令和7年度ダイバーシティ経営導入推進セミナー

開催概要
ダイバーシティ経営を「制度導入」ではなく、企業の持続的な成長とイノベーションの源泉と捉え、全5回にわたる実践講座を開催しました。組織風土の改革から、兼業・副業やスポーツ選手雇用といった柔軟な人材活用、そして経営の根幹をなすウェルビーイングまで。静岡県内企業のリアルな成功事例と専門家の知見を通じ、多様な個性が響き合い、組織の価値創造へとつながる「ダイバーシティ経営の静岡モデル」を探求しました。
9月10日(水曜) テーマ:『多様な人材を「戦力」に変える組織改革』
第1部:基調講演

■登壇者および主な内容
1部:講師 株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO 安斎 勇樹 氏
基調講演では、従来の軍事的な規律重視のマネジメントから、対話を重視した「冒険的」な組織への転換について詳しく解説いただいた。その中で、目に見える行動やスキルの背景にある個人の価値観(氷山モデル)を相互に理解する「対話」の重要性を強調され、関係性の質を高めることが組織の適応課題の解決や、イノベーションを生む土壌づくりにつながる点についてお話しいただきました。
第2部:先進企業の事例紹介

★東海澱粉株式会社 取締役常務執行役員 秋山 和浩 氏
・若手の離職対策として、新入社員研修期間を1ヶ月に延長し、社内ネットワーク構築を促進
・人事課による3ヶ月に1回の1on1ミーティングを実施し、個別の悩みをフォロー
・コンプライアンス活動の一環として、ネガティブな指摘ではなく互いを褒め合う「ポジティブシャワー」を実施

★株式会社MISH 取締役副社長 土屋 正直 氏
・2021年に社名変更や理念刷新などの変革を実行
・トップダウン型からボトムアップ型へ移行し、事業計画を現場責任者が策定
・月次の経営数値を全社員にオープン化し、スタバでの交流会など気軽な対話の場作りを実践
参加者からの感想
・企業運営の変革期における事業観を大変わかりやすく認識することができた。
・組織マネジメントの時代による変化が理解できた。
・これまでの組織や考え方についての違和感が言語化されたと感じた。
・幹部と一般社員との考え方・意識のギャップを埋めるために何をすべきかが良く理解できた。
・相手の本質を知ろうする姿勢や想像する力を身につけるための対話について、社内で共有したいと思った。
・社員同士が集まれる場、話せる環境づくりを提供することが、社員の結束力を高めることに繋がり、各々の意見を柔軟に取り入れることがいかに大切か学ぶことができた。
など多くの感想が寄せられました。
9月30日(火曜) テーマ:『多様な働き方を実現するための実践的アプローチ』
第1部:基調講演


■登壇者および主な内容
講師 あまねキャリア株式会社 沢渡 あまね 氏、一般社団法人プロティアン・キャリア協会 栗原 和也 氏
基調講演では、組織の枠を越えた「越境学習」や、環境変化に適応する「プロティアン・キャリア」の視点から解説。「Be Colorful Shizuoka」をキーワードに、多様な経験やインプット(7つのダイバーシティ)が組織のイノベーションと個人のキャリア自律につながると解説いただきました。
第2部:先進企業の事例紹介

★株式会社Sweets Investment (空き家買取専科) 取締役兼不動産事業部長 黒田 淳将 氏
・「自分たちが働きやすい環境を作る」というボトムアップの「改善」活動から兼業・副業・テレワークを導入
・「ホラクラシー型」組織への移行を進め、直近の業績が大幅に向上
・個人の自律を促す文化作りが、結果として企業の成長につながっている

