実践NOTE596 「高校3年生における地理探究『持続可能な国土像の探究』の実践」
「高校3年生における地理探究『持続可能な国土像の探究』の実践」
静岡県立静岡城北高等学校 教諭 髙橋 岳
はじめに~知識の「点」を「線」へと昇華~
本校は多くの生徒が国公立大学を目指しており、共通テストを受験します。私の担当する地理は、理系クラスの受験科目です。生徒は意欲的ですが、知識が断片的な「点」として存在し、構造化されていないという課題がありました。そこで私は、教科書の最後の数ページのみの「オマケ」扱いされがちな「大項目C」に着目しました。本実践は、大項目Cにフォーカスを当て、これまで身に付けた資質・能力を総動員し、現代世界の課題や持続可能な国土像に向き合うことで、バラバラな知識を構造的な理解という「線」へと繋げる「地理」の集大成としての試みです。
1学期からの助走とICTを活用した全5時間の単元計画
令和7年度の「持続可能な国土像の探究」の単元において、1学期からPadletというWeb上で掲示板のように活用できるサイトを活用して「問い」の作成練習を重ね、11月後半から全5時間の実践に臨みました。実際の授業では、入試過去問から「問いの種」を見つけ、公的統計データを用いた分析やレポート作成を行いました。受験直前期に5時間を割くのは勇気が要りましたが、対話的なグループワークが、個人戦になりがちなこの時期の生徒たちの思考を深める大きな助けとなりました。
「解像度の高い問い」への進化と生徒の劇的な変容
生徒の変容は顕著でした。当初「日本の外国人問題を解消するためには」という漠然とした問いを立てていた生徒が、上記の活動を経て「円安によるオーバーツーリズムの地方分散対策」へと問いの解像度を劇的に高めました。また「さらなる問い」として、人口減少下での「農地の取捨選択」といった鋭い視点に達する生徒も現れました。既存の知識から、社会の課題を多角的・体系的に捉える力が身に付いた証だと感じています。
最後に
教員の負担や評価の難しさといった課題はありますが、生徒からはポジティブな声が多く上がりました。今後も、受験対策に留まらず、生徒が社会を俯瞰し、未来を切り拓くための資質・能力を育む授業づくりに邁進してまいります。
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