あなたの「富士山物語」(思い出の富士登山/大城美智子)

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ページID1019338  更新日 2023年1月13日

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思い出の富士登山/大城美智子

もう五十年も前の富士山物語です。まだ十九才だった私は、従兄弟ら男性三人と一緒に富士登山をすることになりました。その二年前に、高校の学校行事で富士登山があり、申込みをしていましたが、悪天候の為、中止となってしまいました。富士山は私の実家から上の方だけですが良く見えました。チャンスがあったら一度は登りたいと思っていたのに、がっかりでした。

そんな気持ちをず~と引きずっていた所に、福島に住んでいる従兄弟達が富士登山の為に我家に泊ることになったので、女性一人ですが同行させてもらいました。

須走口の三合目から歩き始めましたが、夜だった為か男性陣は近道近道を登ろうとして急斜面を横切ってばかりいました。遅れない様にと必死で歩いた私は五合目でバテてしまい、一人で山小屋に泊りました。心細くて明日は早々に下山しようと思いましたが、しかし、朝起きて目の前の雄大な富士山を仰ぐと、このまま帰るのは勿体ないと思い、リュックを山小屋に預け一人で登り始めました。八合目辺りではもうふらふらとなり休んでばかりいました。荷物を揚げる馬達も私を追い越して行きます。馬主さんは親切に「馬に乗せてあげようか?」「尻尾に掴まってもいいよ。」等と、声をかけてくれました。私は断り、それでもようやく頂上に着きました。着いた途端に倒れてしまい一時間程眠ってしまいました。それでも帰りは砂走りをして思ったより簡単に下山できました。

しかし、家に着いた時は夜になっていたので、家族から物凄く怒られました。「今、警察に捜索願いを出す相談をしていたところだ。」と云われました。自分の気くばりの足らなさを大いに反省させられた富士登山でした。

十年前に大怪我をして障害者となり、歩行もままならない今となっては、あの時に富士登山をして本当に良かったと思っています。

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