティス教室を開いたりしました。それがきっかけで、その他にもハーブ講座、みそ教室、精進料理教室、女性向けの座禅、茶道教室なども開催するようになりました。思い返してみると、自分が助けていただいたことに対して何か自分ができることをお返ししたいという思いから色んな人たちと交流を持つことができるようになりました。

今年のお寺こども教室では、地域の企業の方をお招きしてお話をいただきました。食べものができるまでのお話しをしていただき、子どもたちに命に触れる体験の機会を設けることができました。今後はこうした地域で活躍する方のご協力をいただいた活動も行っていきたいと思っています。

今では、過去に教室に通っていた子が高校生になって手伝いに来てくれたり、学校の先生や保育士の資格を持つ方がフォローに入ってくださったりするようになりました。これは本当にありがたいことで、こうしたご縁が活動の助けになっています。

今、こうした活動ができているのも、先代および歴代の住職がお檀家さんをはじめ、地域の方との関係を築いてきたおかげです。長年培われてきた伝統と信頼を受け継ぎつつ、お檀家さんの思いに寄り添って、お寺をコミュニケーションの場として活かしていきたいと思っています。

お寺としてのあるべきようとこれからのお寺に求められることを住職と考える中で、私にできることが何なのかを考えていきたいと思います。そしてお寺におまいりする方の心をより仏様やご先祖様を大切にする心につなげていくことができればと思っています。

写真:十輪寺3

「お寺こども教室」のこれからー幸せを巡らせたいー

ありがたいことに、時折お檀家さんが畑で採れた野菜や果物をおあげしてくださいます。そうしておあげいただいた食材を活かすよう精進料理の教室を開くことで、命をいただくことのありがたさを感じ、そこから仏様の教えと心を伝えていきたいと考えています。こうしたことが、ご縁のあった皆さまに幸せが巡っていくことにつながると思っています。

写真:十輪寺4

助けあいから感じる、岡部地区の温かさ

私が岡部に来た頃、すぐに何か一緒にやろうよと声をかけていただき、他の地域から来た私を受け入れようとしてくださいました。藤枝市岡部地区の方は、どんな方にも広く心を開いて接してくださる温かさがあると思います。また、何より、岡部の方は岡部のことが大好きだという岡部愛を感じます。それがとても素敵で人の魅力につながっているように思います。

地域との関わりも、最初は檀家さんがおあげいただいた物を通したコミュニケーションが始まりでしたが、そこでいつも温かく見守ってくださるお檀家さんに喜んでいただきたいという気持ちが、私がお寺でおつとめさせていただいている心の原点となっています。

コロナ禍の中でも、例えば1年前に薬師如来の法会で使った布をマスクにして、地域の方にお配りしたら大変喜んでいただけました。最終的には600個以上できましたが、そのマスクも、裁断や縫製、包装に到るまでお檀家さんを中心とした地域の方のお力をお借りして作ったもので、とても一人の力では作る事はできないことでした。

得意なことや苦手なことは人それぞれに違います。それを多くの人が協力をして助け合えば大きな力が生まれるはずです。しかもそれを皆で楽しみながらできたら素晴らしいことだと思います。お寺を支えていく身としてその手助けが多少なりともできれば幸いと思って日々過ごしております。

リレーのバトンは働き方改革先進企業として、静岡県から生産性向上部門賞を受賞した有限会社富士エコティックの中川(なかがわ)さんへ

中川さんのしなやかな強さと機転が利く対応と行動力を尊敬しています。
また、子育てに対しても同じ志で地域やご縁の方、皆で子育ての情報共有や助け合って育てていこうという想いで取り組まれている方です。

このページに関するお問い合わせ

中部地域局地域課
〒426-0075 藤枝市瀬戸新屋362-1 藤枝総合庁舎2階
電話番号:054-644-9102
ファクス番号:054-645-1152
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