あなたの「富士山物語」(富士登山で感じたこと/藪崎夏那)

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ページID1019355  更新日 2023年1月13日

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富士登山で感じたこと/藪崎夏那

「お母さん、今から登ってくるね。」

「せっかく登るんだから楽しんで登ってくるんだよ。」

私は、富士山の五合目からワクワクした気分で母に電話をしました。今から父と兄と富士登山に挑戦するのです。父に富士登山に行こうと言われた時から、とても楽しみにしていました。ついに今から登り始めるのです。私は、頂上まで行く事ができるだろうか、高山病になったらどうしようかと不安な気持ちと、絶対に登りきってみせるという気持ちでいっぱいでした。

午後九時、いよいよ頂上をめざして出発です。歩き始めてすぐに、青く美しい富士山のイメージとは違うと思いました。実際には大きな岩がごつごつとして、とても歩きにくい山でした。登っていくほど寒くなり、毎日暑い日が続いていたので、早く冬にならないかなと思っていたのに、やっぱり夏がいいなと勝手な事を考えながら歩きました。標高が違うとこんなに温度が違う事に少しおどろきました。そして、空気もうすくなってきます。少し歩いただけで苦しくなってしまいました。高山病にならないように、途中で何度も休けいをしながら歩いて行きました。八合目に行った所で、一緒に登っていた父の会社の人が気分が悪くなり、下山する事になりました。私も足が痛かったり、とてもつかれていたので、家に帰りたいと思いました。母に言われたように楽しんで登るなんてとてもできません。何度も父に、

「もう一生富士山には登らない。」

と弱音を吐きながら歩きました。富士山に登る事がこんなに大変で苦しいとは思ってもいませんでした。でも父は、

「もうすぐ頂上だ。もう一生こないんだろう。もう少しがんばろう。」

と言って、はげましてくれました。父のその言葉を聞いて、もう少し、もう少しと自分に言いながら頂上をめざしました。

八時間かけて、ようやく頂上に着く事が出来ました。残念ながら、ご来光には間に合う事ができませんでした。けれども、あきらめずに歩いて頂上まで登る事が出来ました。

とてもつかれたけれど、目標を達成したという充実感でいっぱいになりました。そして、富士山はとても魅力のある山だと思いました。歩きながら見た星は、おどろくほどきれいでした。頂上からの景色は、空と雲の境がはっきりとわかりとても感動しました。火口も見学しました。大きな穴が開いていて、近くに行くと落ちてしまいそうで、とてもこわかったです。自然の力はすごいと実感しました。

家に帰って、母に楽しめたのかと聞かれました。私は、

「ぜんぜん楽しく登れなかったよ。だけどあれだけもう一生登らないって言ったけど、また登ってもいいかなって思っているよ。」

と答えました。自分でもよくわからないけれど、また頑張れるような気持ちになりました。

大変だった富士登山。大変だったから感動も大きかったのかなと思いました。富士登山に挑戦して本当によかったです。

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