あなたの「富士山物語」(富士山山頂測候所訪問記/長谷川紘司)

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ページID1019351  更新日 2023年1月13日

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富士山山頂測候所訪問記/長谷川紘司

今から三十年ほど前だったろうか、富士山の測候所へ広報関係の業務で取材に行く機会があった。所員の方々の勤務内容や生活ぶりを取り上げるためであった。面談は夕方から夜にかけて行われ、山頂生活の秘話などをたっぷりと聴くことが出来た。

その時の様子を”Q&A方式”で紹介してみよう。

Q「冬場でも交替勤務が行われますか?」

A「当然です。二、三週間単位ですが…。」

Q「ヘリとかトラクターに乗ってですか?」

A「いや、風雪の中を徒歩で登ります。」

Q「それじゃぁ、寒さでブルブルですね。」

A「それどころか危険極まりなくて…。」

Q「途中での事故などは?」

A「凍傷や滑落だってありますよ。」

Q「勤務中に急病などが発生することは?」

A「患者を担架で降ろしたこともあります。」

Q「それは大変、勤務体制に影響は?」

A「予め無線連絡で地上と対応を考えます。」

Q「では、山頂で雷が発生することは?」

A「よく見舞われます。」

Q「測候所の避雷針に直接落ちることも?」

A「落雷で電線が熔けたこともあります。」

Q「それでは電球が落下したことも?」

A「それどころか髪が逆立ったりもします。」

Q「えっ、そんなことも?」

A「壁際に立つとパチパチと鳴って…。」

Q「うわっ怖い、真っ暗闇の中ですよね?」

A「なにしろピカッ!すぐドカンですから。」

Q「ゴロゴロッと鳴る時間がないわけで?」

A「測候所が雷雲に囲まれるんです。」

――というように数多くの話を聞きました。

その他ブロッケンの妖怪※や山頂で捕らえたヘビの瓶詰め、半年間氷結するトイレなどの秘話もありました。

今や実稼動のない富士山測候所ですが、かつては日本の気象情報の基軸的存在でした。

長年にわたってここで活躍された測候所員に改めて敬意を表したい。

このページに関するお問い合わせ

スポーツ・文化観光部文化局富士山世界遺産課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3746
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