★株式会社Shinker 代表取締役社長 曽根田 光 氏
・従業員22名中19名がダブルワーク(複業)という柔軟な体制で、優秀なフリーランス人材などを活用
・多様な外部人材の活用による提供価値の向上が、好循環を生み出し劇的な事業成長へと寄与している
・ビジョン浸透のため、チャットでの頻繁な発信や3ヶ月に1回のイベントなど、ウェットなコミュニケーションも重視
参加者からの感想
・越境の学びが自分も組織も育てるというのはなるほどと思った。
・多様な働き方を巡る状況について腹落ちした。
・経営や人事が社員の主体性を伸ばすための環境づくりをできているか振り返りたい。
・人との交流が人も組織も育てるのだと感じた。
・多様な人材が生み出す力が参考になった。
・自分が越境して得た体験を共有したいと思った。今回のようなセミナーに社内の人を誘って参加してみたいと思った。
など多くの感想が寄せられました。
10月2日(木曜) テーマ:『「両立支援」で高まる企業価値と人材定着』
第1部:基調講演

■登壇者および主な内容
講師 株式会社フジ物産 代表取締役社長 山﨑 伊佐子 氏
基調講演では、多角経営の中で多様な人材を活かすため、独自の「執行役員制度」を導入。一般社員から「任期2年・10万円の決裁権限付き」で役員を登用し、女性活躍推進プロジェクトなどを通じて次世代リーダー(人間力重視)を育成した事例を紹介いただきました。
第2部:先進企業の事例紹介

★株式会社大川原製作所 取締役副社長 大川原 綾乃 氏
・女性活躍推進プロジェクト「OK WoMen」を発足(目標達成により解散)
・DX推進(RPAやノーコード開発)とセットで働き方改革を実施し、多様な人材が企画業務に従事できる時間を創出

★静清信用金庫 人事課長 加藤 久仁子 氏
・不妊治療支援として年5日の有給休暇、年10万円の費用補助制度を導入
・制度利用の心理的ハードルを下げるため、申請ルートへの配慮や管理職への啓発セミナーを実施

★常盤工業株式会社 経営基幹本部 髙橋 脩夫 氏
・深刻な人手不足と理系女子(リケジョ)の増加を受け、女性が活躍できるよう会社体制を変革
・多様な意見が交わされる状態を作ることで、現場全体の労働環境向上
参加者からの感想
・執行役員制度、女性活用のテーマで大変参考になった
・多様性を考慮した職員の起用がなかなか古い考えの私には思いつかなことに気付かされた
・DXからが入りやすいことが分かった、くるみんの存在を知った、視点が変わると環境が変わると知った。
・制度や仕組みについての取り組みが進んでいることが理解できた。
・会社の変革の一端を担ってもらえるよう、従業員の方に役割を与えたり、経営者としての発信を明確にしていることが参考になった。
など多くの感想が寄せられました。
10月9日(金曜) テーマ:『スポーツ選手雇用がもたらす従業員エンゲージメント向上と人材定着』
第1部:基調講演

■登壇者および主な内容
講師 人材サポート有限会社 代表 長崎 一朗 氏
基調講演では、人的資本経営や「いい会社カード」の視点から、スポーツ選手雇用がもたらす価値(元気、挨拶、チームワーク)を解説。靜甲ソフトボール部の地域貢献事例などを交え、スポーツ支援が企業ブランディングと一体感醸成に繋がることを解説いただきました。
第2部:先進企業の事例紹介

★株式会社ユタカ技研 中村 光弘 氏
・バレーボールチーム「ブレス浜松」のパートナー企業として選手を雇用(広報業務などを担当)
・冠試合に従業員が家族連れで応援に行くことで、社内の一体感や士気が向上
・引退後のセカンドキャリアとして正規雇用への転換実績もあり

