あなたの「富士山物語」(富士山の思い出/田畑敏)

ツイッターでツイート
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページID1019352  更新日 2023年1月13日

印刷大きな文字で印刷

富士山の思い出/田畑敏

私は富士山に三度登りました。二度三度は天候に恵まれ、素晴らしい御来光と雲海の出会いは今でもわすれられません。

しかし、最初の富士登山は苦い経験があります。それは今から約四十年位前の事で、当時働いて働く高度成長時代で現在のような連休もなく、土曜の仕事の後仲間五名で登山をしました。
富士五合目の駐車場から夜一気に頂上を目指し、当時は山の事等無知で計画性もなく、只惰性で登り始め、当日は空の星も見えず風もあり、嫌な予感を感じていました。

この日、土曜日なのに天気の加減か人も少なく不安な気持ちで登り、その内七合目附近で風が強くなり、足元の子砂利が時折顔に当たり最悪の状態になってきました。

それからどの位登ったか?一人の年配の女性が下りて来て、我々に足が捻挫して遅くなり仲間と逸れ、今にも、泣きそうな声で助けを求めて来ました。そこで上に行くのなら八合目の山小屋までの約束で、結局一番若い私が足を引き摺っている彼女に肩を貸し登り始め、段々皆と離れ上も下も人気がなく不安ながら八合目を目指し、時折彼女の足が痛み休息を取り、私は浜松から、彼女は三島から五人のグループで来たとの事で何度か休み、その折今も鮮明に思い出す事は、富士山から見た眼下の街が、宝石を散りばめた見事な夜景に感嘆した事を思い出します。

その後、八合目の小屋を目指しようやく辿り着き彼女の仲間を探すと、何と既に到着して寝て居り、さすがに私も腹が立ち文句を言うと只謝るばかりで、私も役目は果たしたので、自分達の仲間と八合目で合流し上を目指している時、下山中のベテラン登山者、今日は瞬間最大風速三十メートルもあり、危険なので下山した方が良いとの事で断念。

この日頂上達成はならず下山をする。明け方薄明るくなった頃、カラフルな大きな花が咲いて居り、良く見るとそれはそれは色とりどりの帽子の花の多さに吃驚した事を、今でも脳裏に鮮明に焼き付いて離れない最初の思い出です。

富士山は甘く見てはなりません。気候が常に変わり高山病もあり、落石事故もありますので、周到な用意と無理な計画をなさらないようお願いするものであります。

このページに関するお問い合わせ

スポーツ・文化観光部文化局富士山世界遺産課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3746
ファクス番号:054-221-3757
sekai@pref.shizuoka.lg.jp