あなたの「富士山物語」(最後に行き着く処/プレマ)

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ページID1019344  更新日 2023年1月13日

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最後に行き着く処/プレマ

ある日、ふと思った「富士山に登りたい。そうだ、富士山に登ろう!」そして無謀にも、たった一人で挑戦した。結果は散々なものであった。午前十一時から登り始め、頂上に着いたのは午後四時を過ぎていた。達成感の余韻もそこそこに、なんとか明るいうちに下りようと急いだが、みるみるうちに暗くなってしまった。小さい懐中電灯しか持っていなかった私は、充分に先の道を照らすことができず途方に暮れた。朝まで待つしかないかな?と一度は諦めたけど、登ってくる人達の灯りを頼りにやっと五合目に辿り着いた時は、夜の十時を過ぎていた。めちゃくちゃ疲れたけど心地良い疲労感だった。

それから一年間、近隣の山(七八九メートル)で練習を重ね、次の夏には何とか明るいうちに降りることができた。こうして毎年数回、私の富士山詣でが始まった。何回登っても富士山は苦しくて、登り始めから、いつも途中で止めてしまおうかと思ってしまう。でも、ゆっくりではあるけれど確実に足を先へと運ぶ、そうするとやがて剣ヶ峰に着く、そうなったら今までの苦しさなんて忘れてしまい、今度はいつ来ようかなーっと楽しんでいる。

毎年、登山所要時間が短くなることも嬉しさの一つ。今年は静岡県の富士宮口から三時間十分で登り、一時間四十分で下りることができた。

八月三十一日、「さよなら、また来年会いに来るね。」と富士山に別れを告げて、私の夏が終わった。

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