★株式会社サーラコーポレーション 仲野 哲央 氏
・電気プラン「eじゃんプラス」を通じてブレス浜松への寄付の仕組みを構築
・選手が同じ職場で働くことで、数値化しにくい部署でも「同僚の勝利」という達成感を共有できている
参加者からの感想
・感情報酬を提供できているか、地域貢献できているかなど、採用活動にもつながるキーワードを感じることが出来た。
・スポーツ選手の支援による取り組みの実例から会社のみならず、地域にもたらすシナジー効果を感じられた。
・投資対効果を期待する事が多いが、会社全体が活性化は大きな成果と感じた
・選手が職場でどのような働き方をしているかを知ることができた。
・スポーツ選手という1つの個性ととらえ、数字に表れない効果を生み出しているところが良いと思った。
・当社におけるスポーツ選手従業員雇用における企業メリットなど改めて考えていきたいと思った。
など多くの感想が寄せられました。
10月29日(水曜) テーマ:『ウェルビーイング経営×ダイバーシティ経営セミナー 「違い」を活かして成長する、みんなが輝く組織づくり』
第1部:基調講演

■登壇者および主な内容
第1部:講師 株式会社YeeY 代表取締役 島田 由香 氏
ウェルビーイングを経営の根底的な基盤と定義し、個人の「あり方(Be)」が組織の価値創造に直結することを解説。具体的手法として幸福の5要素(PERMA)や信頼構築の技法を紹介し、リーダー自身が自らの状態に責任を持つ重要性を提言いただきました。ウェルビーイングの向上は、生産性や売上の飛躍的向上と離職率抑制を両立させ、持続的な成長を牽引する最大の鍵であることを言及いただきました。
第2部:基調講演

■登壇者および主な内容
第2部:講師 株式会社オフィスH2O 代表 平光 敬和 氏
中小企業が勝ち残るための「実益を伴うダイバーシティ経営」の視点から、既存人材の強みを最大化する「あるもの活用」の有効性を解説。静岡トヨペットでの全社員への「御用聞き」や現場主導の制服選定等の具体的な実践例を紹介いただきました。会社が社員に尽くす姿勢こそが、顧客の課題解決と収益拡大の好循環を生むことを最終的な結論として解説いただきました。
第3部:トークセッション
島田氏と平光氏が登壇し、対話を通じた組織変革の実践知を深化。最初の一手として、1日数十秒の自己リサーチや「景色を変える」重要性を提示しました。「御用聞き」の本質が社員の主体性を育む点や、ネガティブな意見をも戦略的に受容する傾聴手法を紹介。リーダーが自らの状態に責任を持ち、笑顔で組織を鼓舞することが収益拡大の好循環に繋がることを言及いただきました。
参加者からの感想
・自分の中にはない視点の考え方に気づくことができた。他者のネガティブな発言をポジティブに受け取る考え方について気づくことができた。
・人の得意不得意今あるものを活かすことが参考になった。
・変えられない事実に固執するのではなく、なぜそう思うのか相手に聴き、新しい気付きを自身の創造につなげていきたい。
・単なる理論ではなく経営者の立場で実際に取り組んだことが随所に盛り込まれていた。
など多くの感想が寄せられました。
11月7日(金曜) テーマ:『ダイバーシティ経営 導入実践ワークショップ』
導入実践ワークショップ
■講師および主な内容
講師 株式会社オフィスH2O 代表取締役 平光 敬和 氏
全5回のセミナー参加者を対象とした限定の実践型ワークショップ。「人」を活かす視点から、社員の個性を活かした職場づくりに向けた具体的な行動計画を策定しました。 経営者や推進責任者が抱える「組織を変えたいが何から手をつけて良いか分からない」という課題に対し、現場の声を活かす仕組みづくりや人材戦略の構築手法を指導。自社の現状を見つめ直し、自社に戻ってすぐに実行できるプランの作成を支援しました。
参加者からの感想
・課題を俯瞰して整理し、さらに深堀することの大切さを改めて気づけた。その過程で参加された様々な立場の方の視点や新しい観点を知ることができて良かった。
・組織変革へのモヤモヤを共有し、言語化、整理することができ、前に向かっていく気持ちと具体的な取組のヒントを得ることが出来た。
・なぜその課題があるのか丁寧に紐解き、社員に寄り添い、人と人の橋渡しになるという目標ができた。
などの感想が寄せられました。
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