あなたの「富士山物語」(還暦を記して登った富士の山/佐野由利子)

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ページID1019340  更新日 2023年1月13日

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還暦を記して登った富士の山/佐野由利子

玄関を開けると、東の空にくっきりと富士山が高々と聳えている。いつも眺めながら、私は頂上まで登ったという満足感に浸っている。

それは、私が丁度六十歳になった歳、横浜に住む孫が「一緒に富士山に登ろう!」と言ってきた。最初は驚いたが、私も今この歳を逃したらもう富士登山は出来ないだろうと思い切って挑戦する事にした。

七月半ば、登山経験者の弟を案内人に頼み、横浜からの孫・婿・そして弟と私の四人で、五合目の駐車場で待ち合わせ、いざ決行!六合目、七合目辺りは、見下ろす街や海の灯りがキラキラと見えて綺麗だったが、八合目に登る道では「ハァー、ハァー」と息も苦しく、二歩進んでは休むというきつさ。九合目に着いた時は「もうダメ!」と思った。弟の提案で少し寝て、明日朝、ご来光の時間に合わせ出発しようと言う事になったが、婿は「このまま登る。」と言う。孫も休みたそうだったが、父親の後を着いて行き、弟と私は山小屋で一休みした。山小屋の布団は湿っていて冷たく、ぞーっとした。持っていたタオルを敷布代わりに、その上で眠った。熟睡したせいか、その後は山頂までスムーズに登れた。山頂では、ぐったりした婿と孫が座って待っていた。生憎、雲が掛かってご来光は出来なかったし、寒くて寒くて何枚も重ね着をした。弟からお鉢巡りを誘われたが、余りの広大さに尻込みをしてしまい、今に思えば悔やまれる。

いつ見ても富士の姿は美しい。やっぱり静岡県人として一度は富士登山を経験すべきだと思う。そして、体の重い私を、三七七六メートル引っ張ってくれた弟に感謝したい。

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