働き方改革先進企業(飯田工業薬品株式会社・芙蓉化成株式会社)
製紙用化学品
飯田工業薬品株式会社・芙蓉化成株式会社
- 所在地
- 静岡県富士市依田橋153−1
- 業種
- 製紙用化学品
概要
10月27日に富士市で家庭紙用包装資材や製紙用化学品などを扱う専門商社の飯田工業薬品株式会社とグループ会社の芙蓉化成株式会社で視察研修を実施しました。
(内容)
- オリエンテーション
- 講演
飯田工業薬品株式会社
芙蓉化成株式会社
代表取締役社長
飯田 悦郎 様 - 社内視察・工場視察
- 質疑応答
「人材」を「人財」に変えるワーク・ライフ・バランス
オリエンテーションとして、コーディネーターである中小企業診断士の富田哲弥氏から研修のポイントなどを伺いながらのスタートとなりました。その後、飯田社長の講演が始まりました。
飯田社長は、「市場が縮小する中で企業を継続させるためには、いかに社員に働く意欲を高く持って仕事に取り組んでもらうかが重要」と語り、その鍵になるのが、「『人材』を『人財』に変えるために重要なワーク・ライフ・バランス」だとおっしゃいます。
同社のワーク・ライフ・バランスに関する基本的な考え方は、「社員の多様なライフスタイルを認め、会社が支援する」です。働く時間とそれ以外の時間のメリハリを付けることにより、働いている時間の密度を高めることができます。
一般に、ワーク・ライフ・バランスというと制度に目がいきがちですが、制度を実際に運用していくことを考えれば、「職場風土」の構築は更に大切です。職場風土を変えるのは簡単ではなく、時間もかかります。しかし、社員間で思いやりの心を持つようになれば、休暇中の社員のフォローを他の社員が積極的にやってくれるため、休暇が取得しやすくなります。同社では、10年近くかけて職場風土の改善に取り組んできました。
また、それと同時にITを活用した情報共有のシステムと、アナログな日頃のコミュニケーションも重要です。これにより、「○○の仕事は○○さんでないとできない」という状況が生じることなく、他の社員でも代わりに対応することができます。
実行計画・サンクスカード
実行計画
同社では、1月にその年の上半期の目的や目標、施策等を記した「実行計画シート」を部署ごとに作成し、7月にその振り返りと見直しを行っています。実行計画シートは、仕事をする上でのマップとなり、それを毎月検証することによってPDCAサイクルを回しています。
総務部の加藤さんから、実行計画の具体例を御紹介いただきました。
総務部では、社員の要望を把握し、解決することで、社員が業務に専念できる環境づくりを進める、題して『スーパー御用聞き戦略』に取り組んでいます。目標は社員満足度100パーセント。目標の達成度合については社員にヒアリングを行い、例えば『業務短縮○時間』というように具体的に数値で検証し、改善を行うことで、PDCAサイクルを回しています。
サンクスカード
同社のコミュニケーションを活性化する取組の一つに「サンクスカード」があります。これは「ありがとう」の気持ちをカードに書いて社員同士で贈るもので、思いやりの気持ちを育てることをねらいとして行っています。
社内の組織横断プロジェクトチームの一つにサンクスカードのチームがあり、このチームが、社員それぞれの贈ったカード・もらったカードの枚数を集計して発表しているほか、実際にやりとりしたカードの内容を分析・検証し、PDCAサイクルを回しています。
社内の掲示ボードには、個人ごとにフォルダが作られ、カードが納められていました。また、内容が評価されたカードは掲示して、書き方の参考にするなどの工夫が見られました。
リフレッシュ休暇
同社では、有給休暇を平日5日間連続で取得することが「義務」になっていて、前後の土曜日、日曜日と合わせると9日間の休暇となります。リフレッシュ休暇は5月までに申請し、チームで取得時期が集中しないように調整しています。
この休暇の目的は、社員のリフレッシュと、社員が休んでも他の社員がフォローできる体制を整えることです。また、特に若手社員にはリフレッシュ休暇を利用して、見聞を広げるために海外へ出掛けることを奨励しています。
環境整備
同社の社屋に一歩足を踏み入れると、隅々まで掃除が行き届き、磨き上げられているのが印象的です。飯田社長は、これは「環境整備」の賜物だとおっしゃいます。
環境整備
環境整備の取組について、営業部の長橋さんから御紹介いただきました。
これは毎朝15分間、チームに分かれて計画的に、決められたエリアを清掃や整理整頓等の改善活動により整備するものです。部署混合のチーム編成のため、普段仕事で関わりが薄い社員同士が話をする場にもなっています。チームのリーダーは、人材育成のために若手社員が務め、ベテラン社員がそのサポートをしています。
整備結果は毎月最終火曜日に点検し、点数を付け、最も点数の高いチームには優勝商品を贈っています。チームで決められたエリアをどのように整備するかを決めて実行することで、チームで協力し合う訓練にもなります。また、「どうすれば効果的にきれいになるのか」という意識を持つことが、小さな問題にも気付く習慣作りにつながっています。
芙蓉化成株式会社の取組
グループ会社の芙蓉化成株式会社でも、環境整備を行っています。生産管理担当の田中さんから御紹介いただきました。
環境整備を始めた7年程前は物の置き場所が定まらず、思うように進みませんでした。しかし、続けている内に徐々に整理整頓ができるようになり、半年たった頃には、怪我の未然防止のための表示など、様々な改善が行われるようになりました。
環境整備のチームは部署を超えて編成され、普段は別棟で作業している社員同士が、仕事の進み具合や確認事項などを話し合います。
また、今年から、社内における女性の活躍を推進するため、その第1歩として、女性に環境整備のリーダーを依頼しています。
田中さんは、「女性がリーダーになってから、以前より細かいところにも目が行き届くようになりました。女性の活躍を進めていくことは、企業の競争力アップにもつながると考えているので、これからも続けていきたいです。」と話してくださいました。
講演後、実際に環境整備の点検作業を行っている現場を視察し、床の塗り替えからブラインドの修理に至るまで、様々な改善がなされている様子を見ることができました。
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