浄水場の薬剤注入率の自動化
今回は、「ふじのくにのデジタル化推進事業」の実証事業の一つ、磐田市にある企業局西部事務所寺谷浄水場における水質管理薬剤注入率の決定の自動化に向けた実証実験を取り上げます。
この話題は、昨年の3月に「ふじのくにのデジタル化推進事業」全体を取り上げたときに、概要について触れています。
浄水場の現場では、今まで、薬剤の注入率を技術者の経験によって決めていましたが、技術者の減少もあり、このままでは安定した水質管理が難しくなります。持続可能で安全且つおいしい水道水の提供のために、毎日のデータを蓄積することで、AIにより薬剤注入率の決定を自動化し、技術者の経験によらなくても水質を管理できるようにしていく取組です。
今回、この取組が、2月13日の水道産業新聞(水道産業新聞社)に大々的に取り上げられました。
非常に詳細に、寺谷浄水場で実施した取組を紹介していただいています。また、実際に飲料水として出せるまでの今後の課題にも触れられており、非常に意義ある取組だったことがわかります。
実証実験では、気象計及びデータ収集装置を設置し、水の濁り、水温、気温、日光照射量等を毎日収集し、収集データを機械学習により解析することで、水質に与える影響が大きい要因を抽出し、それに基づき、水質管理薬剤の注入率を決定しようとするものです。
実証実験は、令和3年11月からのスタートとなったため、有用なデータは蓄積されておりますが、夏場のデータがないことから、令和4年度においても、更なるデータ収集を行い、一年間通じたデータに基づき解析しているところです。
一年間以上のデータを得て、解析・実験が終われば、薬剤注入率の決定を自動化し、県が管理する全ての浄水場に横展開していく予定です。
私は、実証事業の説明の際には、必ずこの取組を例に出して説明します。
それは、やっていることが明快で、抱えている課題が「人間の経験値に代わってAIがそれらを継承していく」という現代社会の典型的な課題でもあり、これを解決していくことが、これからの我々の生活のためになるもので、かつ、考え方が様々なケースに横展開できるからです。
今回、この取組が取り上げられ脚光を浴びることができて、私としてもうれしい限りです。
これからも、このような事例を「ふじのくにのデジタル化推進事業」で大いに支援していきたいと思っています。
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