あなたの「富士山物語」(富士からの便り/成田尚貴)

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ページID1019350  更新日 2023年1月13日

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富士からの便り/成田尚貴

真っ当に夜空に輝く星々。この本来の、本当の美しさを僕は知らない。真っ先に地上を照らす太陽。「ご来光」という名前で呼ばれる時間には、僕はまだ深い眠りを貪っている。行き交う登山者同士が自然に交わす挨拶。それでさえ、日々の生活の中では気恥ずかしく、希薄に感じられる…。

日常の世界を離れて富士に登る。学生の乗りのレジャー気分で、異国の一番高い山だから、還暦の祝いを機に…目的や国籍、経験もマナーの程度も皆様々だが、吹き抜ける夜風の冷たさの中に、瞬き続ける星々の中に、赤土に広がる緑の草木の中に、雲の海から顔を出す陽の光の中に、この山の自然の中に、人の中に、「感謝」の気持ちを見い出したい。登頂・下山の無事を願い、送り出してくれた家族に、感謝の気持ちを伝えたい。

毎年、何百万人の足で踏み均されていく富士の道に、一人でも多くの善意の、富士で感じた尊い自然への敬意の念を抱く人がいれば、この山はこれからも美しい日本の山であり続ける。世界に誇れる山であり続けてくれるだろう。

そう願って、また来年もこの山に登ろうと思う。来年も大事な人たちに便りを出そうと思う。来年もきっと。

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スポーツ・文化観光部文化局富士山世界遺産課
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